増加率前年比43.6パーセント。これは中国偽物ケータイの販売台数に関する数字だ。

先日、ロケットニュース24でもPSPケータイiPad2の発売前流出をお伝えしたように、中国の工場からの発売前ケータイの流出事件が後を絶たない。それを受け、スマートフォン「ブラックベリー」を開発したカナダRIM社は技術の流出を懸念して、タブレット「Playbook」の生産は中国大陸ではなく台湾で行うべきだとの見解を発表した。

折りしも今月は中国当局による「知的財産権保護とコピー商品撲滅強化月間」。放置状態だった中国偽物ケータイ市場は未曾有の危機にさらされていると報じられているが、果たして効果的な対策となるのか、中国での反応をまとめてみた。

中国の偽物ケータイは昨年の出荷量が2.28億台、実に世界の偽物ケータイの20パーセントを占め、その市場は既に一つの産業と化していると言われている。偽物ケータイメーカーの生産力は高く、市場の要求を素早くキャッチし、「速い、安い、高品質」の3条件を見事に満たしており、ユーザーから強い支持を得ている。

「速さ」で言うとプラットフォームの集約化と操作系統のオープン化に伴い、以前は偽物ケータイは生産開始から販売まで1~2カ月かかっていたのが、今では1週間にまで短縮されている。「安さ」で言うと、例えばiPhone4の正規品価格は約6000元(約7万5000円)であるのに対し、偽物の平均価格は900元(約1万1000円)程度だ。

多くの専門家は当局の「知的財産権保護とコピー商品撲滅強化月間」を受け、「偽物メーカーはこの危機をむしろ良い機会と捉え、偽物商品の製造から自主開発ヘシフトチェンジすべき」としている。確かに、コピーとは言え、これだけ迅速に対応できる技術力と生産体制を偽物商品の生産にのみ使うのは勿体無い。

ではユーザーの反応はどうだろうか。

「偽物を使うのは教養のない奴」
「ケータイを使いこなしたいなら、やっぱり正規品だね」

と正規品支持の声もあることにはあるが、やはり大半は偽物ケータイ支持だ。

「正規品は高すぎて買えない」
「正規品も偽物も質は全然変わらない。どちらを買うかは気持ちの問題」
「やたらアプリに課金してくる正規版の方がむしろ詐欺」
「経済発展のためには必ず通る道だと思う」
「日本だって欧米の模倣から始まって発展したんだから、別にいいと思う」

偽物ケータイの購入、使用にあまり罪悪感はないようである。

正規品と偽物の価格差は機種によっては10倍も違うことがある。ユーザーは自分達もその恩恵にあずかっていること、また至上命題である経済発展のためには「必要悪」であると見なされる風潮があることがわかった。

強い需要がある限り偽物ケータイメーカーもそうやすやすと撤退はしないだろう。知的財産権をめぐるイタチごっこはまだ終わりそうにない。

■参考リンク
新浪新聞(中国語)