フランスは世界随一の漫画消費国だ。フランスでは多くの日本アニメが放送されているが、そのなかでも伝説的な数字をたたき出した日本アニメがあるという。
それは、最近映画も公開された松本零士先生原作の『キャプテンハーロック』。フランスではアニメ放送時に最高視聴率70パーセントを記録! マジかよ!? フランスではハーロックは本当にそんな特別な存在なのか? フランス人に聞いてみた。
・フランスでは『キャプテン・アルバトール』として放送
『キャプテンハーロック』は、アウトローな宇宙海賊ハーロックの物語だ。日本では1978年に放送が開始。同年にフランスでは、『キャプテン・アルバトール(Capitaine Albator)』として放送された。
・ハーロックに熱狂した「アルバトール世代」
日本では『キャプテンハーロック』は松本先生の代表作のひとつ、と言ったところだが、フランスでは超国民的伝説アニメであるという。放送当時は、視聴率70パーセントを記録。男の子も女の子も性別を問わずハーロックに熱狂し、その世代は特に「アルバトール世代」と呼ばれるそうだ。
・フランス人が『キャプテンハーロック』を好きすぎる理由を聞いてみた!
なぜフランス人はこんなに『キャプテンハーロック』に思いを寄せているのだろうか? その理由を在日フランス大使館文化参事官のベルトラン・フォール氏に聞いてみた。
・フランスで人気が出たのは必然
フォール参事官によると、『キャプテンハーロック』がフランスで人気が出たポイントは、松本先生が騎士や「コルセール」という傭兵的な海賊に着想を得てハーロックという作品を作った点ではないかとのこと。ヨーロッパで人気が出るのは非常に理にかなったことであったそうだ。宇宙を舞台にした冒険譚や魅力的なキャラクターが、年齢や性別を超えて支持された理由ではないかという。
・ハーロックは今の日本文化ブームに継続的な影響を与えている
さらに、放送時に『キャプテンハーロック』に熱狂した子どもが、ほかの日本のアニメに夢中になっていった。大人になってアニメだけでなく、日本の小説や映画にも興味を持つ。そうやってハーロックをきっかけに日本文化に親しむ人が多いそうだ。
また、ハーロック現象の延長に今日の『ナルト』や『ワンピース』人気があるという。その点から『キャプテンハーロック』はフランスに継続的な影響を与え続けた作品であると言えるとのことだった。
・アルバトール世代のフランス人にも聞いてみた
以上のようにハーロックの影響を語ってくれたが、一般のフランス人はどう思っているのだろうか? フランス文化センター「アンスティチュ・フランセ日本」で映画『キャプテンハーロック』の上映会を行うというので、会場に来ていたアルバトール世代のフランス人数名に聞いてみたところ……
「非常に深い印象を持っています。一番好きなアニメです」
「国のために戦う姿が最高。SFも大好きです」
「それまでフランスには小さな子どものためのアニメしかありませんでした。そんななか、大人も楽しめるハーロックは衝撃的だった。日本のアニメはみんなそう。素晴らしいと思います」
「ハーロックは私のヒーローです」
など、少年のように目を輝かせながら話していた。一方で、
「今回の映画はCGのエフェクトなど本当に素晴らしかった。昔のストーリーにリンクした物語や続編も見たい」
など、ファンならではのこだわりの意見も。とにかく、ひとりひとりがハーロックに対してアツい思いを持っているようだ。
ひとつの作品がこんなに愛され、かつ重要な役割をになっていたとは……松本零士先生も「漫画やアニメに国境はない」と話している。先生の思い通り、作品は国境や文化を越えて心に届いているようだ。
Report:沢井メグ
▼在日フランス大使館文化参事官のベルトラン・フォール氏
▼原作者の松本零士先生
▼上映会には、松本先生に会いにフランス大使までが駆けつけた!
▼「アルバトール世代」のフランス人男性、ハーロックについて熱く語ってくれたぞ!