台北きっての繁華街・西門町。若者が集まるスカしたお店の多いエリアだが、台湾の面白さはそうしたスカシ系と、どんより煤けた親父臭漂うお店が、ごく自然に融合しているところだろう。
今回紹介するオタクデパート「萬年商業大樓」も、表から見た限り、せいぜいお茶やら強精剤くらいしか売ってなさそうな、古ぼけたねずみ色の冴えない建物。ところが中に入ると──!
1階から4階まで、フィギュア、エアガン、ラジコン、ゲーム、コスプレ衣装、マンガ、ガシャポン……などなど、そっち系の小さなテナントでびっしり!
半数近くのお店が日本から運んできたあれこれをメイン商品としており、日本の雑誌を並べただけの専門店なんてのも普通にある。しかもそんなニッチな書店が、レジ前に長蛇の列ができるほどの超満員。むろん、客も店員もすべて台湾人だ。
並べられた本はアニメ関係に留まらず、「Nゲージカタログ」「日本の旅客機」「飛行機プラモカタログ」「日本海軍の潜水艦」──なんつーか、日本人の僕にとっても馴染みの薄い怒濤のセレクション。
普段「こんな雑誌、誰が買うんだ?」と不思議に思っていた、あんな本、こんな本。ひょっとして、こういう隠れた需要に支えられていたのかも?
(取材・文・写真=クーロン黒沢)