その日はとても不思議な日だった。


最終的には大蛇アオダイショウのアオちゃんが「おまえは仕事しすぎ。もうそろそろ帰りんしゃい」とばかりに出現したのは既報の通りであるが、そもそも早朝、玄関を開けた瞬間から私は異変を感じていた。


いつも100万円の古民家の玄関を開けた時、まず出迎えてくれるのは “大量” という言葉が生ぬるいほどの数のカメムシの死骸(あるいは生きている)である。


しかしスキマ塞ぎの網張り対策が功を奏してか、以前よりも劇的に減ったのは良しとして、この日、玄関を開けた時に出迎えてくれたのはカメムシではなかった。

\ガラガラ/

……ん? カメムシは皆無。そのかわり……


やたらちょうちょ(蝶)が玄関先で死んでいたのだ。


もしかしたら蛾も混じっているかもしれないが、とにかく大きい翅(はね)のある生物だ。


家の中に入っても、やはりカメムシはおらず、


蝶が死んでいた。


2階に上っても、

やはり蝶。そこまで大量ではないものの、いきなりカメムシから蝶に切り替わったことに私は驚きを覚えた。そういうシーズンなのかなと。



チャーハンを作っている時も、


チャーハンを食べている時も、

わりと常に、私のまわりを飛び回っていた。私に何かを伝えようとしているのか? 一緒に遊ぼうとしているのか? それは永遠にわからない。


「カメムシの館」は嫌だけど、「蝶の館」なら神秘的だし、悪くない。そんなことを考えていたら、最終的には「蛇の館」になってしまったが、それもまた、悪くない。



まるで季節が変わったかのように、古民家の空気も一気に変わった気がする。なにより私が、この古民家の建物や、周辺の大自然を心の底から楽しんでいる。


ようやく私がこの「地」に迎え入れられた気がする。


カメムシは美しく舞う蝶になり。吸血ヒルは、家の守り神の大蛇になり。そして私は、率先して作業しに行く「古民家の男」になりつつある。


【つづく】


執筆:GO羽鳥
Photo:RocketNews24

▼100万円の古民家