世界的に類を見ない中国の人口抑制政策「一人っ子政策」。民族や地域によっては例外や緩和も見られるが、多くの中国人にとって子どもは一人きりだ。そんな彼らは両親に双方の祖父母6人の愛情を一身に受けて育つ。甘やかされるケースが多く「小皇帝」などと呼ばれることが多い。この中国の政策によって生まれた「一人っ子」を対象とした研究が物議を醸している。
その研究によると「中国の一人っ子政策世代はワガママで責任感も協調性もない」というのだ。
研究はオーストラリアのモナシュ大学を始めとした研究チームが北京市に住む421名の中国人青年に対して行ったものだ。
被験者を一人っ子政策前に誕生した2グループ、政策開始後に誕生した2グループの計4グループに分け、経済学に関するゲームを体験してもらう。その結果から彼らの価値観や思想が分析された。すると、両者は主に人とのコミュニケーションの部分で大きな違いが認められたという。
この結果について、モナシュ大学のリサ・キャメロン氏は
「一人っ子政策の結果として、彼らはそれまでの世代と比較して、ワガママ、極度に他人を信用せず、信用されることもない、またリスクや競争を嫌う。そして消極的で悲観的にして責任感もなく神経質な傾向にあると言えます。
このような傾向は中国社会に影響を与えるだけでなく、ひいては経済にも影響を与えると考えられます」
と、話している。事実、政策開始後に生まれた世代では、自営業などリスクが高い仕事は人気がないそうだ。
このニュースに対し、中国のネットユーザーは
「全てを“一人っ子政策”のせいにするのはどうかと思う」
「一人っ子政策がなければ今頃中国は人口爆発で崩壊してる」
「中2病かよ(笑)誰だって中2病になるんだから仕方ない」
「40代50代のマナーの悪さをどう説明する?」
「ちょっと極端……」
「古い価値観で見るとそうかもしれないけど、これからは一人っ子世代の価値観が主流になるのでは?」
「ウチらだって大変」
「一人っ子だって幼稚園や学校でいろいろ揉まれてるって」
などと反論している。
確かに、中国国内でも一人っ子政策施行後の1980年以降に生まれた世代は“80後”、“90後”などと呼ばれ、それまでの世代と価値観が違うとされている。
だが、中国人によると「それは一人っ子政策のせいというより、市場経済の導入で小さい頃から物質的に豊かだったからでは?」とのこと。この研究結果は中国のネットユーザーにはピンとこなかったようだ。