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以前お伝えした、三菱自動車のアウトランダーPHEVで日産ディーラーの急速充電器を使用すると犯罪になるのか? という問題が再燃しそうだ。

日産自動車のグローバル本社の担当者は「アウトランダーPHEVで急速充電しても問題無い」と記者(私)に教えてくれたが、「ディーラーでの充電と本社の充電は違う」という意見もあるらしい。

日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員であり、雑誌『ベストカー』などにも寄稿、多数の著作物を持つ有名な自動車評論家、国沢光宏先生のブログにも「ディーラーの充電器を黙って使ったら犯罪行為」と書かれており、実際に警察へ通報をした日産リーフのオーナーのブログも紹介されていた。

・本当に犯罪だったら大変

一般のリーフオーナーならともかく、自動車業界に造詣が深く、地位もある国沢先生がそう言っているのなら、「犯罪行為である」といった意見は見過ごすことはできない。

私を含め、日産ディーラーの営業時間外に解放されている急速充電器を使用していた多くのアウトランダーPHEVオーナーが知らないあいだに犯罪行為をしていたとしたら……それはオーナーだけの問題ではなく、それを周知しなかった日産自動車と三菱自動車の問題にもなってくるはずだ。

・念のため聞いてみた

その他にも国沢先生は高速道路にある充電設備も「アウトランダーPHEVを含まない電気自動車専用であると解釈すべき」といった見解を示している。

この話が本当であれば、アウトランダーPHEVオーナーにとっては由々しき事態だ。オーナーのなかにアウトランダーPHEVを購入するときに公共の急速充電器も使えると説明を受けた人もいるだろうし、使えないのであればそういった事項を書かない三菱自動車には重大な不備があるということにもなる。

そのため、日産ディーラーやNEXCO東日本などに実際に問い合わせ、アウトランダーPHEVでの充電は不可なのか等を確認した。回答は以下のとおりだ。

【各社のアウトランダーPHEVでの充電に対する回答】

日産ディーラー
「各店舗によって違うかもしれませんが、私どものところではアウトランダーPHEVでも営業時間外に充電しても犯罪になることはないですし、使っても問題ありません。ただ、後から日産の電気自動車が来られたら、譲っていただけると大変ありがたいです」

三菱自動車ディーラー
「私どものところは三菱自動車の車でない自動車の充電は1回1000円頂いています。夜間は店舗のブレーカーを切っているので、使用は不可になっています」

NEXCO中日本
「充電器が対応する会社のカードを所持していれば、アウトランダーPHEVでも使用して問題ありません」

NEXCO東日本
「充電器の会社に問い合わせて欲しい(ジャパンチャージネットワークの電話番号を紹介してくれる)」

ジャパンチャージネットワーク(充電システムの会社)
「アウトランダーPHEVでも入会可能ですし、入会していれば急速充電器は使用して問題ありません」

チャデモチャージ(充電システムの会社)
「アウトランダーPHEVでも入会可能ですし、入会していれば急速充電器は使用して問題ありません」

急速充電器が置いてある道の駅の係員
「問題ありません」
※道の駅については数件取材

以上のように、すべて「問題無い」という見解を得ることができた。国沢先生の見解とは異なるものの、現状はアウトランダーPHEVで急速充電器を使用していても問題無いようだ。

ただ、日産ディーラーのお話を聞くとやはり電気でしか走れないリーフが深夜に充電できないと困る場合があるようなので、三菱自動車と違い深夜解放しているという側面もある。そのため後ろからリーフが来たときはは、譲ってあげるべきだと思った。

・公共の充電設備は利用しつつ買い物をしよう

道の駅やサービスエリアでの充電は訪れるオーナーによって買い物や食事など、店舗の利益につながる場合もある。高速道路での充電は基本的に充電ネットワークの会費を支払っているため、どちらかというと利用して欲しいように感じた。

ちなみに、5月26日にトヨタ自動車・日産自動車・本田技研工業・三菱自動車工業の4社で設立された充電インフラ支援会社のページには、電気自動車だけでなく、『アウトランダーPHEV』や『アコードPHV』、『プリウスPHV』の写真も対象として掲載されている。

そのため、この会社から出される補助金で今後設置される公共の充電施設は、プラグインハイブリッドカーが使用しても問題無いと思っても良いはずだ。お墨付きをもらってPHVのオーナーは一安心である。

・根底はオーナーのマナー問題

これは国沢先生の意見でもあるが、この問題の根底には「オーナー同士のマナー」がある。PHEVオーナーが後ろにリーフが待っているのに日産のディーラーで満タンになるまで充電するのも、犯罪行為でないのにリーフオーナーが警察に通報するなどしても、いずれにせよ日産ディーラーに迷惑がかかる。

急速充電器だけのことではないが、皆が気持ちよく使えるよう周りに気を配り、譲り合いの精神を持つことでこの問題は解消されるのだと思う。オーナー同士でいがみあってもまったく良いことはないので、広い心を持って自動車を使いたいものである。

参照元:自動車評論家 国沢光宏 公式サイト
執筆:なかの
Photo:Rocketnews24.