そのうち連載「5万円海外旅行」でも特集する予定だが、つい先日、中国の上海に行ってきた。


実は今、日本で売られている中国のガイドブックは『地球の歩き方』の「北京版」しか最新版が出ていない(2025年4月時点)。


書店で売られているその他の中国ガイドブックは、すべてコロナ以前の2019年ごろに出版されたものばかり。


海外旅行ガイドブック界において、中国の時間は2019年で止まっているのだ。


なぜこうなっているのかといえば、ずばりビザ等の制限が厳しく「極端に行きにくい国になった(行く人がいなかった)」からであろう。


でもつい先日、ようやくビザの規制も緩和され、以前と同じ様に、中国は気軽に行ける国に戻った。


しかしながら、先述の通り、日本の書店に中国の最新情報はない。そんな状況で上海に行ってみたところ……


めちゃくちゃ「QRな世界」になっていた。


何をするにもペイ決済。お餅をひとつ買うにもQRコードからのペイ決済。


本当の本当に、最初から最後まで「現金」を使わない旅だった。


噂には聞いていたが、これほどまでとは……と心の底から驚いたのだが、便利なので、すぐに順応してしまう私がいた。


私が最後に上海に行ったのは10年以上前。その時とは「支払い」の手法が、違う国と思えるほど変わっていた。知らぬ間に中国は「生活のすぐそばにQRコードがある世界」になっていたのだ。


だが、便利の裏には罠もある。



今回の上海旅行中、私はたびたびレンタル自転車を利用した。


専用アプリがあれば、自転車に貼られているQRコードを読み取るだけで、すぐに借りられて、返却するのもアプリから。


日本にもレンタル自転車はあるし、たまに使っていたのだが、気軽さと、利用のしやすさにおいて中国のそれは群を抜いていた。


ところが!


\あっ!/

たまに、サドルなどに「野良QR」のシールが貼ってあるのだ。


内容としては、「銀行ローンがどう」とかの場合もあるし、


「医療保険がどう」とか、「お金を引き出せます」とか、そんなことが書いてある。


これ、本当に小賢しいというか、原始的ながら、よく考えられている。


自転車を借りようとスマホの自転車アプリを起動すると、自動的にカメラが作動。


その時、このサドルの「野良QR」がカメラに映ってしまうと、まるで横取りするかのごとく自動的にQRコードを読み込み、瞬時に “何か” が始まるのだ。

何が起きてるのかはわからないが、とにかくレンタル自転車アプリもビックリして、「自転車を借りる → キャンセル → 借りる → キャンセル」を繰り返そうとするなど、挙動がおかしくなっている。


もしもアプリを起動していない状態で読み込んだら、変なサイトに飛ばされて……とかなのかもしれないし、変なアプリをインストールされる……とかなのかもしれないし、中国の電話番号があるスマホだったら、どこかに勝手に電話して……とかなのかもしれないが、幸い、私は変な挙動が始まった瞬間にアプリを閉じるようにしていたので無事だった。



それにしても、悪い奴は頭が良い。レンタル自転車を借りようとしている時には、すでにスマホを手にして、カメラを自転車に向けている。それを逆手にとって、こんな場所に、横取り的な野良QRコードを地雷のようにバラ撒いておくとは……。


技術の進歩と共に、ズルや犯罪も進歩する。便利の裏には罠がある。


こういう注意書きも加えなければならない最新版「上海」や「中国」のガイドブックを作るのは、けっこう骨の折れる作業かもな……なんて思った先日の小旅行であった。


執筆:5万円バックパッカー・GO羽鳥
Photo:RocketNews24

▼とんでもないことになっていた上海某所のレンタル自転車置き場

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