友人知人の間で、ひそかに中毒者の多いお店がある。「蒙古タンメン中本」だ。私(佐藤)の友人の男性S氏は、コンディションが良ければ毎週、いや、3日に1度は中本に通っているくらいだ。

そんなにウマいのか? 実は私は今までに1度もお店の敷居をまたいだことがない。したがって、蒙古タンメンというものを食ったことがない。そこで、人生で初めて蒙古タンメンを食ってみた。その率直な感想をお伝えしよう。

・昼過ぎでも行列

「蒙古タンメン中本」は関東に19店舗展開している。お昼時はどこも行列ができるほどの人気なのだとか。私が訪ねたのは、東京・新宿のお店である。

13時頃に行ってみると、カウンター席の後ろの壁沿いに人がズラリと並んでいた。店前に行列はできていなかったものの、約20名が着席できるのを待っていたのである。待ってまで食いたいのか?

・中毒者が語る中本の魅力

友人S氏は、中本の魅力をこう語っている。

中本の魅力? 単純に辛さかな~。そもそも、ほかのラーメン屋とか飲食店に行って、オーダーした物が出てくるまでの感じが違うよね。待ってる間に興奮してるもんね。厳密に言えば、化学調味料に惹かれてるのは確実やね。辛さの不思議でもあるよね」

何言ってんだ、コイツ。言ってる意味がさっぱりわからん。辛さが魅力なのか、待ってる間の興奮が魅力なのか、化学調味料なのか。とにかくS氏が中本中毒であることに間違いない。しかも重度の中毒者で、すでに言動がおかしい。そんなにまでハマってしまうのか?

・初心者は蒙古タンメン

さて、店に入るとまず食券を買う。S氏は「初心者は蒙古タンメン(5辛)がいい」と言っていたので、それにしたがって蒙古タンメン(800円)を食べることに。

着席できるのを待つ間に店内を見回してみると、客層の年代も性別もバラバラ。若者もおじさんも男性も女性も関係ない。辛さを求めてここに来ているのだろう。S氏がいうように、みんな料理が提供されるまでの間に、興奮を感じているのだろうか?

・ついに対面

約20分待った後に、カウンターの端の席に案内された。それから5分程度待って、注文した蒙古タンメンと対面したのである。

これが蒙古タンメン。味噌タンメンの半分に、赤く染まった豆腐あんがかかっている。なるほど、匂いがすでに辛い。おそらく中本常連から言わせれば、こんなものは “入り口” に過ぎないかもしれないけど、初心者から言わせれば、これでも十分辛いのだ。匂いだけで顔を背けたくなるくらいに……。

・いざ実食!

さて、実際に食べてみる。まずはレンゲでスープをすくう。できるだけ辛味を避けて、純粋なスープな味をたしかめてみると……。

出汁の旨味と野菜の甘さがギュギュっと凝縮していて美味しい。これが中本のタンメンの味なのか。人気の理由が何だかわかった気がする。この味を求めて多くのファンが並んでいるのだろう。これに辛味を合わせると、美味しさ倍増になるのか?

豆腐と共にスープを口のなかに放り込むと……。辛ッ! うわ、めっちゃ辛いッ!! 旨辛いとか言うけど、辛味しか感じない。個人的な印象として、辛味が出汁の旨味を押しつぶしているように感じられる。これがS氏の言っていた「辛さの不思議」なのか?

ちなみに、このメニューは5辛。辛さにはさらに上のレベルがあるので、やはり蒙古タンメンは中本の入り口に過ぎないのだろう。それでこれだけ旨味が押しつぶされているのだから、上のレベルでは辛味以外は感じられない気がするのだが、そうではないのか?

やはり、私が中本初心者であったため、その真髄を見極めるには至らなかった。これは通わなければ、その奥深い世界を理解することはできないのだろう……。

・今回訪問した店舗の情報

店名 蒙古タンメン中本 新宿店
住所 東京都新宿区西新宿7-8-11 美笠ビルB1F
営業時間 11:00~24:00
定休日 なし

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24