私(耕平)は思い立ったらすぐ行動するタイプだが、今回はその中でも特に衝動的だったかもしれない。それは先日、香川県を訪問した時のこと。

離島に行きたいと思い、高松のフェリーターミナルに向かった。そして何の下調べもなく「乗船時間が近いから」という理由だけで乗船券を購入してしまった。

行き先は、瀬戸内海に浮かぶ「直島(なおしま)」という離島。昨年、香川県に訪問したときに名前は何となく聞いていたが、その直島は想像をはるかに超えるほど衝撃的だった。

そんなノリと勢いで来てしまった「直島」。その選択は、まさに「後悔」の一言。その理由とは――。

・島そのものがアート

乗船券を購入し、速攻でフェリーに駆け込む。


高松港から約30分、私を乗せたフェリーは直島の本村港に到着した。


下船してすぐに驚いたのが、こじんまりとしたターミナルが、すでにアート化していたことだ。


これを見た瞬間、この離島は今まで訪れた島とはまったく違うという予感を強く抱いた。直島は宮浦、本村、積浦の3つの地区で形成されているとのこと。さっそく本村地区を散策し始めると、古民家が立ち並ぶ風情ある街並みが目に飛び込んできた。


カフェやショップも、ほとんどが古民家を改装したものばかり。歩いているだけで、なんとも言えない懐かしさと新しさが混在した不思議な感覚に包まれる。


そんな中、「本村ラウンジ&アーカイブ」という建物を発見。


店内はアートを思わせる洗練された内装で、私が初めて来たことを告げると、店員さんが親切に「家プロジェクトがオススメですよ」と教えてくれた。「家プロジェクト? 何それ?」という状況だったが、とりあえずチケットを購入することにした。



・直島の本気

「共通オンラインチケット(1200円)」を購入して知ったのだが、家プロジェクトとは古民家や神社を改装して1つの作品として展示しているアートプロジェクトだった。


直島の家プロジェクトには7つのラインナップがあり、そのうち5つは共通チケットで入ることができる。ちなみに「オンラインワンサイトチケット(600円)」というのもあるが、1軒しか入れないので、初めて来るなら断然共通チケットがお得だ。

本村地区の5軒を回ってみると、「異空間」という言葉がまさにぴったりだった。外観は普通の古民家なのに、一歩中に入ると思いもよらない世界が待っている。


有料施設なので中の写真は載せられないが、ハッキリ言おう……「家プロジェクトの共通チケットは、直島に来たらマストで買いだ!」


そして、建築家の安藤忠雄氏が手がけた「ANDO MUSEUM」も凄かった。


こちらも有料施設だが入口の外観からは想像できないほど、中には広々としたコンクリートアートの空間が広がっていた。古民家の中にこんな空間があるなんて、まったく予想できない仕掛けに脱帽である。

ちなみにどの施設も撮影はOKだが、フラッシュ撮影と動画はNGとのこと。このあたりのルールがきちんと整っていて、アート作品への配慮が感じられた。


本村地区には他にも見どころがある。「直島新美術館」もその一つだが、建物まで辿り着くには なかなか過酷な階段を上らなければならない。


ただその階段を登り切った先には、素晴らしい光景が待っている。


今回は時間の関係で美術館の中には入らなかったが、併設されているカフェは瀬戸内海を一望できて最高のロケーションだった。


驚いたのは、直島では役場すらアート風の建物になっていることだ。


「直島ホール」と呼ばれている町民会館までもアートな建築で統一されている。マジで島全体が美術館のような感覚で、歩いているだけで楽しい。


これほどアートに溢れる本村地区だが、実は島のメインの玄関口は宮ノ浦地区の「宮浦港」だと知る。


せっかくなので、徒歩で行ってみることにした。途中にはサッカー場があり、象のような不思議なアート作品が置いてあったり……


島に唯一あるコンビニ、セブンイレブンがあったりと、歩いているだけで新しい発見がある。


徒歩30分ほどで宮浦のフェリーターミナルに到着。


こちらは本村港とは規模も違い、便の数も格段に多い。そして、ここにも数々のアート作品が屋外に点在していた。日本を代表する芸術家の草間彌生氏が手がけた作品「赤カボチャ」をはじめ、世界的なアーティストが手がけたオブジェが点在している。


港のターミナル周辺だけでも、十分にアート鑑賞を楽しめるほど充実していた。



・完全に後悔している理由

正直に言おう。私はこの島に来て激しく後悔している。その理由とは……


「絶対に最低1泊で来るべき、素晴らしい島だった!」


これに尽きる。帰りのフェリーの関係で約5時間の滞在になってしまったが、まったく時間が足りなかった。夜には作品がライトアップされることで、また違う顔を見せるらしい。そして周辺の離島である「豊島(てしま)」「犬島(いぬじま)」なども、アートで有名だと聞いた。

何の計画も立てずにフラリと来てしまったが、次回は絶対にちゃんと計画を立てて1泊で来ようと決めた。できれば2泊3日くらいで、ゆっくりと島の魅力を堪能したい。

ちなみに観光客は、私が訪れた日は圧倒的に外国人が多かったイメージだ。このことから、直島が世界的に注目されているのではないだろうか? と感じた。

——というわけで、直島は想像以上にアートに溢れた素晴らしい島だった。無計画で来てしまった自分を悔やみつつも、この島の魅力に完全にやられてしまった。もし瀬戸内海エリアに行く機会があれば、直島は絶対に訪れてほしいと心からオススメしたい!

参考リンク:直島観光旅サイト(直島町観光協会) 
執筆:耕平 
Photo:RocketNews24.
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▼マジで一生に1度は行ったほうがいいと強くオススメしたい!

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