nittaasagei

2016年は芸能人のスキャンダルに関する報道が相次いでいる。挙げ出すとキリがないほどなのだが、4月5日に驚くべきニュースがネット上で話題となった。それは紅白出演のアイドルに、AV出演の過去があると、アサ芸プラスが伝えたのだ。

アサ芸プラスは同社の週刊誌「アサヒ芸能」を引用する形で報じたのだが、後にこの投稿を削除したのだ。もしこれが誤報だった場合、報じられたアイドルの名誉棄損にはならないのか? また損害賠償はどのようになるのか? 専門家に尋ねてみた。

・記事を削除

アサヒ芸能が誌面で実名報道したのは、人気声優の新田恵海さんである。彼女は声優ユニット「μ’s(ミューズ)」の一員としても活躍している。所属事務所は報道内容を否定。アサ芸プラスは当該記事を削除した。真相は定かではないのだが、もし仮に誤報だったとした場合、どうなるのかをアディ―レ法律事務所鈴木淳也弁護士に尋ねた。

・仮に誤報だったら、名誉棄損になるのか?

問:「今回の報道内容がもし誤報だった場合、名誉棄損になるのでしょうか? また、この場合の損害賠償は、どういったものになりますか?」

答:「まず、「名誉棄損」とは、人の社会的評価を低下させることをいいます。“社会的評価を低下させるもの” かどうかは、社会の常識によって判断されるもので時代によって異なりますが、少なくとも現代においてもアダルトビデオに出演することが日常生活で当たり前になっているわけではなく、現状アダルトビデオに出演することに関しては、その人の社会的評価を下げるものと判断されると思われます。

もし、名誉棄損となれば、民事上損害賠償請求をすることができますが、名誉棄損行為をして人の社会的評価を下げられる場合であっても一定の場合には、損害賠償の支払い義務は免責されるとされています。そのためには、

1.名誉棄損の行為が公共の利害に関すること
2.もっぱら公益を図る目的でそのような行為にでたこと
3.内容が真実であること、もしくは真実であると信じることに相当の理由があったことが条件となります。

今回の場合、とある声優が過去にアダルトビデオに出演していることが公共の利害に関することとは言えず、また単に読者の野次馬好奇心を満たす目的で掲載したことが明らかであるため、その内容が真実であるかどうか検討するまでもなく、免責の条件を満たさないと言えるでしょう。

その結果、出版社側は損害賠償義務を負う可能性が高いことになります。

また、名誉棄損の場合、名誉回復のために、日刊紙や名誉棄損を行ったホームページ上への謝罪広告の請求が認められることもあります」

以上である。はたして、事務所側は何らかの措置を講じるのだろうか? 今後の動向が気になるところだ。

参照元:アサヒ芸能プラス(当該記事は削除済み)、株式会社S
取材協力:アディーレ法律事務所(東京弁護士会所属)
執筆:佐藤英典
イラスト:Rocketnews24