目白駅前に「伴茶夢(ばんちゃむ)」という名の喫茶店がある。アラビア語でコーヒーを意味するバンチャムに「伴のお茶を飲みながら夢を語り合ってほしい」という願いを込めて字をあてたそうだ。オシャレ。

創業は1977年、公式サイトによると “古くて新しい純喫茶” らしい。昔ながらの喫茶店で休憩したかったので入ってみることに。ランタンの明かりが灯る階段を下っていくと……時間がゆったりと流れる空間が広がっていた。

・目白駅前

目白駅といえば、日本ではじめて橋上駅舎が採用された駅。池袋駅から1駅約2分、新宿駅から3駅約6分とアクセスは良好だが、山手線内のJR駅で “東京駅から最も離れた駅” としても有名だ。

駅前の横断歩道を渡ってすぐの場所に「伴茶夢」がある。ドトールの隣の建物の地下1階が伴茶夢だ。やや怪しい雰囲気の漂う地下アジトのような純喫茶。初見で入るにはやや勇気が必要かもしれない。ドトールの方が入りやすいのは確かだ。

しかし、地上の喧騒から遮断された別世界で穏やかに過ごせるのは地下だろう。階段をおりて店内に入ると、ダークブラウンを基調とした落ち着いた空間。ザ・純喫茶。大人はこういう場所が好きなのだ

聞くところによると、今上天皇陛下も学習院在学中に訪れたことがあるという。なんというか、とてもありがたい気持ちになる。

さらに調べたところ、あひるねこ記者も2017年に訪れたようだ……ネタが被ったことに気づいて一瞬震えたが、あひるねこが訪れたのはリニューアル前。というわけで、生まれ変わった姿を以下でご覧いただきたい。



・モーニングセット

さて、カウンター席もあったが「2人掛けのテーブル席でも大丈夫ですよ」とのことだったので、端っこのテーブル席へ。ちなみに2022年のリニューアルでは老朽化した店内の1部を改装し、食事とスイーツをパワーアップさせたらしい。

メニューを確認すると、11時までは全ドリンクに「モーニングセット」でトーストが付けられるという。頼んだのは、1977年の創業当時から受け継がれるレジェンドメニュー「カフェ伴茶夢(760円)」のBセット(小倉あんトースト)。


そして……


やってきたカフェ伴茶夢が渋すぎた。


「かき混ぜずにそのまま」が正解らしい。コーヒーにクリームがフロートされている。ひと口飲んでみると、クリームの甘さとコーヒーが一体となって……最高に美味しい。これは贅沢過ぎるぞ。非常に上品かつ歴史を感じる美しい味だ。


モーニングセットも無料とは思えないクオリティ。こんがり焼けたトーストにしみ込むバター、大粒の小倉あんを塗って食べたらそれはそれは幸せな気持ちになるもの。


食後、調子に乗って「伴茶夢サンデー(770円)」も頼んでしまった。自家製コーヒーゼリーとソフトクリーム、小倉あんにカフェ伴茶夢をかけた贅沢スイーツだ。

時間がゆったりと流れる店内で、カフェ伴茶夢の甘みと苦味と伝統を1度に堪能したい方にはサンデーがおすすめ。きっとお腹も心も満たされるだろう。



・雨でもギリギリ平気な距離

駅前という立地なのに地下アジトに潜入するような冒険気分まで味わえる伴茶夢。雨が降っていてもギリギリ平気な距離にあるから、目白駅で一息つきたい時にぜひ利用してみてほしい。喫煙エリアもあったので喫煙者もぜひ。


・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名伴茶夢(ばんちゃむ)
住所:東京都豊島区目白3-14-3 B1F
時間:7:30~22:30
休日:無休

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.