他国とは違う日本の特徴は何? 日本のいいところは? 悪いところは? そんな質問を外国人にされた時、あなたは答えることができるだろうか。日本で生まれ育ってきた私たちにとって、日本のすべてが当たり前であり、こういった質問に答えるのはなかなか難しい。

ましてや一度も海外に行ったことがないとなると、それこそ自分が思う「日本の良さ、悪さ」というものに自信が持てなくなる。そこで今回、8月12日から14日に行われた世界最大規模の同人誌即売会「コミックマーケット80」で、会場に来ていた海外の方「日本に来て、驚いたこと・困ったこと」、「日本の好きなところ・嫌いなところ」を聞いてきた。

彼らの答えを聞いていると、今まで当たり前に思っていたことが海外ではそうではなく、特異なものなんだと気付かせてくれる。そうやって自分の当たり前を疑いながら見ると、今回のインタビューはより興味深いものになることだろう。
 
【日本に来て、驚いたことは何ですか?】
アメリカ ニコルさん(女24歳、上の写真の女性)
「コミケの会場内でHENTAI(英語圏でも日本語の「変態」という言葉が広まりつつある)ポスターが貼ってあったことですね。アメリカのアニメイベントでは、そういったいやらしいポスターは禁止されていますから」
 
スウェーデン ダニエル・Bさん(男25歳)
「日本の暑さですね。こんなに暑いとは思わなかった」
 
スウェーデン ダニエル・Wさん(男22歳)
「コミケにいるたくさんの女装している男性には驚きました」
 
韓国 ミンスンさん(男26歳)
「地震の時に放射線とかいろんな問題があるなかで、みんな冷静で落ち着いていたことには驚きました」
 
韓国 チャングンさん(男19歳)
「トイレの水を流すのに、大と小に分かれていることに驚きました。それから、便器タンクの上にある手を洗う場所にもビックリしました」
 
アメリカ エドウィンさん(男21歳)
「みんな駅のホームできちんと並び、電車を待つことです」
 
アメリカ スコットさん(20歳)
「電車がとても便利で、驚きました」
 
アメリカ ヒュエンさん(女21歳)
「カリフォルニアではどこに行くのにも、車で行くのですが、東京だとすべて電車を使わなければいけないことです」
 
アメリカ ニコラスさん(男21歳)
「日本のエッチな漫画ですね」
 
ドイツ パウルさん(男19歳)
「物価の高さですね。日本で一日過した後、自分が使ったお金の量の多さに驚きます」
 
コンゴ サンジャさん(男21歳)
「みんなに見られることです。東京は大丈夫なんですが、大阪や京都だと周りの人によく見られます」
 
アメリカ エリックさん (男41歳)
「神輿(みこし)ですね。神輿を初めて見た時は、『彼らは一体なにをしているんだろう』って思いました。それから日本の地図に、本屋の場所が記号として載っていることには驚きました」
 
【日本に来て、困ったことは何ですか?】
アメリカ ニコルさん(女24歳)
「タトゥーですね。アメリカでは体にタトゥーを彫ることは普通で、私の両親やおばあちゃんなど多くの人が体にタトゥーを持っています。しかし日本の温泉や銭湯では、刺青があると入れません。私は温泉や銭湯が大好きなので、入るとしたら人目を気にしながら、こっそり入るしかないんです」
 
イギリス オーサーさん(男23歳)
「僕はベジタリアンなんですけど、自分が食べられるものを見つけるのが大変でした」
 
スウェーデン ダニエル・Wさん(男22歳)
「言葉です。僕は全然日本語が話せないので」
 
韓国 チャングンさん(男19歳)
「日本の電車の会社はたくさんあって、どの電車に乗ればいいのかいつも困ります」
 
ドイツ パウルさん(男19歳)
「日本人は親切なので、困ったことはないですね。日本人の多くが英語を話せませんが、それでもみんな僕を助けてくれようとします。ドイツだったら、そんなふうに助けようしてくれる人はそれほどいません」
 
コンゴ サンジャさん(男21歳)
「日本のものはなんでも小さいので、身長の高い僕は、小さいドアをくぐったりするのが大変です」
 
アメリカ エリックさん (男41歳)
「アパートを借りることです。昔自分で日本のアパートを探したのですが、自分が気に入っても入居を断られました。それも何度も。きっと私が日本語を話せなかったのが理由だと思います」
 
スウェーデン フレッドリックさん(男20歳)
「日本人はみんな親切なので、そんなに困ったことはなかったです。道で迷ったら、みんな案内してくれますし」
 
【日本の好きなところは何ですか?】
アメリカ ニコルさん(女24歳)
「とてもモダンな東京の中に、浅草のような古い文化を守り続けている場所がある、そういった最先端な部分と伝統的な部分が混ざり合っているところが好きです。また浴衣のような伝統的な衣装もあって素敵です。アメリカにはそういった衣装はありませんから」
 
イギリス オーサーさん(男23歳)
「日本の音楽や映画が好きです。音楽で言えばエレクトロニックミュージック、映画監督で言えば青山真治さんや北野武さんが好きです」
 
スウェーデン ダニエル・Wさん(男22歳)
「日本の食べ物が大好きです。特に焼肉とラーメンが好きです。それから日本には美しい自然があって、素晴らしいです。日本にはスウェーデンとは違う美しさがあり、例えば周りの空間から独立している日本の神社、そしてその神社を囲んでいる日本の木々は美しいと思います。スウェーデンには松の木や桜はありませんし」
 
スウェーデン ダニエル・Bさん(男25歳)
「日本の食べ物は自分たちにとっては、どれも新しいものばかりで好きです」
 
韓国 ミンスンさん(男26歳)
「少数派をきちんと気にしてくれるところです。例えば韓国では、お店にタバコを吸える喫煙席というものはありません。ですので、みんな本当は吸っていけない道でタバコを吸うしかないんです。でも日本にはきちんと喫煙席が準備されていて、素晴らしいと思います」
 
韓国 チャングンさん(男19歳)
「日本人みんなが親切なところです」
 
アメリカ ヒュエンさん(女21歳)
「みんな親切なところです。道で迷ったら、みんな優しく助けてくれます」
 
アメリカ ニコラスさん(男21歳)
「僕は電化製品が好きなので、ヨドバシカメラ、ビックカメラなどあらゆる種類の電化製品を取り扱っているお店があるところが好きです」
 
アメリカ スコットさん(20歳)
「駅ビルや駅ナカなど日本の駅構内には、いろんなお店があるところが好きです。アメリカだと、駅から離れたところにデパートがありますから」
 
ドイツ パウルさん(男19歳)
「飲み物の自動販売機がどこにでもあるのがいいですね。僕は日本で売っているファンタのハニーレモンが好きです。これはドイツでは売っていません」
 
アメリカ エリックさん (男41歳)
「日本語を勉強するのが好きです。日本語というのはとても難しい言語ですが、それがあるからこそここでの生活がとても楽しいものになっています」
 
スウェーデン フレッドリックさん(男20歳)
「日本では年配の人も漫画とか読んでいて、それが好きですね。スウェーデンでは年配の人は全く漫画を読みませんから。それから、日本の格闘ゲームが好きです。日本には『BLAZBLUE』など素晴らしい格闘ゲームがたくさんありますし。そしてスウェーデンはとても寒い場所ですが、日本はとても暑く、この今までにない気候を味わえるのも好きです」
 
スウェーデン ロバートさん(男20歳)
「日本の漫画が好きです。それから日本には、富士山など美しいものがたくさんあるところも好きです」
 
【日本の嫌いなところは何ですか?】
スウェーデン ダニエル・Bさん(男25歳)
「みんな英語があまり話せないところです。でもお互いお言葉が通じないなかで、コミュニケーションをとろうとすることは面白いことでもあるので、そんなに嫌だというわけではありません」
 
イギリス オーサーさん(男23歳)
「暑すぎるところです」
 
韓国 ミンスンさん(男26歳)
「家賃です。今の為替を考えると、東京の家賃は、ソウルの家賃の2倍くらい高いです」
 
韓国 チャングンさん(男19歳)
「物価が高いところです。それから今とても円高なので、韓国から送ってもらったウォンを円に替えるととても大変なことになるんです」
 
アメリカ ヒュエンさん(女21歳)
「湿気があって、暑いところです」
 
アメリカ エドウィンさん(男21歳)
「いくつかのレストランのメニューが、漢字で書いてあるところです。僕たち留学生にとっては、漢字は難しいですから(笑)」
 
ドイツ パウルさん(男19歳)
「暑すぎるところですね」
 
コンゴ サンジャさん(男21歳)
「周りの人と違うことをしたら、避けられたり、そのグループから拒絶されるところです。日本では、みんな同じことをしなければなりませんから」
 
アメリカ エリックさん (男41歳)
「私は今、公立の中学校で働いているのですが、教室にエアコンがなくそれがとてもつらいです。こんな暑いなかで勉強するより、エアコンを設置し快適な学習環境を作った方が生徒のためになると思うのですが」
 
スウェーデン フレッドリックさん(男20歳)
「日本の物価が高いところですね。スウェーデンではスイカやみかんはとても安いですが、ここ日本での値段はとてつもなく高いです」

ちなみに、日本と海外のコスプレの違いについて彼らは次のように話している。

スウェーデン フレッドリックさん(男20歳)
「スウェーデンでのコスプレイベントでは、みんな同じコスプレをしていてつまらないです。例えば50人がナルトのコスプレ、50人がサスケのコスプレ、そして100人がサクラのコスプレをしている感じです(笑)」
 
ドイツ パウルさん(男19歳)
「ドイツではみんなナルトのキャラクターのコスプレばかりしているのですが、日本ではいろんな種類のコスプレがあっていいですね」
 
いかがだっただろうか? 個人的には、何人かの海外の方に「日本人は親切だ」と言ってもらえたことに日本人としての誇りを感じ、そして自分もそういう日本人にならなければと思った。

みなさんは今回のインタビューに何を感じ、何を思っただろうか? みなさんがこのインタビューによって、今まで気付かなかった新しい日本を発見できたのなら、幸いである。

(文、写真=田代大一朗

▼観光中のイギリス出身オーサーさん

▼観光中のスウェーデン出身ダニエル・Bさん(左)とダニエル・Wさん(右)

▼日本に留学中の韓国留学生チャングンさん(左)とミンスンさん(右)

▼左からアメリカからの留学生スコットさん、エドウィンさん、ヒュエンさん、ニコラスさん

▼観光で日本に来たドイツ出身のパウルさん

▼日本に留学中のコンゴ出身サンジャさん

▼日本で働いているアメリカ出身のエリックさん

▼日本に留学中のスウェーデン出身ロバートさん(左)とフレッドリックさん(右)