ブラジャーは女性にとっては身近だが、男性にとっては未知の部分も多いだろう。男性の皆さんは、下着屋さんで何が行われているのかご存知ない方もいらっしゃるのではないだろうか?
サイズの計測や背中の贅肉をブラカップに押し込んでくれるのが一般的なところ。しかし、世界に目を向けると、女性の私ですら驚いてしまうサービスを行う下着屋があった。中国でブラを買おうとしたら、いきなり店の人に胸を揉まれたのである。
・中国でブラジャーを買いに行ったときの話
私(沢井)が、上海に住んでいた頃。たしか2004年か05年夏の話だ。当時の私は豫園から程近い下町・中華路散策にハマっていたのだが、そこで下町にしてはちょっとシャレオツな下着屋さんを発見した。そういえばブラが欲しいと思っていたので、のぞいてみることにしたのだ。
入るとお姉さんが開口一番「何がほしいの? サイズは?」と聞いてくる。外国のブラは日本のものとサイズが異なることもあるので「わからない、測って♪」とお願いしてみた。すると、奥に座っていたオバチャンが、立ち上がりユラリと私の方に近寄ってきたのである。
・いきなり胸を揉まれたでござる
そこからはあっという間だった。2人の距離が50cmを切ったころだろうか? オバチャンの手がにゅっと伸びてきて「むんず!」と、私のお胸を捉えたのだ。そしてそのままTシャツごしに、お胸を包み込むように揉んできたのである。
ファッッッッ!? 異常警報! 異常警報!! どう考えてもおかしいだろ、この状況!? なのに他の店員は誰一人微動だにしないってどういうことだよ!?
どのくらいの時間が経ったのだろう。その後、彼女の手はいわゆる下乳をつたって、お胸と腹の境界あたりまで下りてきた。最後に、肋骨の上あたりをぎゅーっとホールドして終了。私の体から離れていったのだった。な、な、な、な何さらすんじゃワレーッ!?
・まさにプロの技
たぶん、時間にして10秒も揉んでいなかったと思うが、あまりの出来事に頭は真っ白である。そんな私の状況など気にせず、オバチャンは、おもむろにブラジャーを突き出してきた。「アンタにはこれがピッタリだよ!」
そう、オバチャンは私のお胸のサイズを測っていたのだ……! 手の平で包むように触ったのはカップのサイズを確認していたのだろう。肋骨ホールドは、アンダーバストを測っていたのだ! ……たぶん。
・いつも揉んでいるらしい
オバチャンが選んでくれたのは、淡いイエローに、同系色のリボンの刺繍。真ん中に水色のリボンがついた可愛いヤツだ。いきなり胸を揉まれたこと、そしてオバチャンの微妙に良いセンスを目の当りにし、私はこうとしか言えなかった。
「い、いつもこうやって測ってるんですか?」
「そうだよ! これが私の商売だからね!!」
価格は30元。当時のレートで500円以下。決してボッタクリ価格ではない。しかも、装着したところ驚きのフィット感であったのだ。ピッタリすぎるだろ!? さすがに鳥肌立ったわ!
あれからもう10年、再開発が進む上海では、あの下町の下着屋はもう存在しないのかもしれない。ブラジャーを見るたびに彼女を思い出してしまう。セクハラになりかねないが、とんでもないプロの技だった。
執筆、イラスト:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.