過酷な状況下で食べるメシは、美味い。つい先日、私(記者)は富士山に登ってきたのだが、富士山頂で食べる豚汁の美味かったこと美味かったこと……。まさに涙が出るほどの美味さであった。

それでは、普段なにげなく食べているインスタント食品ならばどうだろう。カップラーメンやカップ焼そばを、過酷な状況のもとで作り、食べてみたらどう感じるのだろうか? その謎を解き明かすべく、私は兵庫県の瀬戸内海に浮かぶ無人島「加島(かしま)」へと向かったのであった。

・火をおこすにも一苦労!
姫路港から船に乗って約30分。目前に広がるのは、まさに誰がどう見ても無人島であり、電気もガスも水道も、なーんにもない島であった。私が持参したのは、ちょいと腹が空いた時によく食べているカップ焼そば『日清焼そばU.F.O.』だ。

当然ながらポットはない。お湯はないので作るしかない。あらかじめ用意しておいた火おこしキットで、原始的にゴシゴシと火をおこす。なにぶん初心者なもので、種火を作るのに一時間以上もかかってしまった。そのぶん、火が付いた時の感動はひとしおだ。

・お湯を沸かすにも一苦労だ!
コンロの上に水の入ったやかんを置く。沸騰すれば勝利は目前……なのだが、これがなかなか沸騰しない! コンロのまわりに風よけなどを用意すればよかったと気づいたのは、やかんを火にかけてから30分以上も経った頃だった。

また、風が強かったため火がすぐに消えそうになる! 必死で空気を送り込み、細かい枝をコンロに投入しまくって「消えるなぁ! 消えるなぁーっ!」と念じながら火を守る。カップ焼そば用のお湯を作るだけで、こんなにも苦労するとは想像外だった。

・苦労に苦労を重ねて作り上げた『日清焼そばU.F.O.』の味は……?
そんなこんなでお湯が出来上がり、『日清焼そばU.F.O.』の中にお湯を投入。そして待つこと3分間。いつものようにソースとかやくを入れてかき混ぜる。見た目はいつものU.F.O.だ。しかし、その味は……

「当然ながら美味い!」

カメラマンに感想を求められ、その場でとっさに思いついた言葉が上記の「当然ながら美味い!」であった。当然ながら美味いのだ。いつもの『日清焼そばU.F.O.』の味に、無人島で合計2時間もかけて作った『苦労』の味が加わって、美味く感じられたのである。

こんなにも苦労して、いざ食べてみたら、いつもよりもマズかった……なんてことになるわけがない。当然ながら、美味いのだ。いつも食べている『日清焼そばU.F.O.』も美味しいが、無人島で食べるU.F.O.がこんなにも激ウマだとは……。“苦労” という名のスパイスは、史上最強の隠し味である。

写真:ロケットニュース24

▼船に乗り…

▼無人島に渡り…

▼火をおこし…

▼湯を沸かし…

▼苦労して作ったU.F.O.の味とは…