
「世界一のサーカスをめざし 新人募集」という看板を見てテンションが上がる人は、木下サーカスの団員に向いていると思う。かくいう私もテンションが上がって就職活動用のスーツを脱ぎ捨てた1人だ。
体操経験ゼロ、舞台音響・照明の知識もゼロ、なんならサーカスを見た記憶もない。いわゆる普通の大学生が、世界一のサーカスをめざし……勢いだけでサーカス団員になってしまった。
それから約11年半のサーカス生活で経験したことを少しずつ振り返りたい。今回は入団までの話である。
・大学からサーカスへ
大学4年の秋、1泊2日の研修で訪れたのはJR東静岡駅前で開催されていた木下サーカス静岡公演会場。研修は「チケットもぎり」や「座席案内係」など、アルバイトスタッフのお手伝いみたいな内容だった。そんなわけで仕事よりも記憶に残っているのが……
大テント裏の団員敷地にあるコンテナハウスで寝泊まりをしたこと。コンテナを3等分した5畳ほどの部屋にはシーリングライト・窓・コンセント・換気扇が備え付けられていて、窓を開けると暗闇の中にキリンがいた。
「キリンだ!」
約半年前にキリンビールの最終面接を受けていた私が、まさか最終的に本物のキリンと暮らすことになるとは……長い首を曲げてこちらを見ているキリンが「ようこそ」と言っているような気がした。こういう運命だったのか。
そういえば、ケニアにはキリンと共に朝食が食べられる人気ホテルがあるらしい。サーカスのコンテナも1室貸し出したらきっと人気が出るだろう。
・大学卒業
さて、大学4年生といえば、卒業に必要な単位をほぼ取り終えて「学校に通うのは週2日」なんてのが当たり前だが、私は週5日フルで学校に通ってなんとかギリギリ卒業できることになった。
「奇跡の卒業」からの「新卒でサーカスに入団」というアツい展開に教授陣もテンションが上がったのだろう。卒業式ではお世話になった教授が……
「本日卒業する生徒の中にサーカスに入団する人間がいます!」と皆の前でお祝いの言葉を述べてくれた。もしかしたら「こんな奴もいるから前向きに生きような!」と、他の生徒たちに希望のメッセージを送ったのかも……だとしても感謝である。
・横浜駅で見た光景
2004年4月、木下サーカスは横浜みなとみらい(新高島駅の近く)で公演を行っていた。
会場は実家(上大岡)から近かったため、布団や着替えなど必要なものだけを持ってコンテナに引っ越し、冷蔵庫やテレビなどは少しずつ揃えることに。電車で横浜公演会場へと向かったのだが……
横浜駅のみなとみらい線ホームに行くと、研修で一緒になった女の子が泣きながら母親と抱き合っているのが見えた……まるで今生の別れのシーンである。マジかよ。
見なかったことにしようと思い、1番端の車両に乗り込んだ。もしかして私はヤバいところに就職するのだろうか……目の前で映画レベルの号泣シーンを見てしまうとなんだか不安になる。怖ぇぇえええええ!
・世界一をめざす生活
そんなこんなで、いよいよサーカスに入団。世界一をめざすサーカスでの生活とは……次回以降は思い出話だけでなく、現役団員のインタビューなども織り交ぜながら世界最高峰のサーカスショーの裏側を紹介したい。
・木下サーカスは北九州市で公演中
現在、木下大サーカスは福岡県北九州市の「ジ アウトレット 北九州」特設会場で公演を行っている。公演は6月30日まで。お近くの方はぜひ足を運んでみてほしい。それではまた!
参考リンク:木下サーカス
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
砂子間正貫





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