駅やデパートなど人の多いところで、人の行き来が上手くいかず全然前に進めなかったという経験はないだろうか? 現在、そういった人混みの動きをスムーズにする歩道が開発されており、今までの歩道のあり方を大きく変えようとしている。

これを開発しているのは日本の電気通信大学で、彼らはレンチキュラレンズを使って人を視覚的に誘導する歩道の制作に取り組んでいる。レンチキュラレンズとは、3Dポストカードなどでよく見かけるレンズのことで、角度によって見える画像を変化させるという性質を持っている。

そして人には、歩く際に視覚情報を優先させてバランスを保つという特性があることから、人が歩くと模様が右へと動いていくレンチキュラレンズを作り、これによって人の流れを上手く誘導しようというのが今回のプロジェクトの目的だ。

実地試験により、この手法はプロジェクターで映像を映し出すより効果的であることが分かっており、さらに電力も一切使わないという利点も持っている。

そしてレンチキュラレンズでは、キャラクターが動いているように見せることもでき、動くキャラクターを追っていたらいつの間にか通路の右に来ていたということも実現可能だとのこと。しかし、レンチキュラレンズは床材としての使用を想定して作られてないので、どれだけの耐久性を持っているかが今後の開発の大きな鍵を握っている。

未来の歩道を描き出す今回のプロジェクト。もしこれが上手く発展していけば、観光名所を案内していく歩道や、絶景スポットを教えてくれる歩道が登場してくるかもしれない。そう考えると、実に様々な可能性を秘めた技術である。
(文=田代大一朗

参照元:DigInfo TV(英文), Youtube/Diginfonews

▼こちらがその開発中の歩道