
精力的な活動でライブハウスシーンをにぎわし続けるロックバンド『フラワーカンパニーズ』。2度のメジャーデビューを含む26年の長い歴史の中で、活動休止、メンバーチェンジは一切なし。その歴史に裏打ちされた息のあったバンドサウンドと声のかぎりに叫ぶ姿は、見ているこちらも思わず叫んでしまうほどに胸をえぐられる。
2015年12月19日、そんなフラカンがついに念願の日本武道館の舞台に立つ。この日はファンにとっても本人たちにとっても、心の底から「生きててよかった」と叫べる夜になるだろう。大舞台を控えた彼らはどういった心境なのだろうか? ヴォーカルの鈴木圭介さんとベースのグレートマエカワさんにライブや創作について語ってもらった!
・良いライブとバンドを続ける秘訣
フラカンを語る際に欠かせないのがライブ活動だ。一時は年間100本を超えるライブを展開し、機材車の年間走行距離が4万km(地球1周分)を軽く超えたという。そんな地道な活動が、抜群のライブ力を武器とする今の彼らを作り上げたことは言うまでもない。現在も自らライブブッキングを行い、機材車で移動する彼らが考える良いライブとは何か?
鈴木圭介さん(以下鈴木さん):まず、本編のライブが終わって楽屋に帰った時に体全身を使い切った感じの疲れがあって、余力が残ってないこと。それが第一。あと、流れが良かった時。お客さんがたくさん乗ったとかじゃなくて、ウマい感じに響いたっていう……それは言葉では表しづらいんだけど。
グレートマエカワさん(以下グレートさん):終わった後に楽屋で誰も何もしゃべらないようなライブはいまいちだったなって思う。いまいちっていうか、すっげー良いライブではなかったなって。間違えたとしても誰かが「あー間違えちゃったな」って言う方が良い。
鈴木さん:「熱いな」とかそんなんでも良いんだけど。
グレートさん:そしたら、「あっ割と充実してたな」って感じる。
──ちなみに、なんか良くなかったな……っていうライブって今でもあるんですか?
グレートさん:ああ、あるね。
鈴木さん:全然あるよー!
グレートさん:あるけど、それを引っ張らないし、楽屋で「あれはないだろー」って感じのこともよっぽどのことがない限りはメンバーに言わない。そこはお互い気をつけてると思う。
鈴木さん:もちろん時間を置いて言うことはあるよ。でも、ライブ終わってすぐはない。ライブ終わりってみんな興奮してるから、言うほうもちょっと強めに言っちゃう。聞くほうも「あん?」みたいになる。よく対バンで終わった後に大喧嘩してるバンド見てたから、ちょっと落ち着いた状況になってから話すようにしてる。
──喧嘩したことってないんですか?
鈴木さん:喧嘩はないよね?(グレートさんを見る)
グレートさん:ないよ。俺らは。
鈴木さん:言い合いくらいはあるけど、こういう感じ(胸ぐらをつかむフリ)はない。
・青春ごっこを今も続けながら
メンバー全員が高校や大学の友達同士で結成されて以来「活動休止なし、メンバーチェンジなし」で26年目を迎える彼ら。グレートさんと鈴木さんの温和でコミカルな人柄にバンド継続の秘訣を見た気がした。フラカンの音楽からはこういった温かさがにじみ出ている。話はメンバー間の関係性が垣間見える結成時のエピソードに突入していく。
──フラワーカンパニーズという名前はどうやって決まったんですか?
グレートさん:適当だよ。大体俺ら26年前にバンド結成したかどうかもあやふやでさ。勝手に始まった感じなんよ。鈴木と小西(ドラム:ミスター小西)、俺と竹安(ギター:竹安堅一)がバンドやってたんだけど、みんなバンド解散しちゃって。で、俺は大学入って1年間バンドできなくて、スタジオも入れなくて……バンドやりてえなあって思ってた。
そのころ、鈴木と小西に「ちょうど良いからスタジオ入らん?」って言ったら、「じゃあやろう」ってなった。で課題曲決めて入って、面白かったから来週もまたやろうかってなって……。
鈴木さん:そのうちライブやろうか、曲作ろうかって。
グレートさん:ライブやるならバンド名いるなって。
鈴木さん:で、1人1個ずつバンド名考えてきたんだけど、どれもよくなかった(笑)
グレートさん:で、そんな時、俺が大学でサークル作ったんだわ。60年代、70年代の文化に影響を受けて、みんなでラッパズボン履いてボーリング行ったりする感じの。当時ベルボトム履いてる人ほとんどおらんかったからさ。
鈴木さん:レニークラヴィッツ前だからね(笑)
グレートさん:ダサい象徴のファッションだった。そういうの履いて遊びに行くサークル作ろうって。それで名前何にするかってなった時にフラワームーブメントの “フラワー” に会社の “カンパニー” で「フラワーカンパニー」って名前でやろうかって話をしてたの。で、バンド名も決まらんから「もうこれでいいか」って。でも、鈴木が「ズ」をつけたいって言ってたから、「フラワーカンパニー」に「ズ」つけたらいいかって。
鈴木さん:英語としてはおかしいんだけどね。
グレートさん:カンパニーは複数形にならん。
──同級生や友達同士で、得したこととか嫌だったことはありますか?
鈴木さん:得したことは実家がみんな近いこと。大阪ツアーの時とか、ツアー中名古屋に泊まったりできる。
グレートさん:実家に泊まって、ホテル代は浮くわ、親に顔出せるわ。
鈴木さん:普通のサラリーマンより確実に帰ってるから(笑)3カ月にいっぺんくらい帰ってるもん俺たち(笑)
グレートさん:先々月なんて俺半分名古屋におったから(笑)
鈴木さん:普通に就職した人でそんな人いない。だから正月に帰れなくても別に問題ないもん。
グレートさん:まあ得することは多いよね。
鈴木さん:友達もカブってるしね。
グレートさん:損っていうのはないんじゃないかなあ……同じ女を取り合ったこともないし(一同笑)同級生じゃなかったらなって思ったこともないし。
鈴木さん:今はもうないけど「メンバーチェンジはできねえな」って思ってた。下手な別れ方すると共通の友達と誰かが会えなくなるから。いわゆるスキルとか方向性の違いでメンバーチェンジとかあったりするでしょ? そういうのは俺たちはできなかったから我慢した。
例えば「この曲こういうふうにやってほしいんだけど」って言って「できない」って言われた時、もしかしたら他のバンドだったら、他のメンバー探そうってなるかもしれないけど、俺たちは、そういう曲やめようとか、アレンジ変えようとか、できるまで待つとか。
中澤:フラカンでもできないってことはあるんですか?
鈴木さん:あるよ! あるある!
グレートさん:たくさんあるよ。
鈴木さん:なんでもできる人っているけどね。
グレートさん:最近若い人に多くて困っちゃうんだけど(笑)
鈴木さん:俺たちはできることの方が少ない。
グレートさん:だからバンドやってるっつうのもある。
──この後、メジャーからインディーズに戻った当時の状況、バンドをやめようと思ったことはないか、フラカンの作曲の詳細までを突っ込んで語りつくす。話の続きは次ページで!
Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
中澤星児

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