固定電話でも携帯電話でも、「間違い電話」はつきものである。画面に表示される全く知らない電話番号。「誰だ?」と思いながら出てみると、「あ、まちがえました! すみません!」で日本国内であればカタがつく。ああ、また、間違い電話か……と。

だがしかし、それが国際電話だと薄気味悪さは一気に倍増。なんせ海の向こうの誰かしらが、私(記者)のケータイにダイレクトに電話してくるのである。高い通話代を払って、わざわざ海外からかけてくるのである。直(ちょく)に、そう、直に! どこでどう間違えれば私のケータイ番号なのか。

――話は昨年の秋ごろにさかのぼる。

・なんの前触れもなくかかってきた国際電話
私のケータイはソフトバンクのiPhoneだ。現在はiPhone4Sだが、当時はまだiPhone 3GSであった。丸みを帯びたナイスなデザイン。お気に入りのiPhoneだった。

いつものように編集部で仕事をする。そろそろ腹が減ってきた。晩メシは何にしようかな。格安中華屋のチャーハンか、弁当屋のカツカレーか……共に500円以内である。さあてどっちにしようかなぁ~と思っていたその時だった!

・なぞのウンベラ口調
iPhoneのバイブが振動する。着信だ。画面を見ると、やたらと長ったらしい番号が。こ、国際電話だ……とすぐに理解した。誰だ? 海の向こうから私の携帯に電話してくるのは誰なんだ? カンボジアのあの人か? それともネパールのあの人か? それとも……とドキドキしながら電話に出る。すると――

「ウンベラベララベラウンウンベラベラ、ベラベラベラウンウン、ウンベラベララベラウンウンベラベラベラリンコ……」

今まで聞いたこともないような言葉である。表情の見えない、機械的な女性の声だ。一瞬、「ヒンドゥー語?」と思ったが、冷静に聞いてみるとそうではない。一体何を言っているんだ? というかアンタは一体誰なんだ?

「ハロー! ハローハロー!」

私は必死に応答を求める。しかし、受話器の先にいるなぞの女性は、無機質に「ウンベラベララベラウンウンベラベラ……」とウンベラ調を崩さない。どうやら自動音声のようなのだ。結局、1~2分ウンベラ女性は一方的に何かを話し、ガチャリと電話は切れたのだった。

・Who Calls Me?
なんなんだこれは。一体全体、なんなんだ。そもそも何語なんだウンベラ語。今まで様々な国に旅行しに行ってきたが、こんな言葉は聞いたことないぞ? あっけにとられる私に対し、同僚から「その番号でググってみれば?」との提案が。そうだ、そうだ、それがいい。なんかあったらすぐにググる。ネット社会の常識だ。

そして、発信元の番号をGoogleに入力。検索ボタンをポチッと押すと……出るわ出るわ、膨大な数の検索結果がヒットした。なかでも検索結果の上のほうに出てきたサイトに私は注目した。その名も「Who Calls Me」、直訳すれば「誰がアタシに電話してきたの?」である。

・世界中にかけられていたなぞの国際電話。ウンベラ語の正体も明らかに
私にかけてきたウンベラ番号も同サイトには登録されており、掲示板スタイルで熱い議論が交わされている。それにしても膨大な書き込みである。電話番号別の掲示板になっているのだが、ウンベラ番号の話題だけで700件近い書き込みがされているのだ。さらに、そのほとんどが1度しか書き込みしていないので、少なく見積もっても500人はいる計算だ。

ざっと内容を読んでみる。様々な情報が、英語、ロシア語、アラビア語……と、様々な国の言葉で書きこまれており、情報も錯綜、何が真実なのか分からない状況になっているが、とにかく間違いのないことは、ウンベラ口調のウンベラ語の正体はヘブライ語。イスラエルの公用語のひとつである、ヘブライ語であるとのこと。

・背筋も凍る「モサド」の文字
へ、ヘブライ語? さらになんでまたイスラエル? イスラエルなんて行ったことはないのだが……と混乱する私に対し、掲示板の情報は追い打ちをかける。そこには「モサド」こと、イスラエル諜報特務庁(イスラエルの情報機関)の文字があったのだ。モサド? モ、モ、モサド!? なんでモサドが私のケータイ番号を知っているんだ!?

背後に敵がいないか確認しつつ、私はさらに掲示板を読み進める。700件近い書き込みを、すべて読む。翻訳機をバリバリ使いながら、どんどん読みこんでみると……意外な事実が次々と判明したのである!
(つづく)

(文=GO
イメージ画像:ロケットニュース24

参考リンク:Who Calls Me(主に英語)

▼これが「Who Calls Me」だ!