光陰矢の如し、今年も冬の福袋の季節がやってきた。毎年この時期に「成城石井」の福袋をネットで購入している筆者だが、大体5年は買い続けているので、そろそろ玄人を名乗っても良いのではないかと思う。

そんな自称玄人がこのたび選んだのは、「大人気おせんべいセット」である。長く買い続けていると、さすがにラインナップの中に「買ったことのある福袋」がチラホラと混じってくるもので、なるべくそれらを避けつつ行き着いた先が今回の選択である。

その「おせんべいセット」を前に、自称玄人は悦に入っていた。まだ素人の頃の自分では、他のきらびやかな福袋たちに目もくれず、この何とも渋い「おせんべいセット」を選ぶなど到底不可能であったろう。自称玄人の自尊心をかき立ててくれる商品に他ならない。

「成城石井」側がそうした効果を狙っていたかは定かでないが、ともあれ「大人気おせんべいセット」の中身を以下に羅列しておく。


・厚焼き藻塩せんべい 120g
・厚焼き藻塩せんべい うす塩味 120g
・ゆず胡椒せんべい 140g
・日本全国味めぐり あごだし藻塩煎 13枚
・厚焼きねぎ味噌せんべい 120g
・日本全国味めぐり 信州みそねぎ煎 8枚
・日本全国味めぐり かさねづけ醤油煎 8枚
・厚焼きごぼうせんべい 120g


以上8点の煎餅が入って、価格は税込3325円だった。通常の手続きでこれらをまとめて購入した場合は、約3500円ほどかかるようだ。


そこだけを見ると若干お得程度にとどまる福袋だが、実は「成城石井」ブランドのショッピングバッグも同梱されている。ネイビーオレンジのカラーがオシャレである。このバッグの分も加味すると、なかなかお買い得ではないかと思う。

そして何より、つくづく渋い。「成城石井」の福袋と言えば、中身を取り出している最中によくわからないカタカナの単語が入った商品名と2、3回は出くわすのが常だが、今回は驚くほど絶無であった。

全ての商品名の意味が手に取るようにわかるし、商品を並べたなら自宅の一角が煎餅の問屋と化す。自称玄人の悦は加速する一方である。

その勢いのまま全8種の食べ比べなどを実行したいところだったが、全ての煎餅を開封した先に待ち受けているのはなかなかハードな煎餅生活であるため、自称玄人は読者の方々の許しを乞う。

その代わりと言ってはなんだが、個人的に最も気になっていた「厚焼きごぼうせんべい」を少し味見してみることにした。最も味の予想がつかないものがこれであった。

味見した結果、1種の煎餅をもって他7種の煎餅のクオリティを窺い知ることとなった。要するに、有り体に言えば美味しすぎた

豊かなごぼうの香りのあとに、狂おしいまでに絶妙な塩味が口の中に広がる。一味唐辛子によるピリリとした辛味もアクセントとして最適だ。

加えて特筆すべきは、摩訶不思議なくらいハイレベルな食感である。例えるなら硬い綿菓子とでも言うべきか。厚焼きであるにもかかわらず、軽快に割れたそばから溶けるように崩れていく口当たりは感動的でさえある。自称玄人は新鮮な驚きに満たされながら虜になった。


というわけで、「大人気おせんべいセット」は価格と質、ともに満足度の高い福袋であった。2025年11月11日現在、まだ通販サイトから購入できるようなので、興味の湧いた方はぜひ自称玄人と同じ、遥か高みではなく少し高いだけのステージまで気軽に上ってきてほしい。

他のきらびやかな福袋たちに勝るとも劣らない、そんな幸福感が味わえるはずである。何とも渋い福袋であっても、年末年始を乗り越えるのに難渋はさせまい。

参考リンク:成城石井 公式サイト「大人気おせんべいセット」商品ページ
執筆:西本大紀
Photo:RocketNews24.