現在、世界中120カ国以上の国の人たちが日本語を勉強している。やはり彼らが求めるのは教科書のようなカタイ日本語ではない。我々日本人が日常で使うような「生きた日本語」だ。
そんなニーズに応えるべく、さまざまなシチュエーションの日本語教科書が出版されているが、海外でなんと腐女子専用の日本語教科書を発見。説明によると「わかりやすいイラストとあなたがよく知っているセリフで学ぼう」とある。一見ネタ本か同人誌にも見えるが、香港の出版社が出版したれっきとした本らしい。むむむッ、これは一体!?
腐女子専用の日本語教科書『腐女子的日語 工口50音』を発見したのは中国だ。この本の特徴は「あいうえお」の5つの母音を擬人化! 彼らの楽しいイラストで日本語を学ぶというものである。
それにしても設定が異常に細かい。たとえば
「あ君」は身長170センチ、体重53キロ、属性は「熱血」
「い君」は身長178センチ、体重56キロ、属性「メガネ」
「う君」は身長183センチ、体重59キロ、属性「おじさま」
「え君」は身長175センチ、体重48キロ、属性「退廃」
「お君」は身長160センチ、体重45キロ、属性は「ショタ」 などなど。
また、好きな色、好きな食べ物、好きな男性のタイプ、そしてカップリングされた際能動的な「攻め」か受動的な「受け」かまで事細かく設定されている。設定だけで13ページも割いているぞ!
キャラ設定を頭に叩き込んだあと、いよいよ本編へ。ひらがな、カタカナ表記、仮名の元になったまさかの万葉仮名表記を紹介。一般向けの教科書と比べても何の遜色もない。
そしてページをめくると……美麗イラストキター!! イラストと共によく使われる日本語セリフを中国語訳つきで紹介。その一部をご紹介すると……
あ:「あなたが欲しい」
か:「噛むな」
せ:「せっかちだね、君は」
れ:「連続で毎晩するから、体が壊れるわけだ」
ん:「ん……んんん……」(『腐女子的日語』より引用)
むむむッ、これは……ッッ。
また用語解説では、脳内妄想は「腐女子の動力」、メガネは「萌え男子用の神アイテム」、新撰組は「美少年だらけの組織」など、的中しているような気も何か違うような気もするが、一度見ればもう二度と忘れないだろう。
勉強するとき、好きな科目や単元は全く苦にならないというご経験はないだろうか。まさに、「好き」ということは学習の強い動機であり原動力となりうる。『腐女子的日語』はネタとしても秀逸。そして実用的かどうかは何とも言えないが、ターゲットを絞った教科書としてかなり秀逸な出来ではないだろうか。日本人が読めば中国語の勉強にもなるぞ。
なお販売地区は中国大陸、香港、台湾である。別冊でひらがな練習帳も発売中である。これは中華圏腐女子との交流には必携の1冊かもしれない。
参考リンク:Aniunite(中国語)
Report:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.
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▼まずは擬人化キャラ紹介
▼設定細けぇぇぇ!
▼万葉仮名も紹介とは本格的である
▼このように「わかりやすいイラストとよく聞くセリフ」で日本語を勉強だ
▼単語の解説も! 日本人にとっては逆に中国語の勉強になりそうである
▼ひらがな練習帳、こちらも腐女子用
▼書店の漫画か日本語教材コーナーで買えるらしい
▼こうやって日本語が堪能な外国人が生まれるかと思うと胸が熱くなる思いだ