突然だが、アメリカ発の会員制倉庫型スーパー「コストコ」を知っているだろうか? 衣類から食品まで、すべてがアメリカンサイズのこのスーパー。広大な店内に並べられた商品の数々が作る地平線は圧巻の一言だ。
──ある日のこと、ロケットニュース24のマスコットである巨大クマ・サンジェリカがポツリとつぶやいた。「コストコに行ったら友達ができるかもしれない」と。確かに、コストコのぬいぐるみコーナーには、サンジェリカに近いサイズ(2.5メートル)のクマがたくさんいる。……よし、分かった! コストコで友達を作ろうじゃないか!!
・サンジェリカは悩んでいた
これまで、どこに行ってもモテモテだったサンジェリカ。しかし、遠巻きに奇異の目を向けられるだけで、いつまで経っても友達になろうとする人は現れない。「僕はピエロさ」。そう言って、寂しそうに日本酒をあおるサンジェリカに対し、私(中澤)を含め編集部の全員が何もしてやることができなかった。そんなサンジェリカにとってコストコは希望の光なのだろう。
・今まで以上にテンションが高いサンジェリカ
さっそく、車の運転をYoshioにお願いし、神奈川県にあるコストコに向かうことに。車中で目を輝かせ、まくしたてるサンジェリカ。友達ができたら一緒にディズニーランドに行きたいという。ヲイヲイ、気の早いやつだ。まだ友達ができると決まったわけじゃないぞ。
・アクシデント発生
……と、その時。運転していたYoshioが「やっちまった……」とつぶやいた。どうしたんだYoshio!? 何をやっちまったんだ! うんこ漏らしたのか!! そう思っていると、後ろから「ウーーーーー」という音とアナウンスが響く。一同に走る張り詰めた緊張感。これはまさか……
スメルズ・ライク・ポリスメン!!!! アナウンスで側道に寄せられる我々の車。若い男性のポリスメンが駆け寄ってくる。実に爽やかに切符を切られてしまった……。ちなみにYoshioはゴールド免許だったことを追記しておこう。以降、コストコに着くまで、3人とも無言だったことは言うまでもない。
・コストコに到着
そんなこんなでコストコに到着。やけに長く険しい道のりだったぜ……我々の精神はもはや満身創痍(まんしんそうい)である。しかし、ここはコストコ、巨人の国。ついに、サンジェリカの夢が叶う時がやってきたのだ。
他のスーパーでは見られないアメリカンサイズの商品の数々に目もくれず、一直線にぬいぐるみコーナーに向かうサンジェリカ。気が急いているのか、ハシャイでいるのか……いずれにせよ、今までに見たことのない笑顔だ。行けサンジェリカ! 友達とディズニーランドに行く夢はもう目前だぞ!!
・予想外の事態
だがしかし! ここで予想外の事態に直面した。なんと……そこにあったのは、クマのぬいぐるみではなく、パンダのぬいぐるみだったのだ!! クマは売り切れてしまったらしい。我々の道のりは一体何だったんだ? そして、Yoshioは何のために切符を切られたんだ。
・サンジェリカのボッチ理論
この世に神はいないのか……。絶望しかけたその時、サンジェリカが口を開いた。「パンダの方が良いクマー」と。なぜだサンジェリカ!? 理由を聞いたところ、彼は以下のように答えてくれた。
「ジャイアントパンダは、白黒メッシュっていう攻めた体毛の色と気性の荒さで、クマ界ではヤンキーキャラで通ってるから、仲良かったら逆にステータスが上がるクマ。ボッチでもヤンキーと話せるヤツは、普通のボッチより格上に見えるのと同じ理論クマ」
……お前そんなんだから友達できねえんじゃねえのかっ! ということはさておいて、友達をカートに乗せてレジに向かうサンジェリカ。その足取りは誇らしげで自信に満ち溢れていた。
・友達ができて大人の階段をのぼったサンジェリカ
かくして、幾多の困難を乗り越えてサンジェリカは友達をゲットした。26680円で。なお、コストコでもサンジェリカはモテモテだったが、もはや以前のように遠巻きに見られることに負い目を感じてはいないようだった。
喧嘩してしまうこともあるけれど、決して失いたくはない友達。そんな友達との出会いは意外としょうもないことがきっかけであることが多い。大切な友達にムカついた時は、初めて友達ができた時のことを思い出してみよう。その時、きっとあなたは救われたはずだ。
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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▼アゲアゲでコストコへ
▼マッハで切符を切られるYoshio……
▼無言の車内
▼コストコIN!
▼巨人の国
▼パンダしかおらんがな!!
▼まあいっか
▼パンダ「メンチ切ってんじゃねえぞ」
▼友達を26680円でゲット
▼初めての友達