チェルノブイリ原発事故や東海村臨海事故で、被ばく者の治療に当たったアメリカのロバート・ゲール医師が22日、都内で報道各社の取材に応じた。そのなかでゲール医師は、原発事故で懸念される放射性物質の影響による発がんリスクについて、「喫煙の方がはるかに(リスクが)高い」と指摘している。
時事通信社の報道によると、ゲール医師は自らが治療に当たったチェルノブイリ原発事故の経験をもとに「(今回の)原発とチェルノブイリは全く事情が異なる。現時点の発がんリスクは低いだろう」との見解を示した。
また放射性物質に関して、「(福島第一原発の)大半の放射性物質は格納容器に入っている。漏れ出た量はチェルノブイリの1000分の1ではないか」と指摘、そのうえで「喫煙の方が発がんリスクがはるかに高い。避難指示の範囲など政府の対応は妥当だ」としている。
「(チェルノブイリ原発事故)当時、旧ソ連内には物流のシステムも十分になかった。日本の場合は、こうした予防的な措置を取ることは十分に可能であるし、酪農が盛んだった旧ソ連・北欧・東欧に比べて、普段から海藻などヨウ素の摂取量が多い食生活をしています。チェルノブイリのような大規模な被害になるとは考えられません」
と説明しているのである。ちなみに米コロラド州のデンバーの住民は、ニューヨークに比べて6倍の放射線を浴びているという。しかし発がん率に差はないとのことだ。
「浴びる放射線を減らすことが重要だが、一方で日常的に浴びているという事実をきっちり認識すること。過剰に反応しないことは大事です」と、冷静な対応を呼びかけている。