0

いまや日本の国民食「カレー」。そのルーツはインドだが、現在の日本のカレーはインド人も「何これ、この日本料理ウマすぎィ!!」とビックリするほど独自の進化をたどっている。

そんなカレーの作り方が、初めて日本で紹介されたのは明治5年(1872年)。143年前のことだが、その黎明期のカレーが新宿で食べられるという! わぁ、明治時代のカレーってどんな味がするんだろう? 実際に行ってみた。

・中村屋で食べられる「明治時代のカレー」

黎明期のカレーが食べられるのは、新宿中村屋ビルにあるレストラン「マンナ」だ。新宿中村屋ビル1周年記念として、期間限定で「再現カレー」と中村屋名物「純印度式カリー」との食べ比べセット(2500円)が提供されているのだ。

このカレーは、1872年刊行の『西洋料理通』のレシピを再現したものだという。カレーと言えば、ニンジン、玉ネギ、ジャガイモが基本だけど、1872年って日本に玉ネギはあったっけ? それに、初期のカレーには蛙が入っているって話だったような……。うーん、どんな料理が出て来るのかわからないぞ!

1

・昔のカレーは上品で超まろやか

待つこと数分、登場したのはビーフカレー! ただし、長ネギたっぷりである。当時の日本では玉ネギの栽培は研究中で一般化していないはず。それで長ネギなのか! 

2

3

そんなカレーをご飯にかけてパクっと食べてみる。……ん? 全然辛くないやん! ルゥは、シチューかと思うほどの優しい味だ。牛肉とネギという組み合わせは、すき焼きのような贅沢な味わい。全体的に大変まろやかでネギと果物の甘みたっぷりだが、いわゆる「カレー味」はあまり感じない。

・後から押し寄せるカレーの香り / 文明開化の味がする!

だが、そう思った瞬間、一気にスパイスの風味が押し寄せて来る。……カレーだ。ウコンとかターメリックとか、あのカレー粉の香りですわ。現代のカレーとは少し違うけど、確かにカレーだ! 

舶来品のカレー粉、明治になってから食べられるようになった牛肉、そして日本人に身近な野菜であるネギ、この組み合わせはまさに文明開化の味である。

5

・食べ比べてわかる「日本のカレー」の原点

再現カレーが優しい味の欧風カレーであるのに対し、「純印度式カリー」はパンチがきいたインド風カレーだ。ネギとフルーツのコクがイイ仕事をしている再現カレー。そしてスパイシーさが際立つ純印度式カリー。食べ比べると、改めてそれぞれの特徴が浮き彫りになるようである。

・なお、蛙肉の噂は……

ところで、黎明期のカレーには赤蛙が使われていたというのは有名な話だが、蛙を使うのは同じ年に出された『西洋料理指南』のレシピだ。今回再現された『西洋料理通』のカレーレシピによると、使われる肉は「牛、もしくは鶏」とのこと。中村屋の再現カレーにも牛肉が使われいる。爬虫類が苦手な人も安心である。

そんな “143年前のカレー” は2015年11月30日まで、毎日20食限定であるそうだ。興味のある人は早めの時間を狙った方がいいかもしれない!

・今回訪問した店舗の情報

店名 レストラン&カフェ Manna / マンナ
住所 東京都新宿区新宿三丁目26番13号 新宿中村屋ビルB2F
営業時間  日~木 11:00~22:00、金・土・祝前日 11:00~22:30
定休日 1月1日

参考リンク:新宿中村屋ビルハウス食品キッコーマン
Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.

▼新宿中村屋で「143年前のレシピ」のカレーが食べられるぞ
1

9
▼さっそく食べ比べセットを注文してみた
2
▼ネギがたっぷり。カレー黎明期のビーフカレー
3

4
▼ネギとフルーツのコクが美味しい!
5
▼こちらは中村屋名物「純印度式カリー」
7
▼ピリリとスパイシーで美味しいね!!
8
▼そのほかの復刻メニューもあるぞ。こちらは「昔ながらのクリームパン(200円)」
10
▼洋食好きは要チェックである
11