私の職場には、私を含めたオタクおじさんが複数いる。どういうおじさん達かは、1つ前の記事を参照いただきたい。

端的に言えば、アニメが大好きで、ロボットとかは特に好きで、何年も同じアニメの同じ話題を繰り返してるような感じの人々だ。

ここ数日はバンダイナムコフィルムワークスYouTube公式チャンネルにて、毎日21時にシリーズ作品が1日1本限定公開されている「パトレイバー」シリーズの話題がメインとなっていた。

・NEW OVA

この記事が公開される頃には、とうに劇パト1、2の公開は過去であろう。この会話を録音(事情は皆把握済み)したのは3月27日、金曜日なのだが、それは件の若者が毎日私の職場に来るわけではないからだ。


おじさんA「だからさ、2(24日から公開された「2 the Movie」の意)の後に、「二課の長い日」を公開した方がよかったと思うんだよ」
「それは、あるかもしれない」
おじさんB「先に公開もしつつ、劇パト1と2を見た後にも見られれば完璧だったんじゃないかなぁ」
おじさんA「〇〇さん(劇パト1で初パトレイバーした20代の若者、前の記事参照)はさ、あの調子で2も見たら、次にあるのがNEW OVAだよ?」
「おたくらはNEW OVAも追ってるのかい?」
おじさんB「あー、昨日帰るの遅くてさ」
おじさんB「パリエト見ちゃったよ。帰りに。君が布教するからw」
「おぉ! 良かったでしょ?」
おじさんB「良かった! 侮ってた。あなた(A)も見なさいよ」
「今見るべきは、ヘイルメアリーとパリエトなんだよ」
おじさんA「ヘイルメアリーは見たよ。パリエトは、そんなにかい?」
「すごく気持ちのいい話を、丁寧にやってるんだよ」
おじさんB「あれ、時代は過酷だよね。でも陰鬱にはしないんだよ」
「あなた(A)、藤田嗣治(画家)知ってるでしょ。ちょうどあの時期のパリで、藤田みたいに援助がなくなった画家志望の少女が頑張るんだよ」
おじさんB「ガートルード・スタインやピカソがその辺にいる頃だよ。こっちの子(HPを見せながら)はバレエをやるんだ」
おじさんB「あの時代に、日本人の女の子がパリで芸術を志すんだよ」
「トントン拍子の夢物語にはしないんだ。夢ってのが現実と地続きなことを、気持ちよく見せてくれる」
おじさんA「なるほど(公式HPを見ながら)……国連が人種差別撤廃のアレを否決する時代だもんなぁ」
若者「あれぇ~、皆さん今日はパトレイバーの話してないんすか?」
おじさん達「……!?」
おじさんA「いや、君を待っていたんだよ」


・困惑していた


おじさんA「結局見たんでしょ? 2も」
若者「いや、見るしかないでしょ。あの後帰って、すぐ見ましたよ」
おじさん達「おぉ」
若者「いや、えっ? マジで? ってw」
若者「続きの映画があんな感じで良いものなんですか?」
若者「なんか、作風が違いません?」
「wwwwww」
「でもほら、内容の傾向はさ、1の感じが、濃くなったというか」
おじさんB「押井監督っていう、あの映画の監督のね、スタイルが濃く出てるんだよね」
若者「鬼滅みたいな感じで続くのかと思ってたので、ビビりましたよ」
「あ、鬼滅は見てるんだ」
おじさんA「実は映画は3本目まであってね」
おじさんB「ややこしくするのは、やめなさいよw」


・各種ジェネレーションギャップ


おじさんB「で、どうだった?」
若者「一瞬ビビったんですけど、ヤバいっすね。最高でした。1より好きかもしれない」
「1では実写みたいな見せ方に驚いてたじゃん。2もダイナミックレンジの低いカメラで撮ったかのごとき画が続くけど」
若者「あ、自分まず、最初のあの、戦車みたいなのがやられるところの激しいチカチカで『えっ?』て思って」
おじさんB「チカチカ?」
若者「普通、ああいうのって、激しい点滅があるので~って流れるじゃないですか」
「あぁ~、え、そこ?」
おじさんA「そうだ。ポケモンショック前なんだよ!」
おじさんA「注意が出るようになったのって、昔のポケモンのアニメで体調不良の視聴者が出てからなのよ」
おじさんB「ポリゴンの回か。俺平気だったけど」
「劇パト2は、ポケモンの数年前だなぁ。新鮮すぎる着眼点」
若者「からの、上からのドローンみたいな視点で、やられたのを静かに見せる」
若者「めっちゃ格好いいっすね。派手にバーンってやらないんだ」
若者「犯人もわかりやすかったっすね。荒川とか絶対怪しいじゃないですか」
「怪しいww」
若者「荒川って、どんどん口が緩くなっていきますよね? 調子に乗って」
おじさんB「後藤さんが、上手いんだよね」
おじさんA「荒川はずっと怪しいし、柘植も犯人だとわかりきってるんだけど、犯人サイド2名の関係が複雑なんだよね」
おじさんA「わかりやすくても、単純じゃない」
若者「それも格好いいっすよね」
若者「そうだ。途中で、船で柘植と南雲さんが密会するじゃないですか」
若者「なんで後藤さんとかが現場にいるんですか?」
「母親が盗み聞きしてんだよね」
おじさんA「当時は携帯無いから。家の固定電話でプライバシー無いのよ」
「一瞬あそこで母親の後ろ姿が映るじゃん。あれが、聞き耳立ててるって表現じゃないかな」
おじさんA「で、母親が後藤らに連絡入れたんだよ。荒川が、そんな感じのこと言ってるよ」
おじさんB「後藤さんの表情がちょっと気まずそうなんだよね」
若者「絵で凄い細かいことやってる……?」
若者「あと太田が、めっちゃいいですね!」
若者「ぶっちゃけ、脳筋馬鹿だとおもってたんすよw 訓練で滅茶苦茶やるし」
おじさんB「間違ってはいないw」
若者「でも実力が凄い。もしかしてあのチーム、全員凄い感じっすか?」
おじさんB・私「おぉ……!」
おじさんA「そうなのよ。凄いから、1のあとバラバラにされて、後藤さんの部隊は弱体化してる」
若者「あっ、あの早く帰ろうとしてた隊員って、そういう意味っすか?」
おじさんA「そういうことだと思うよ。政治だよね」
若者「そういえば、太田を引き取るところで、『熱血馬鹿のあじ』ってあったじゃないですか? 意味不明で」
「アジね。今日日、言わないもんね。アジテーション。熱血馬鹿の扇動ってことよ」


今回は主にジェネレーションギャップゆえの、表面的な部分での疑問が多かったようだ。内容もキャラもだいぶ把握しており、かなり熱中して視聴していたことがうかがえる。

おじさんA「1の時はヒロインの名前もおぼろげだったのに、凄い把握してるね」
若者「2回見たんすよ。あと、1より現実味があって、話が分かりやすい気もして」
おじさんB「嫌な方向で情勢がねw ろくでもないよ」


・WXIII

若者「映画って3本あるじゃないですか」
若者「YouTubeでやらないんですね」
「うん……」
若者「『NEW OVA』もキャラのことがわかって面白いんですけど、なんか普通の感じで。1,2みたいなのがもっと欲しいっていうか」
おじさんA「WXIIIも、凄いんだよ。でもいつものメンツはほとんど出てこない」
おじさんB「1から2でびっくりしたでしょ。3は、怪獣と戦うんだよ」
若者「どうなってるんすかw」
「しかし君が真に求めているものは『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』じゃないかと私は……」
おじさんA「いやいやw だからずっと話してたのよw 君が来る前にね」
おじさんA「映画の前に限定公開されてた『アーリーデイズ』っていうOVAがいいんだ。特に『二課の長い日』は、見たいやつだと思う」
「この間僕らが蕎麦食ってたでしょ。見たら、君もきっと蕎麦を食うんだよ」


私にはどうも、彼はパトレイバーの面白さにやられつつ、押井監督にも大いにやられているように見えた。ゆえに思わず全く別作品をお勧めしてしまったが、行くべきは「アーリーデイズ」だろうと思う。

若者は明らかに1の時点よりキャラや舞台設定の把握などが進んでいた。そのためかストーリーへの理解度も深まっており、より細かい映像表現などにも気づく余裕が持て、感動できたようだ。

1ではアニメ映画で派手な動きが無いことそのものに戸惑っていたが、2では、止まっているがゆえの美しさや格好良さを味わうようになっていた。特に自衛隊が街の治安維持に駆り出されてからの各種カットは印象的だったようだ。

古い作品であっても触れる機会が無ければ、若い世代にとってそれは新しいものと変わらない。それは何事にも通じる本質的な話ではある。しかし、若者がそういう体験をし、吸収していく様を目にできるというのは、おじさんにとっても素晴らしい経験だった。

そういえば『WXⅢ 機動警察パトレイバー』のリバイバル上映は4月10日からでしたね。この熱が高まっているうちに……と行きたいところ。

参考リンク:機動警察パトレイバー公式サイト
執筆:江川資具
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