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春はもう近くまで来ているというのに、汗ばむような陽気の日もあれば、震えあがるような寒い日もある。なかなかコートをしまうことができず、日によっては何を着ていいのかわからない。暖かくなったとはいえ、まだまだ冬といって良いのかもしれない。

その証に、温かいものが今もまだ美味しいと感じられる。例えば、東京・新宿にある創業100年以上の庶民派食堂・「長野屋」の肉豆腐だ。寒風が吹きすさぶような日にこれを食べると、素朴な味ながらもぜい沢とさえ思える。素朴で控えめな味に、心の底から温まるだろう。

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・控えめな「創業1915年」

このお店、創業は1915年とのことだ。今から102年も前に、お店の歴史は始まっている。それなのに、そのことを強くアピールしているようには見えない。店の軒下に「長野屋 1915年創業」とあるだけだ。もっと立派な看板を立てて、大々的に「老舗食堂」とうたえばいいのに。奥ゆかしいというか、何というか……。

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・食券売り場はあるけれど

店に入ると、すぐのところに食券売り場がある。たしか以前は、先に食券を購入しなければいけなかったのだが、どうやら厳密にルールとされている訳ではないらしい。お店に入り席に着いたところで、「先に食券でしたっけ?」と尋ねると、お店のおばちゃんは「どっちでもいいです」という。近年は食券売り場は本来の機能を果たさずに、ただのお支払いの場になっているようだ。

さて、何を食べるか? 焼サバもいいだろうし、カレイの煮つけもウマそうだ。イカフライ、カキフライという選択肢も捨てがたいところ。散々悩んだ挙句、肉豆腐定食(700円)をチョイスした。寒いから温かいものを食いたいところだ。

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・2階から料理が降りてくる

このお店の厨房は2階にあるらしい。1階で注文を取ると、インターフォンで「肉豆腐定食1丁!」みたいな感じで声をかける。しばらくすると、ブーッ! とブザーがなって、キッチンエレベーターで料理が降りてくるという流れだ。

注文した肉豆腐もまた、エレベーターで1階に降りてきた。アツアツの湯気が立ち、実にウマそうだ。

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ご飯にみそ汁、漬物に肉豆腐。定食の構成はいたってシンプル。豆腐に出汁が浸みこんで、飴色に輝いている。甘辛い醤油風味の香りと、立ち上る湯気、それだけで食べる前から癒されそうだ。

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・ご飯に乗せるしかない!

そのまま食べても十分に美味しい。しかしコレをご飯に乗せたいという誘惑に、勝てる日本人がいるだろうか? いないはずだ。豆腐と肉をご飯に乗せて、その上から汁をぶっかける。豆腐を食べるだけよりも、美味しさは10倍にも20倍にも感じられる。

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豆腐をご飯に乗せるといえば、おでんの老舗「お多幸」の “とうめし” が有名だが、長野屋の肉豆腐をご飯に乗せる “とうめし” だって負けていない。まだまだ風の冷たい日が続くが、元気が欲しかったら長野屋の肉豆腐がオススメだ。寒い時ほど、ぜい沢に感じるはず。

・今回訪問した店舗の情報

店名 長野屋
住所 東京都新宿区新宿3-35-7
営業時間 11:00~22:00
定休日 水曜日

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24