半年以上前に引っ越しをした。新たな暮らしにも慣れてきたのだが、一つ問題があった。家の中で自室とその周辺のみ、スマホの電波がめっぽう貧弱なのである。ネットの利用や通話に難儀するほどである。

とはいえ、Wi-Fiを介せばネットには繋がるし、電話をかけてくる知人もいないという悲劇的な要因も手伝い、ひどく困り果てるようなことはなかった。さらにそこへ生来の怠惰さも相まって、半年以上に渡って問題を先送りにしていた次第であった。

しかしようやく最近、知人に乏しく怠惰な筆者は「Wi-Fiが使えなくなったらまずいのではないか」ということに気付いた。どうしたものかと解決策を調べたところ、それは案外すぐに見つかった。どうやら世の中には、「電波増幅器」というものがあるらしいのである。

・壊滅的状況

この「電波増幅器」は、室内の比較的電波が強い場所に置くと文字通り電波を増幅してくれる装置で、正式名称を「レピータ」というそうである。

レピータは3大キャリア、すなわちドコモ・au・ソフトバンクの各窓口に申し込めば無料で借りることができる。というわけで、ドコモユーザーの筆者はさっそく同社に申請することにした。


ここで改めて筆者の電波状況の壊滅ぶりを確認しておくと、スマホの画面上部で健気に電波の強さを示すバーの本数で言えば、平均して大体1本から2本、時おり奇跡が起きて上限の4本といった具合である。


圏外ではないにしても、ドコモ公式のスピードテストアプリでダウンロード速度を測ると、0.5Mbpsという虫の息にも等しい数値がたたき出される。ウェブサイトや動画を快適に閲覧するには10Mbpsは欲しいところだが、激しく門前払いである。


それでもウェブを閲覧しようとGoogle Chromeなど使おうものなら、「インターネットに接続されていません」と事実上の死を宣告される始末である。読者の方々はGoogle Chromeに死を宣告されたことがあるだろうか。筆者はある。


・レピータ登場

果たしてこの壊滅ぶりがレピータによってどうにかなるのか。望みを託しつつ、ドコモの「電波のお困りごと窓口」ページにアクセスし、「改善してほしい場所の相談」のリンク先に飛ぶ。

すると専用の申請フォームに案内されるので、住所や使用機種、詳しい電波状況などを入力していく。電波の弱い範囲が1部屋程度であればレピータによって改善しうるとのことで、筆者は装置を送付してもらえる運びとなった。


到着の目安は1週間と書いてあったが、筆者の元にはそれより遥かに早く2日後に届いた。ダンボールを開封すると、中にはレピータ本体と、取扱説明書や設置マニュアルが入っていた。


レピータの実物は幅約16cm・奥行き約6cm・高さ約20cmほどで、やや大きめのWi-Fiルーターのようなサイズ感に収まっている。付属の電源コードもざっと2.5メートル以上はあるので、置きたい場所に置けないということは少なそうである。


その設置場所についてだが、マニュアル曰く、大抵は電波をつかみやすい窓際が適しているようだ。窓の外まで届いている電波を、室内に向けて増幅させるのが定石ということだろう。


実際、筆者の自室が面する室外の通路には、電波が十分に届いていることを確認済みである。その電波をレピータが受け取ることができれば、レピータ上部に搭載されたランプが、電波の強さに応じて最大5つまで点灯する。

つまりより多くのランプが点灯すれば、より良い未来がつかめる。筆者は緊張の息を吞みながら、レピータを窓際に置き、電源につないだ。そしてレピータの準備が整うまで待つこと数分。


点灯したランプは1つであった。私が何をしたというのか。


が、筆者がいじけて塞ぎ込んでいるあいだにランプの数がじりじりと増えだし、やがて3つ点灯した状態で安定してくれた。ほっと胸を撫で下ろしたものの、いずれにせよフルパワーには足りていない。


これで改善したのだろうかとスマホを覗き込んだ筆者の前で、なんと電波表示のバーが元気に4本に張り付きだした


そのうえ前出の計測アプリでダウンロード速度を測り直した結果、13Mbpsという記録が飛び出した。下部に映る「周辺の平均値」を見るといささか悲しくなってくるが、しかし状況が上向いたことは確かである。

何せ、設置前は困難だったネットの利用や通話が、大きな支障なく行えるのである。Google Chromeから死を宣告されることもなくなった。他ならぬレピータの手柄である。


同じ階の別の部屋などに設置すれば一層改善されることもあるようだが、一通り試したところ我が家においては自室の窓際が最も効果が高く、ひとまず今回は現状のまま様子見することにした。


・さらば悪環境

かくして目も当てられないほど電波が荒れ果てていた部屋に、無事に一定の潤いがもたらされた。万が一Wi-Fiが途絶えた際、知人に乏しく怠惰な人間が電波的にも孤立するような未来は回避されたわけである。


なお、レピータをどのように設置しても改善が見られない、あるいはより強力な電波環境を望む場合、ドコモには外付けアンテナを無料で申し込めるサービスも用意されている

また、引っ越しなどでレピータが不要になった場合は、返却が必要。着払い伝票入りの返送キットを取り寄せることが可能だ。なお、引っ越し先でもレピータを使いたい場合は移転の手続きが必要なため、新居にて改めて「電波のお困りごと窓口」へ申込む必要があるので注意されたし。


何はともあれ、今回の件を経て一つ再認識したことがある。こんなに手軽に解決するなら、もっと早くレピータの存在に気付くべきだった。スマホも人間も、感度が高いに越したことはない。 

参考リンク:NTTドコモ「電波のお困りごと窓口」
執筆:西本大紀
Photo:RocketNews24.

▼ドコモの電波増幅器ことレピータ。ちなみに稼働音などは全くしない