2013年の夏、ネットをたびたび騒がせた話題といえば「アイスケースや冷蔵庫に入って写真撮影 → SNS に投稿して炎上」した事件だろう。現場がコンビニや飲食店、スーパーなど食料品を扱う店舗だったこともあり、多くのネットユーザーから問題視された。

7月中旬、ローソン従業員がアイスケースに入って遊んでいる写真が見つかった。それを皮切りに、同様の悪ふざけを行う人物が続出。従業員だけでなく一般客にまで飛び火した事例もあった。

それぞれの騒動については、ロケットニュース24のまとめ記事をご参照いただきたい。ところで、アイスケースや冷蔵庫に入る行為は法律の観点から見るとどうなるのだろうか? 今回は、この疑問の答えとなる現役弁護士の見解を紹介したい。

・刑事罰が科せられる可能性

ノースブルー総合法律事務所の國安弁護士によると、店舗のアイスケースに入る行為は3つの刑事罪を科せられる可能性があるそうだ。その罪とは、住居侵入罪、器物損壊罪および威力業務妨害罪である。

当編集部からの質問を受け、國安弁護士はアイスケースに入る行為についてブログ記事を執筆。以下は、その内容を要約したものである。

住居侵入罪:3年以下の懲役又は10万円以下の罰金
・はじめからアイスケースに入る目的で来店した場合、本来の目的でない立ち入りとなるため住居侵入罪が成立する
・通常の目的で来店しアイスケースを見て犯行を思い立った場合には、住居侵入罪は成立しない

器物損壊罪:3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料
・一般的に他人の下敷きになったアイスを購入したいと思う人はいないので、アイスを売ることができなくなる
・よって、アイスケースの中のアイスについて、器物損壊罪が成立する可能性がある

威力業務妨害罪:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
・アイスケースに入る行為は、アイスの販売を中止または制限する状況を引き起こす
・この行為自体が店舗に対して「威力」に当たると考えられ、威力業務妨害罪が成立しうる

なお、悪ふざけを行った当人の立場については「客でも従業員でも問われる刑事罰には違いはない」とのこと。さらに、刑事罰にくわえて民事で多額の損害賠償を負担する可能性もあるという。

やはり多くの人に迷惑をかける行為は、法律の観点から見てもほぼアウトのようだ。たとえ軽い冗談のつもりでも、やってしまったが最後、取り返しのつかないことになりかねない。周囲の人のために、そして自分のためにも一線は踏み越えないようにしたいものだ。

協力:ノースブルー総合法律事務所 國安弁護士
参考リンク:スーパーの冷凍庫に入る行為と刑事罰