ジンギスカン食べ飲み放題

看板に書かれていたその言葉に惹かれて入店したのに、結果的に食べ放題も飲み放題もオーダーしなかった。

なぜなら、それら以上に気になるものを発見してしまったから。際どい商品であるがゆえに躊躇(ちゅうちょ)したのだが、職業病が発症して思わずオーダーしてしまったのである。

・食べ放題どころじゃねえ

そのお店は「小仔羊(ここひつじ)」といい、東京・高田馬場駅から徒歩3分くらいの場所にある。表の看板には、ジンギスカンの各種食べ放題のメニュー(4190円〜)などが紹介されていた。


4190円という価格はなんとも言い難い微妙なラインだが、食べ放題の内容によっては安いかも……と思いながら入店。


そして席について他のメニューを見たところで、気づいてしまったのだ。そのメニューの存在に。一体何かというと……



コンプライアンスが厳しくなった現代において、文字にすると嫌なことが起こりそうな予感がするのであえて具体的な名称は言わない

ただ、それを指し示す言葉がないと意味が分からなくなるから、本記事では「御玉」として紹介することにしたい。


・食べてみた

御玉は内臓の一種なのでホルモンだとも考えられるが、人によってはゲテモノと分類するかもしれない。

率直に言って進んで食べたいと思うような代物ではないものの、1度どんな味なのか確かめてみたくはある。9割の拒絶と1割の好奇心

そのときは1割の方が勝ってしまったのだが、困ったことに御玉は4190円の食べ放題メニューの中に含まれていない。

というわけでプラン変更。食べ放題ではなく通常のセットメニューにして、他は単品注文することにした。そこまでしたくなる何かが御玉にはあるのだ。

ちなみに、御玉の価格は1皿1070円。これが高いのか安いのか全く分からない。むしろ、値段をつけるのが失礼な気さえする。



注文から数分後、待ちわびた御玉がやってきたのだが……そのビジュアルを見た瞬間、軽く驚いた。



ツヤッツヤッだったからだ。表面が光を反射しており、神々しさを放っていると言っていいかもしれない。他の内臓系メニューの近くに置こうものなら、御玉のキラキラ感は段違いである。


こんなありがたいものを焼くのは気が引けるが、かといってずっと手元に置くわけにはいかないのでプレートにのせる。


いい感じに焼けたところで口に運ぶと……


めっっっちゃアッサリ!


言いように言えば上品で、悪いように言えばコレといって味に特徴がない。個人的な体験でいうと、初めて湯葉を食ったときの印象に近いかもしれない。

ただ、食感は独特だった。メチャクチャ柔らかいのだが、「フワ」っでもなければ「シャリ」っでもない。強いて言うと「クニュ」って感じ。近いものを探すとしたら白子だろうか。

御玉と白子。くしくも “シモ連合” とでもいうべき部位が似たような食感であることに、神の采配を感じずにはいられない。

その意味で、御玉を食べることによる満足感は普通の食べ放題では得られない類のものである。私なんて、プラネタリウムにでもいるような気持ちになったほどだ。まさに宇宙体験



・ジンギスカンも美味い!

──と、思わず御玉についてばかり語ってしまったが、肝心なことを言い忘れてしまった。この店はジンギスカンも普通に美味い。


一般的に羊肉は臭みが気になるなどと言われるが、私は一切感じなかった。メチャクチャ食べやすかったから、羊肉が苦手な人でもトライしてみる価値があるかと思う。


御玉の方は……正直なところ、万人にオススメというわけではない。むしろ、あれは上級者向け。食べる人を選ぶメニューだろう。

にしても、それほど神々しいものを幸運にも見つけられたのだから、店に入って本当に良かった。偶然に感謝。タマタマだけど結果オーライだ。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 小仔羊
住所 東京都新宿区高田馬場3-2-13 第2丸曽ビル B1F
時間 月〜木曜日・日・祝日11:30〜15:00、17:00〜24:00 / 金・土曜日11:30〜15:00、17:00〜翌6:00

執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

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