中国を旅行されたことのある方ならよくご存知だろう。中国は間違いなくゴミのポイ捨て大国だ。後ろめたさも何もなく自分のテリトリー以外ではポイ捨てOKな風潮さえある。

そんな中国で業を煮やした行政側が「ゴミのポイ捨ては罰金5000元(約6万1000円)」という標語をかかげたところ、恐れをなした市民が続出。何と3日で街が超キレイになったそうだ。

このキャンペーンを実施したのは中国陝西(せんせい)省の延安市だ。10月31日から街中に「たったひとつのゴミでも、ポイ捨ては罰金1000元~5000元(約1万2000円~6万1000円)」と書かれた横断幕を街中に掲げたところ、なんと明らかに街がキレイになっていたそうだ。ちなみに昨年の中国の大卒初任給は最高額で2520元(約3万1000円)。罰金5000元とは市民が恐れをなすには十分すぎる金額だ。

街の清掃員によると「横断幕の効果は抜群でした。通行人も車からもところかまわずゴミを捨てるから、回収しても回収しても仕事は終わらなかったんですね。ここ数日は明らかにゴミが少なくなっています」とのことだ。延安市に限らず中国では街に清掃員がいるので「どうせ拾ってくれるし」と路上にゴミを捨てる人は多い。ひどい場合は「清掃員の仕事を作ってやってるんだ」と言う市民もいるくらいだ。

このキャンペーンを指示したのはこの地区の共産党委員会書記の王文忠氏である。王氏は以前香港を視察したとき、香港はゴミのポイ捨てや痰の吐き捨てに厳罰処置をとっていることを知り、今回実施してみたのだという。

中国の法律ではゴミのポイ捨てに対する罰金最高額は約200元(2400円)だ。氏によるとこの「5000元」は一種の脅しで、違反者から実際に徴収するつもりはなかったそうだ。ちなみにキャンペーン期間中、違反者は一人も出なかったらしい。

これについて市民からは「結果的にゴミが減ったからよかった」という意見もあれば「こんな脅迫じみた方法はどうかと思う」というような意見もあり賛否両論である。ただ、両者共に「そもそもゴミのポイ捨てをするという神経がおかしい」という点では一致しているようだ。

現在、横断幕は王氏の上司の指示により「内容が法律に準拠していない」として全て撤去、「ポイ捨て禁止、違反者には法的罰則があります」というものにかけ換えられているそうだ。

参照元: 華商報(中国語)