佐賀県にある「三重津海軍所跡」は、日本初の実用蒸気船「凌風丸(りょうふうまる)」の建造に成功し、現存する国内最古のドライドックのある施設だ。2015年7月には、「明治日本の産業革命遺産」のひとつとして世界遺産にも登録! が……巷では、見えない世界遺産として話題となっている。
日本の産業化の初期の姿を現す重要な遺産というのに……いったいどういうこと!? 実際に現場に行ってみると、本当に何もない! マジで何もない(笑) 見えないのに世界遺産なの!? 早速、疑問を解決するために、遺産のすぐそばにある佐野常民記念館へ足を運んでみた。
・バーチャルからリアルの旅へ
「まずはこちらをご覧ください」と通されたのは、丸く切り取られたマルチビジョン。その名も「ラウンドビジョン」である。「旅のはじまり」というコンテンツで三重津海軍所を知る・楽しむというものだ。
「この佐野常民記念館は船をイメージした建物であり、このラウンドビジョンはその船の窓に見立てて円くしております」
なんだ、なんだ。何もないのに、この謎かけぶった始まりは! 大事なことなのでもう一度言うが、何もないはずなのになんだ! でも逆にちょっと楽しくなってきた。オラ、ワクワクしてきたぞ!
・当時の空間を疑似体験
続いて案内されたのが「オキュラスリフト」。ヘッドフォンとスコープを装着し準備すると……おぉ、空を飛んでいるぅー! 当時の空間に入り込んだような広大なスケール感で三重津海軍所を楽しめちゃうではないか!
傍目には何をしているのか不明だが、蒸気船に乗り込みクルーズ感を体感すると、その興奮でウッキウッキになってしまう。装着したら最後、手で触れることもできそうな臨場感溢れる映像に注意だ!
・知らないうちに楽しんでいた
そして最後は遺跡散策に行くらしい。遺跡散策っていっても遺跡は見えないだろ……と心の中でツッコミつつ、渡された「VRスコープ」を覗いてみると……見える、見えるーっ! 当時の世界が見えちゃってるよぉぉぉ!!
5つあるポイントでは、360度のパノラマ映像で当時の三重津海軍所を見せてくれる。遺跡を発掘してみたり、大砲を打ってみたりとイメージをふくらませ……三重津海軍所跡をバーチャル体験できるようになっていた。知らず知らずリアルに楽しめてしまったじゃないか。三重津海軍所跡、やるぅ!
・食でも楽しめる世界遺産
まだまだ世界遺産「三重津海軍所跡」を体験できるコンテンツがあるとのことで、近くのカフェ『DAIDAI CAFE』へ。ここでは蒸気船をイメージした60センチの「三重津海軍ドッグ」を食べることができ、食べながら歴史を感じたぞ。
・見えないからこそ世界遺産
実際の遺跡を見ることができないながらも、デジタルコンテンツで楽しめる「三重津海軍所跡」。しかし、中にはなぜ本物の遺跡を見せられないのか不思議に思う人もいるだろう。なぜなら……
三重津海軍所跡で発見された日本最古のドライドックは骨組が木造で、地上に出しちゃうと朽ち果てるおそれがあるからだ。地中に埋めることで保存されているので、世界遺産たりえているらしい。そう、見えなくって正解というわけだ。
・今回ご紹介した世界遺産の詳細
名称:三重津海軍所跡
所在地:佐賀県佐賀市川副町大字早津江津446-1
(隣接施設)佐野常民記念館
開館時間:9:00~17:00
休館日:各月の最終月曜日
TEL:0952-34-9455
参考リンク:三重津世界遺産ホームページ
▼『三重津海軍所跡』のある佐野常民記念館
▼全日本高等学校書道コンクール20年連続で団体最優秀校の佐賀北高校書道部による「書」が出迎えてくれる
▼まずはラウンドビジョンで歴史のはじまりを知ろう
▼続いてオキュラスリフトで時空を超えよう
▼幕末に瞬間移動! 360度見渡して広大な空間を体感できるぞ!
▼もちろん発掘された遺物も展示されている
▼精密に復元されたドライドックの模型
▼そしてVRスコープでパノラマ映像を見ながら臨場感溢れる遺産散策
▼最先端技術で歴史を感じよう
▼三重津を愛する野中崇弘さん(30)がオーナーを務めるカフェ『DAIDAI CAFE』
▼蒸気船をイメージした60センチの「三重津海軍ドッグ」。どれくらい大きいのかというと……
▼一般サイズのチリドックと比べるとこの通り! でけえぇぇぇ!!
▼佐賀市のソウルフードであるシシリアンライスや……
▼「三重津海軍カレー」もあるぞ!
▼アットホームなカフェで……
▼歴史も食べよう!
▼街中の人がチョンマゲ姿に!?