
ある秋の日、都内某所で行われた試食イベント「おいしい博覧会」。食品メーカー各社が自慢の品を持ち寄り、大変にぎわっていたのだが、取材の声に混じってある一角から「シャカシャカシャカシャカ……」「シャカシャカシャカシャカ……」という妙な音が響いていた。見ると、みな紙袋を手に持っている。
それはエスビーのブースだった。ああなるほど、フライドポテト用のシーズニングが発売されたのか……と思っていたらどうも違う。ブースには見慣れた既存商品がずらりと並んでいたのだ。
※本記事では材料の一部にエスビー食品株式会社からの提供品を使用しています。
・公式おすすめ、シーズニングでシェイクポテト?
混ぜるだけで各国料理ができるエスビーのシーズニングは筆者もよく知っている。スーパーの陳列棚でもお馴染みだし、料理に疎い筆者でさえ「パエリア」や「ジャーマンポテト」など普通に使っている。
ところが、ブースでは「チョレギサラダ」やら「パエリア」やらを料理ではなく、フライドポテトに振りかけて配っているのである。思わず「間違えてますよ」と言いそうになったが、担当者の目には一点の曇りもない。ロゴ入りのオリジナル紙袋まで用意してガチである。
筆者の脳裏には「ポテト用の新商品のプロモじゃないのか」とか、「ハンバーグシーズニングとか絶対に加熱前提だろ」とか、さまざまな疑問がめぐったが、何度「ど・れ・で・も・ポテトに使えるんですか?」と尋ねても担当者は笑顔で「はい!」という。
つまり、つまりだ。「ステーキ味のポテト」とか「ジャンバラヤ味のポテト」とか、自宅で作り放題ってこと?
・ひとりポテトパーティーに狂喜乱舞
サンプルとしていただいたものもあるが、それだけではとても好奇心が満たされない。近場のスーパーで売っていたものや、もともと自宅にあったものなどをかき集めて数倍にした。
全80種以上あるというエスビーのシーズニングのうち、使うのはSPICE&HERBシーズニング。1袋に2回分が入っている。
グラム数は商品によって違って、その料理の味つけにちょうどいい分量になっている。
参加者は自分ひとりだけど、ポテパ(ポテトパーティー)を盛大に開催すべく800gの大容量ポテトを用意。せっせと揚げていく。
家庭用フライパンだと容量が小さいから6回も7回も揚げないとならず、しかも菜箸(さいばし)しかなかったので拾うのが大変だった。業務用フライヤーが欲しい……!
シーズニングも準備完了! 台所が実験室みたいになってきた。シェイクする容器はその辺のものでもいいかもしれないが、衛生面や油もれを考えると食品衛生法に適合した紙袋がいいと思う。
まずは鉄板「韓国風チーズポテト」から。これはフライドポテト用に作られたシーズニングなので、マズいはずがない。勝ち確である。
紙袋を開封した途端、ふわっとチーズの香りがただよう。食べる前から甘さが感じられるような、まろやかなフレーバー。
うん、少量でもしっかり味がつく! どことなくサワーポテトのような酸味もあって、それでいてパンチが効いていて食欲増進。いい意味でポテトチップス的なジャンク感がある。手が止まらない。これはもう何も言うことはない、100点。
おおっ、「パエリア」もかなり個性的! 食べた瞬間、脳内にはっきりと「ご飯」が浮かぶ。
どこにも米なんてないし、食感はたしかにポテトなのに、記憶による補正が強力にかかる。食べているものと感じているものがズレるという不思議な感覚! これが「脳がバグる」というヤツか!!
楽しくなってきた。どんどん試してみよう!
これも美味しい、「ローストビーフ」! ローズマリーだろうか、パウダーの状態でもしっかりと鼻に届くハーブやスパイスの香り。ポテトにかけると、じわっと旨みが染み出すようなリッチな味になる。ここでも肉なんてないのに、肉の芳醇な旨みが感じられるという不思議。ジャンクフード代表格のフライドポテトが一気に高級レストラン料理の顔に!
肉料理やグリル料理のパウダーがポテトに合うのは感覚的にも理解できるのだが、フライドポテトとは似ても似つかない「フレッシュサラダ系」はどうだろうか。たとえば「アボカドとトマトのサラダ」……
う、う、旨い! レモンの爽やかな酸味が鼻腔を駆け抜ける。味はひとことで言うと「ドレッシング」なのだが、さっぱりフレッシュでありながら味わい深く、めちゃくちゃポテトに合う。こんなフライドポテト食べたことない。
なんだこれ楽しすぎる。途中で紙袋がなくなったので、ビニール袋を使って狂ったように食べまくる。
マクドナルドのシャカシャカポテトは期間限定だし、入れ替わりが早いから「あのフレーバーもう一度!」と熱望しても叶わない。そのうっぷんを晴らすかのように、次から次へと新味を試す。どれも「この商品だけで料理が完成する」調味料だから、味が重層的で奥深い。
そしてジャガイモのポテンシャルの高さよ! 世界各国、甘いも辛いも「合わない味」がない!!
容器に出して初めてわかるのだが、同じシーズニングでも、色、粒の大きさ、香り、葉っぱの有無などがまったく違う。深遠なるスパイス&ハーブの世界……
たとえば「タコス」はカレースパイスのようなツンとする刺激臭があり、最も香り高かったのだが、ポテトにまぶすには少々粉っぽく感じられた。「ハンバーグ」も同様で、練り込むことが前提の粒感なのだろう。
また、美味しいけどパンチに欠けると思ったのが「魚の香草焼き」や「ライム香る魚介のマリネ」。考えてみれば当然なのだが、シーズニングは「魚の味になる」わけではなく、「魚に味をつける」もの。魚の旨みが加わって完成するわけだから、そのまま食べると物足りなく感じるのかもしれない。
・アイディアの勝利
複数のシーズニングを用意してパーティーメニューにすると楽しいし、料理でシーズニングが余ってしまったときの利活用にもよい。
少量でも味がガッツリつくのは「韓国風チーズポテト」などのポテト用のシーズニング。しかしスパイスの “組み合わせの妙” が感じられ、複雑な味になるのは肉料理やサラダ料理のシーズニングだった。
イベントでは「公式ご乱心……」と密かに心配になったエスビー公式アレンジ、めちゃめちゃ「あり」である! ただ、料理用1袋だとポテトには多いので、コスパ的にもいろいろな味を試すのに便利とはいえない。これ、好きなシーズニングをかけてくれるポテト専門ショップとかあったら大ヒットしちゃうんじゃ……。
参考リンク:エスビー食品株式会社
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
冨樫さや





















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