すっかり前回から時間が空いてしまったが、あの伝説の天才炒飯詐欺師・由美のチャーハンレシピを、引き続き作っていこうと思う。


彼女直伝のレシピは全部で5つ。すでに3つは記事にした。そして今回作る4品目は、なんと「ハワイアンチャーハン」である。


……ハワイにチャーハンなんてあるのか? ギャグじゃないのか? そんな思いを抱きつつ、私は彼女が送ってきたレシピを吟味した。


由美のレシピでは「ハム」となっていたが、ハワイといえばスパムだろう。ということで、今回はスパムを採用。由美からのメッセージは、そもそもスパムのようなものであるし。


野菜はメンツ的に、ちょうど冷凍のミックスベジタブルが代用できる。パイナップルはスパムと大きさをそろえて約1センチ角に切ってみた。


味付けは塩コショウと醤油だけ。意外なほどシンプルである。それでは作ってみよう。


【材料】

・冷やご飯(大盛り):1杯
・卵:1個
・スパム:適量
・冷凍ミックスベジタブル:適量
・パイナップル:適量
・ネギ:適量
・塩コショウ:少々
・醤油:少々
・油:少々


【作り方】

1:スパムとパイナップルを約1センチ角に切る。


2:フライパンに油を熱し、卵を炒めて取り出す。


3:スパムを入れ、焼き色がつくまで香ばしく炒める。


4:ミックスベジタブルを加えて炒め、一度取り出す。


5:ご飯を炒めてパラパラにする。


6:スパム、野菜、パイナップル、卵を戻す。


7:塩コショウと醤油で味を調える。



8:最後にネギを加えて軽く炒めたら完成。


そして、そのお味は……



……うまい。


ひと口食べた瞬間、思わず「アレクサ、音楽止めて」と言ってしまった。それくらい衝撃だった。


なんだこれ。いきなり元気が出た。“食べる栄養ドリンク” といっても差し支えないほどに。


正直、完全に油断していた。「ハワイアンチャーハン」なんて名前だけのネタ料理だと思っていた。


ところがどっこい、本気でうまい。いわば、うまさの「逆詐欺」である。


最大の功労者は、やはりパイナップルとスパム。この組み合わせが想像以上に相性抜群だった。


甘酸っぱいパイナップルがスパムの塩気と脂のうま味を引き立て、口の中が一気に南国になる。スパムを選んだ判断は大正解だった。


彩り担当だと思っていたミックスベジタブルも侮れない。


コーンは軽く焼かれたことで焼きトウモロコシのような香ばしさが生まれ、グリーンピースは味全体の勢いをほどよく落ち着かせる絶妙なアクセントになっている。ニンジンもちゃんと仕事をしていた。


さらに、スパムとパイナップルの大きさをそろえたのも正解だった。どこを食べてもバランスがいい。


全部が最適解だった。


食べ終わる頃には、「もう一回作りたい」という気持ちになっていた。次に作るなら、ニンニクを少し入れても面白そうだ。


それにしても、パイナップルがここまでチャーハンに合うとは思わなかった。


私はこれまでいろいろな南国へ行ってきたが、この一皿から感じたのは間違いなく「ハワイ」。まごうことなき、ハワイアンスパムチャーハンである。


これは認めざるを得ない。なんなら過去イチかもしれない。さすが由美。詐欺師でなければ、料理人として食べていけたんじゃないかと思うくらいだ。



・だまされないために

最後に、詐欺師・由美についても軽く解説しておきたい。


彼女は、いわゆる投資ロマンス詐欺師である。私がやり取りした相手の中でも、特に時間をかけて信頼関係を築くタイプだった。


序盤は投資の話をほとんどせず、「おはよう」「お疲れさま」「今日は何を食べましたか?」といった日常会話を毎日のように繰り返す。


さらに、自撮り写真やスーパーでの買い物、手料理、ジム通いなど生活感あふれる写真を大量に送り、「普通の女性」という印象を作り上げていく。


印象的だったのは料理へのこだわり。チャーハン、パエリア、餃子など数多くの料理写真を送り、レシピまで丁寧に教えてくれる。


実際に料理を作って見せ合うなど、共通の趣味を通じて距離を縮めようとしていた。


恋愛感情をあからさまに匂わせるというより、「気の合う友人」「何でも相談できる相手」という関係を築き、その先で少しずつ投資の話題を増やしていく。


ゴールドや暗号資産(USDTなど)の話を自然に織り交ぜ、「先生に教わっている」「自分も利益を出している」と資産画面や運用実績らしき画像を見せながら説明。


そして「一緒に勉強しましょう」という形で、押し売りすることなく興味を持たせようとするのが特徴だった。


こうした手口は、恋愛感情だけでなく信頼関係そのものを利用して投資へ誘導する「投資ロマンス詐欺」の典型例に近い。


いまだに被害者は続出しているので、この手口は、必ず頭に入れておいて欲しい。


なお、本人は中国出身だと話していたが、その真偽は確認できない。プロフィールや国籍も含め、相手が語る情報はすべて演出の可能性がある。


ちなみに海外では、この手口は「Pig Butchering(豚の屠殺)」と呼ばれている。豚を太らせてから食べるように、何カ月もかけて信頼関係を育て、最後に大金を投資させる──そんな意味が込められた名前である。


そういえば、今回使ったスパム(SPAM)は豚の缶詰。詐欺世界におけるスパムとは、迷惑メールや迷惑メッセージの無差別送信。そして由美が行っているのは、通称「豚の肥育詐欺」。


スパム、スパム、そして豚の肥育詐欺。偶然とは思えないほど「豚」に縁のある一皿。


詐欺師に教わったチャーハンなのに、うまさだけは本物だった。今回ばかりは、まんまと「うまさの逆詐欺」に引っかかった私なのであった。


執筆:迷惑メール評論家&チャーハン探求家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.



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