赤ちゃんのあの神々しい香り。

とくに頭からふわりと漂うにおいには、目に見えない癒し成分が絶対に含まれていると思う。

鼻をぴったりくっつけて深呼吸したくなる、やさしくてミルキーで、愛おしい。

そんな赤ちゃんの頭のにおいが、なんと香水になったという。

我が家の子どもたちはもう赤ちゃんとは呼べない年齢だし、他人の赤ちゃんの頭をクンクン嗅ぐわけにもいかない。

だからこそ、この香水、気にならないわけがない。

・世界初、科学的に再現しているらしい

商品を開発したのは、兵庫県宝塚市にあるセンツフェス株式会社。

6年間にも及ぶ研究の末、2025年6月15日、フレグランス「Poupon pure(プポンピュア)」(税込2970円)を発売したとのこと。

6年間って、小学校生活まるまるじゃないか……。

そこまで赤ちゃんの頭の香りにこだわった人に、正直会ってみたい。

開発チームは、人間由来の香りを丁寧にサンプリングし、成分を高精度に分析。

さらに脳の反応まで測定し、報酬系と呼ばれる脳の部位が活性化する香りの構成を特定したらしい。「ずっと嗅いでいたい」と感じる仕組みを、科学で解明してしまったというのだ。

つまりこの商品は、感覚的な「なんとなく赤ちゃんっぽい香り」ではなく、本当に新生児の香りの再現に成功した、唯一無二の香水なのだ。

・実際に嗅いでみた

さてさて……私も2児の母として、赤ちゃんのにおいの魔力は身に染みて知っている。

だからこそ、そんな香りが簡単に再現できるわけがないと思っている。

……とは思いつつも、気になって結局購入。

届いたのは、手のひらサイズのかわいらしいスプレー。見た目からして、どこかやさしさをまとっている。

まずは、手首にワンプッシュ。

香りはたしかにやさしくて、ほんのり甘くて、それでいてどこか透明感がある。柑橘っぽい感じもあるかも。

「まさに赤ちゃんの頭の香り!」と断言はできないけれど、あの頃の気持ちがふっと蘇るような、不思議な感覚は確かにある。特につけてから、時間が経過するほど、その傾向が強くなった。

ちなみに、ママ友や保育園の先生など数名に「この香り、なにかわかる?」とテストしてみたが、正解した人はゼロ

とはいえ、これは香りが失敗しているのではなく、赤ちゃんの頭の香りという感覚が、それだけ繊細で、そして人それぞれの記憶に深く根ざしている証なのだと思う。

・合法的にクンクンできる香水

これは科学の力で合法的に楽しむことができる、赤ちゃんの頭の香り。

赤ちゃんのあの香りが恋しくなったとき、子どもたちが反抗期に突入したとき、この香水が、そっと寄り添ってくれるかもしれない。

香水というより、記憶に触れるスイッチ。そんな表現が、やっぱりいちばんしっくりくる商品かもしれない。

……ああ、また本物の赤ちゃんの頭の香りが恋しくなってきてしまった。

参考リンク:プレスリリース
執筆:夏野ふとん
Photo:RocketNews24.