本日5日午前に辞任の考えを明らかにした松本龍復興相。この問題は、3日に宮城県庁を訪問した際、村井嘉浩知事が出迎えなかったことに腹を立て、恫喝とも思える態度で叱責したあげく、現場を取材していたマスコミに向かって「今の最後の言葉はオフレコです。いいですか? 皆さん。絶対書いたらその社は終わりだから」と発言したこと発端となっている。

しかし、「書いたらその社は終わり」の脅しを物ともせず、東北放送(TBC)はあっさりとニュースで報道。オフレコ発言のシーンも、そのまま放送した。このニュース映像はYouTubeで公開され、またたく間にネットで話題となり、本誌を含むネットメディアなどが次々と報道。その後、テレビでも報じられて大問題に発展し今に至るといった流れである。

もしも東北放送(TBC)が、あのシーンを報じていなかったら、ここまでの問題にはなっていなかったはずだ。それもそのはず、東北放送(TBC)以外の主要メディアは、見事に「オフレコ発言」をスルーし、当たり障りの無い記事で一報を打っていたからである。東北放送(TBC)と他社メディアの記事の違いは、映像がYouTubeで公開された時からネットでは話題になっていた。そして今、著名人からも「日本メディアのあり方」について、疑問の声があがっている。

まず、脳科学者として有名な茂木健一郎氏は、自身のTwitterで
 
「今回の松本龍氏の放言問題について、新聞が最初は定型的な記事で済ませようとしたことが、どうしても腑に落ちない。現場にいた記者は、怒りを感じなかったのか。その場で「ふざけるな!」と怒号が飛ぶくらいの反射神経を、人間としてどうして持てなかったのか?」茂木健一郎Twitterより引用
 
と発言。ジャーナリスト田原総一朗氏も自身のTwitterで
 
「メディアはその甘えを批判せず、一方的に松本さんを責め立てる。それも4日の時点ではおっかなびっくりでまるで書かない新聞もいくつもあった。そして世論が反松本だとわかると5日に急に大スペースで大批判した。だらしないぞと思う。」田原総一朗Twitterより引用
 
と発言。経済学者の池田信夫氏も、自身のブログで
 
「しかも情けないのは、他の社がやりはじめると、われもわれもと(当日は放送しなかった)同じビデオが何回も出てくることだ。1社だけだと「糾弾」されるが、みんなでやると安全だからである。日本をだめにしているのはこういう「空気」だということを、マスコミは身をもって教えてくれる。」池田信夫ブログより引用
 
と述べ、池田氏が同エントリーで紹介している自民党参議院議員の世耕弘成氏も
 
「ところがネットの影響で翌7月4日(月)になり騒ぎが大きくなってくると、テレビ朝日、日本テレビ、NHKがそれぞれ知事と大臣の会談模様を流し始めた。各社は取材映像を持っていながら、事態発生から丸一日たってネット等で騒ぎが大きくなってから放送したことになる。ということは松本大臣の「今の最後の言葉はオフレコ。いいですね。皆さん。書いたらその社は終わりだから」という圧力に屈したということではないか。」世耕弘成ブログより引用
 
とブログに書き込んでおり、皆一様に、あの場にいた東北放送(TBC)以外のメディアの報道姿勢を疑問視している。

「書いたらその社は終わり」と発言した末、自身の職を終わらせることになった松本龍復興相。菅直人首相の任命責任を追及する動きもあり、この問題はまだしばらく尾を引くことになりそうだ。

画像:Twitter namatahara