最近、新しい物語が始まった『ジョジョの奇妙な冒険』。ストーリーの全貌はまだ定かではないのだが、一説では今作は血統が重要な鍵を握るのでは?とも予測されている。今後の展開が非常に楽しみなのだが、その作者、荒木飛呂彦氏が著書を発刊したのをご存知だろうか? 荒木氏が愛してやまないホラー映画の評論「荒木飛呂彦の奇妙な映画論 偏愛的ホラー映画100選」である。彼独自のホラー映画の見方や、作品についての批評がふんだんに盛り込まれている。

冒頭で彼は、2009年公開の映画『プレシャス』を紹介し、これをホラー映画と評している。この作品はハーレムの過酷な環境下で暮らす少女が、牧師との出会いにより、人生の希望を見出すヒューマンドラマだ。人種や貧困の問題を鋭く描き出した作品で、アカデミー賞2部門を受賞している。

荒木氏は、これをホラー映画というのだ。彼の説明によれば、ゾンビや殺人鬼が登場する映画だけがホラー映画ではないという。見る者が恐怖するしかない状況を作り出し、それをフィクションとして見ることができるもの、これをホラー映画と捉えているのである。ホラー映画の定義ひとつを取ってみても、彼の独自の感じ方・考え方を垣間見ることができるだろう。

そして、興味深いのが荒木氏の選ぶホラー映画ベスト20だ。その一部をご紹介しよう。

・ アイ・アム・レジェンド フランシス・ローレンス監督(2007年)
・ リング(TV版) フジテレビ(1999年)
・ ノーカントリー コーエン兄弟制作(2007年)
・ エイリアン リドリー・スコット監督(1979年)
・ 愛がこわれるとき ジョセフ・ルーベン監督(1991年)

このほかの作品については、是非書籍を購入して、ご自身で確かめて頂きたい。

なお、ジョジョの奇妙な冒険第4部に登場する人物、岸辺露伴のキャラクター像についても説明がされている。どうやら、ある映画のキャラの影響が、露伴に反映されているようだ。ジョジョファンにとっても、楽しめる1冊であることに間違いない。気になる方は書店へ。ただし立ち読みはダメだぞ!

写真:ロケットニュース24