『ポケふた』(ポケモンをデザインしたマンホールのふた)は現在、全国41都道府県に400枚以上が設置されている。その中で全市町村にポケふたが設置されているのは宮城、鳥取、香川、宮崎の4県だ。つまり県全域を回らないと全ポケふたが回収できないってこと。

何を隠そう、鳥取は私の出身地である。出身地ではあるのだが、私は鳥取の全19市町村のうち、おそらく半分くらいしか訪れたことがない。そしてこのままいくと、たぶん一生訪れることはないだろう。そんなのって……悲しすぎるよ!

ってことで鳥取の全市町村を制覇しがてら、全ポケふたを回収してみることにした。果たして丸2日で足りるのか……? 鳥取出身だけど見当もつかないッ!!!

・絶対決めておくべきこと

ポケふたの所在地については公式サイトに詳しく記載されている。先ほど「見当もつかない」と申し上げはしたが、そこは腐っても鳥取出身者。それなりの土地勘と実家の車を有している私は、県外から訪れる人に比べると圧倒的有利な状況でポケふた巡りに臨めるといえよう。

色々な考え方があると思うが、私が今回描いた最適ルートは “県南東部を始点に東部 → 中部エリアの順でポケふたを巡る。西部に宿泊し、2日目で残りのポケふたを回収する” であった。早朝8時に中部の実家を出発した私は、同行する友人(大阪からバスで鳥取入り)を拾うため鳥取市用瀬町の高速バス停留所へ。生まれて初めて来る場所だ。

この段階で、私が想定していた「事前に決めておくべき事項」は以下の2点である。


①ポケふた撮影は太陽の出ている時間帯に限定するのか?
②ついでに鳥取観光もしたいのか?


あくまで予想だが「昼夜問わず車を走らせ続ける」という条件であれば、24時間以内に鳥取県内の全ポケふたを巡ることは可能な気がする。だがしかし……胸に手を当てて考えてみてくれ。そんな地獄のRTA、本当にやりたいか?

私と友人が胸に手を当てた結果、「太陽の出ている状態でポケふたを撮影したい」ということで意見が一致。よって今回のチャレンジは日没をタイムリミットとする。


また②に関しては先に結論をお伝えしておこう……鳥取観光もしたいなら3〜4日かかるぞ。時間がないならポケふたに全集中すべし。


用瀬PAから車で約15分。東部最南端のポケふたがある『智頭(ちづ)』駅前に到着した。

記念すべき第一ポケふたの図柄は『サンドとサンドパンとウソッキー』。言い忘れてたけどサンドは鳥取のご当地ポケモンだ。急いでパシャリ!

……と、ここで私が想定していなかった「事前に決めておくべき事項」が追加で判明したのでお伝えする。以下の2つだ。


③『ポケふたスタンプ』を集めるのか?
④撮影の仕方にこだわるのか?


・想定外の落とし穴

ウッカリ忘れていたが、鳥取県内のポケふたそばには『ポケふたスタンプ』が設置されているのである。

おまけに現在(2026年1月31日まで)、『ポケふた周遊スタンプラリー』なるイベントが開催中。専用の台紙にスタンプを捺印、もしくはデジタルスタンプをスマホに取り込むと、抽選で豪華景品が当たるという内容だ。普通にスタンプ台紙として使える『トリパス』冊子は県内の観光案内所などで無料配布されている。

ここで問題になってくるのが “スタンプの設置場所は観光案内所や道の駅内” ということ。要するに、設置された施設の開館時間内でないとスタンプが集められないのである。

考えるまでもなく、せっかくならスタンプも集めたい! かくして「日没まで」と想定していたタイムリミットは「スタンプがある施設の閉館時間まで」に変更を余儀なくされたのだった。これは……ヒジョーにキビシイかもしれない。

また、私はそういうこだわりを持ち合わせていないのだが、同行した友人には「スマホゲーム『ポケモンGO』アプリ内の “ARモード” 機能を駆使して、ポケモンとポケふたのコラボ画像を撮影したい」という希望があった模様。

このように「単にポケふたを見たい」以外の目的があると、時間は光の速さで過ぎていく。1つのポケふたに対して、自分がどれくらいの時間を必要としているか? 事前によ〜く考えておくことが、ポケふたRTAにおける重要なカギといえるだろう。



・いくぜ鳥取東部

まだ1カ所目だというのにトンでもない文字数を割いてしまった。ここからは駆け足で進めさせていただく。

2カ所目『若桜(わかさ)町』

3カ所目『八頭(やず)町』

私はこの周辺を訪れるのが初めてなのだが……先ほどの若桜町に引き続き、スタンプ設置場所である道の駅があまりに楽しすぎて滞在時間が長くなってしまっている。同じ鳥取県でも、ところ変わればこうも品揃えが違うものなのか。

我慢できずおいしそうなラスクを購入。「駆け足で」と言ったそばからアレなのだが、せっかく遠くへ来たんだから、これくらいの余裕は持ってもいいんじゃないの? って気もしてきたなァ。

4カ所目『岩美(いわみ)町』

ビーチ沿いという最高のロケーションでテンション上がったが、ここで新たな問題が浮上した。

ポケふたの場所からポケふたスタンプの設置場所まで、車で8分もの距離があるのである。確認したところ全20のポケふたのうち、4カ所が “ポケふたとスタンプの場所が離れている” ようだ。車がなかった場合を想像するとエグすぎてハンドルを持つ手が震えた。

5カ所目『鳥取市福部(ふくべ)町』

ここは鳥取砂丘から目と鼻の先。せっかく鳥取へ来といて、砂丘のひとつも見られないのでは友人があまりに不憫である。時間はないけど拝むだけ拝んどこ、砂丘!

ちなみにこの日は灼熱の8月17日。本当に一瞬だけ拝んで我々は砂丘を後にした。

6カ所目『鳥取市浜坂』

ここはちょっとした遊園地の敷地内なのだが、ポケふたならびにスタンプは有料エリアより手前にあるのでご安心を。

時刻は15時30分。これにて鳥取東部エリアのポケふたを制覇したことになる。ヤバい。想定より時間を食っているッ……!



・駆け抜けて中部

次の目的地・中部エリアまでは車で40分ほどかかるのだが、中部のポケふたは比較的密集しているため、ひとたび到着してしまえば早い。

7カ所目『湯梨浜(ゆりはま)町』

8カ所目『倉吉(くらよし)市』

9カ所目『三朝(みささ)町』

ここは県内有数の温泉地。できれば足湯にでも浸かりたいところだが、もう日が暮れはじめているので先を急ごう。ちなみにこの日、我々は車内でお菓子をつまんだ以外に一切の食事をとっていない。ポケふた巡りって……ラクじゃねぇ。

10カ所目『北栄(ほくえい)町』。鳥取県内の観光案内所や道の駅の営業時間は遅くとも18時ごろまで。今日のところはここが最終地点だろう。とりあえず半分までこれたのだから上出来だ。

せっかくなので近くにある『青山剛昌ふるさと館』に寄り道した。北栄町は『名探偵コナン』を描いた人の出身地である。すでに閉館していたけど、気分だけでも……ね!

「中部の残りは明日回収しよう」ってことで一路、宿泊予定の境港市(県最西部)へ車を走らせる。

11カ所目『琴浦(ことうら)町』。時刻は18時40分。どのみちスタンプを回収するため明日また来る必要があるのだが、あまりにも通り道なので立ち寄った。


すると…………ン!?



道の駅、開いてないか!?!?!?


公式サイトにも「営業時間は17時15分まで」と確かに記載されているのだが、どういうワケか道の駅は開いていた。理由は分からない。ただ「道の駅は確かに開いていた」……これはまごうことなき事実だ。

かくして思いがけず中部エリアのポケふたも制覇した我々。こればかりは、事前の予測が絶対に不可能な展開だった。現場へ行った者だけが感じられる、喜びを通り越した感動がそこにあった。この旅で最もエキサイトした瞬間だった。

タイミングを待っていたかのように日が暮れ、宿泊地の境港に到着したころ、時刻は21時を回ろうというところだった。明日は7時起きだが、果たしてビールなんか飲んでる場合なのだろうか? そして我々は無事、残りのポケふたを制覇できるのか……?


次回、鳥取ポケふたRTA後編『クライマックスで事故に巻き込まれるの巻(ガチ)』お楽しみに!

参考リンク:ポケふた
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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