1月6日、『とんねるずのみなさんのおかげでしたSP』が放送された。この日のために用意された特別企画は「全落ハワイアンオープン」。別企画の海外ロケだと聞かされてハワイまで連れて来られた芸能人たちが、とんねるずにだまされて次々に落とし穴に落ちていく、というもの。その落ちっぷりをゴルフに見立てて、石橋貴明演じる「世界のAO木」が解説を加えていた。

バナナマン日村、おぎやはぎといった芸人から、IKKO、錦野旦、Every Little Thingのいっくん(伊藤一朗)といったタレントやミュージシャンまで、多彩な顔ぶれがとんねるずの毒牙にかかって容赦なく落とし穴に沈められていった。

そして、このロケの前に、石橋とおぎやはぎ矢作が連れ立って、初めてハワイに降り立ったばかりのバナナマン日村に高級時計を買わせる、というミニ企画も行われていた。これが、本編の「全落ハワイアンオープン」にも劣らないほど見ごたえがあった。

「腕時計なんて必要ないから」と嫌がる日村を連れ回して、石橋と矢作は時計店でロレックスの高級時計を試しにつけさせる。彼らは「ぴったりだね」などとさんざん日村をおだてた後で、その値段を確認する。「1万3400ドルです」と店員が答えると、石橋はすかさず「13万円か」とウソをつき、矢作も「今なら(円高だから)11万か」と話を合わせる。ここで、ドルと円の換算も満足にできない日村は、すっかり2人のペースに乗せられて、こんな言葉を放つ。

「えっ、なんでそんなに安いの?」

すっかりだまされた日村は、自分のクレジットカードでその時計を購入。店を出た後で、矢作が「113万円で買えたんだよ」とネタばらしをすると、日村は「ウソでしょ!?」と声を荒げた。その顔面のインパクトに勝るとも劣らないほど、強烈な天然キャラを持っている日村。そんな彼の才能は、常夏の楽園でも健在だった。

さらに、その後で日村は、この高級時計をつけたまま、穴に落下して砂と粉にまみれることになった。汚れた時計を指して、日村はあきれたように「バカなのかな、とんねるずって」とこぼした。昨年デビュー30周年を迎えたとんねるず。彼らが本気で悪ノリを仕掛けたときの破壊力は、いまだに他の追随を許さないものがある。
(文=お笑い評論家・ラリー遠田

イラスト:マミヤ狂四郎