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高齢者による自動車運転事故が相次いでいる。日本では18歳から自動車運転免許証が取得できると定められているが、「○○歳になったら免許証を返上しなさい」というルールは設けられていない。

家に80歳以上の年寄りがいない人からすれば「家族が責任をもって免許証を取り上げるべき」と思うだろうが、実際はそう簡単な話ではないのだ。なぜ年寄りから免許を取り上げられないのか? 記者の経験に基づき、その理由を解説したい。

・80代後半まで運転していたおじいさん

記者の妻の祖父は97歳で亡くなった。子供の頃、生のベーブ・ルースを目撃し、青年期には太平洋戦争に従軍、「終戦の日はみんなで黙々とカレーライスを食べた」と話してくれた心優しいおじいさんだった。

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70代後半、「墓はいらないから、そのお金で世界一周に行く」とマジで世界一周の旅に出てしまった元気なおじいさんで、頭もかなりハッキリしていた。大の巨人ファン & 大相撲ファンで、試合や取り組みを見ては大きくリアクションしていたから、目も悪くはなかっただろう。

そんなおじいさんは、80代後半まで自動車を運転していた。記者も助手席に乗せてもらったことがあるが、正直にいえばその運転は、かなり危なっかしかったと言わざるを得ない。いつも助手席では内心ヒヤヒヤしていたものだ。

・家族が恐れていること

記者は妻や義母に「そろそろ運転やめさせた方がいいですよ」「事故ったら大変ですよ」と何度か進言したのだが、結局スッパリと免許を取り上げるには至らず、結果として怪我をして車いす生活になったのを機に、運転しなくなった格好だ。

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──本題に入ろう。なぜ家族が免許書を取り上げられないのか? 妻や義母は「免許を取りあげたらボケてしまうのでは?」ということを一番気にしていた。事故のリスクはわかりつつも、身内に「あなたはもう運転も出来ない老人なんです」と突きつけ、結果的に本人が急激に老け込むことを恐れていたのだ。

気持ちはわかる。よくおじいさんも「僕もこの歳で~」なんて話をしていたから、自分が年寄りだという自覚はもちろんあっただろう。ただ一方で「年寄りでも人に迷惑をかけるまでではない」という意識もあったように思う。そのギャップは家族が誰より感じているハズだ。

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・身内だからこそ言えない

身内に、ましてやひとつ屋根の下 暮らす家族に「老人宣言」するのは勇気がいる。「人様に怪我を負わせるリスク」が頭でわかっていても、なお踏み切れないのだ。家族のエゴといえばエゴだろう。だが、このケースが一番多い気がするのは記者だけだろうか?

ここはドラスティックに法を整備をし、「○○歳になったら免許返上」とした方が、年寄りの運転を辞めさせられない家族にとってもいい気がするのだが、あなたはどう思うだろうか?

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.