格安イヤホン探訪は気づけば、30回を超えていた。30本の節目で総合ランキングをつけたいと思っていたのだが、いつの間にかその数を超えてしまっていたために、「ベスト33」という中途半端なランキングになったことをお許し頂きたい。

さて、これまで数多くのイヤホンの音に耳を傾けてきたわけだが、毎回上位3本のランクしか紹介していなかった。それ以外の製品の良し悪しについて気になる人も多かったはず。

私(佐藤)自身も気になったので、1本1本の音をたしかめて、全部の順位を決めてみた。そうしたところ、評価をあげた製品が出現した! あの会社のイヤホンは、聞き直したらかなり良かったぞ!

・33本のイヤホン

いずれはこんな日も来るだろうと思い、過去に紹介した製品は全部箱ごと保存しておいた。改めて机の上に広げてみると、強く印象に残った製品もあれば、「こんなの買ったっけ?」と思う品も……。

箱から出したりしまったりするのがわずらわしいので、まずは全部並べてみよう!


どれがどれだかわからなくなりそうなので、1本1本にインデックスシールを貼って、その上で線を延ばして並べてみた。


ぶっちゃけ、この作業の方が聞き比べるよりもずっと時間がかかった。こんなにイヤホンを所有している人はなかなかいない……。いや、マニアなら珍しくないかもな。少ないくらいかもね。



・総合ランキング

今回全部を聞き比べるために使用する楽曲は、『スター・ウォーズ』のメインテーマである。ジョン・ウィリアムズ作曲、演奏はロンドン交響楽団だ。

この曲は冒頭から盛大に演奏が始まるので、音の良し悪しをすぐに聞き分けることができる。数が多いので、1本あたりに費やす時間を短縮したくて、コレを選んだ。


ランキング30位から紹介して行こう、33本の総合ランキング発表です!


33位 ワッツ「ステレオイヤホンマイク付き」165円
これぞ、往年の100均イヤホン、音が悪すぎる。初期不良なのか、左側が聞こえない。


32位 セリア「密閉型ステレオイヤホン」110円
ダンボール箱にラジカセを詰め込んで、隣の部屋で聞いているような音。


31位 3メートルの中華イヤホン 899円
ケーブルの長さに比例するように音が遠くに聞こえる。製品価格に加えて配送料499円かかった上に、手元に届くまで2週間かかった。


30位 中華イヤホン「CD-JP-103」(2セット)999円
2つのイヤホンがセット販売している珍しいタイプ。音は悪い、悪い音のイヤホンを1度に2つも手に入れてしまった……。



29位 ローソンストア100「密閉カナル型ステレオイヤホン低音重視タイプ」130円
低音重視といいながら、低音は死んでる。なぜか高音の出がいい、アベコベな製品である。下位の製品よりはるかに聞ける。


28位 中華イヤホン(Type-c) 899円
膜を張ったような抜けの悪い音。低音重視のタイプらしいが、それにしても高音域を無視しすぎなのでは……。


27位 キャンドゥ「高音質デュアルドライバーイヤホン」330円
意外とバランスがいい。けど、音圧が弱くて物足りなさを感じる。


26位 中華イヤホン「QKZ-AK6-MAX」990円
1000円以下でリケーブルできるモデル。音抜けが悪く、こもって聞こえる。ケーブルを交換してはたして音が良くなるのか……。



25位 中華イヤホン 748円
音のバランスは良いように思うけど、高音の抜けが悪く、こもって聞こえる。「バランスの良いこもった音」と表現すべきだろうか。


24位 AGPTEk「カナル型睡眠イヤホン ZP03B」918円
寝ホンなので、高音を抑えめに設計しているのか、キレが悪い。まさしく眠くなるような音だ。


23位 ヨドバシカメラ「インナーイヤー型イヤホンマイク」1480円
ヨドバシオリジナルの製品。低音が強いタイプで、高音がそれに引っ張られてぼやけている。価格の割にパフォーマンスが悪い。


22位 フィリップス「Tunes Up Beat」885円
音域が全体的に高めで、音楽を聞くよりも、インタビューやトークを聞くのに向いていそうな製品だ。



21位 イルーシー300「ステレオイヤホン」550円
再生周波数帯域が狭く、音抜けが悪い。これもラジオなどのトークを聞く方が向いているのかも。


20位 セリア「人の声が聞き取りやすいイヤホン」110円
110円とは思えないほど、鮮明な音を出す驚異のイヤホン。高い音が出過ぎててうるさいので、少し慣らす必要がある。


19位 キャンドゥ「DACチップ搭載 Type-Cイヤホン」440円
500円以下でDAC(デジタルアナログコンバーター)チップを搭載しているという、驚くべき製品。だが、高音がうるさい。アプリのイコライザーで音色を変えないと聞きづらい。


18位 エレコム「EHP-F10IABK」579円
意外とパワフルで広がりのある音を聞かせてくれるものの、繊細さはなくグシャっとした音質である。



17位 オーディオテクニカ「ATH-C505」1260円
インナーイヤー型で耳の落ち着きが悪く感じられる。10年を超えるロングヒット製品ではあるけど、そろそろ終売した方が……。


16位 ダイソー「ハイレゾ対応イヤホン 6071」550円
このシリーズを始めるきっかけとなったイヤホン。当初はかなり高く評価していたけど、改めて聞き直すとバランスは良いけど、音圧が乏しく聞こえる。買いかぶりすぎていたかも……。


15位 スリーコインズ「高音質イヤホン 低音域タイプ」550円 
バランスは良いけど、いまいちスッキリしない音。低音域タイプゆえだろうか。ケーブルが丈夫そうな点は評価したい。


14位 ダイソー「ハイレゾ対応イヤホン 7301」550円
16位の6071の後継タイプ。同じようにバランスは良いけど、音圧が弱く物足りなさを感じる。もう2世代くらい進化すると、物足りなさが解消されるのかも。



13位 サンワサプライ「ステレオ・カナルタイプイヤホン MM-HP117BK」552円
今回聞き直して、高音の出の良さを再発見した製品。多少トゲトゲしさはあるけど、続けて使えば良い感じに馴染みそうだ。


12位 JVCケンウッド「HP-F240」990円
JVCケンウッドの製品だけあって、音のバランスは良いが、インナーイヤー型なので耳の落ち着きが悪い。カナル型のモデルもあると良いんだけど……。


11位 マクセル「+FIT」754円
音圧はあるけど、中低音に含みがあって音が丸く聞こえる。その辺の音域にもう少しキレがほしいかも。


10位 パナソニック「ステレオインサイドホン RP-HJE150」601円
総じてバランスは良いのだが、どこかある一定の音域がこもって聞こえる。とはいえ、イコライザーでカバーできる範囲ではある。



9位 タワーレコード「インナーイヤーヘッドホン MD01-3904」1408円
中音域が前に出る印象のある音。歌モノなら聞きやすいのかも。


8位 中華イヤホン「TRN MT1 MAX」1580円
4種のサウンドスタイルを切り替えられるのが面白い。音質は高音がやや出過ぎ。低音設定にすると、高音がごっそり削られてしまって、それはそれで面白くない。かゆいところに手の届かない、わがままイヤホンだ。


7位 ソニー「MDR EX15LP」1064円
今回の聞き直しで大幅に評価があがった製品のひとつがコレ。音の出が良く、なおかつバランスも良い。きっちりチューニングされている印象を受ける。


6位 オーディオテクニカ「ATH-CK350X」1240円
これまでの製品と比べて、音の線が太く聞きやすい。イヤーピースを付け替えることで、さらに好みのサウンドを望めそう。ただし、イヤーピースがめっちゃ外しにくい……。



5位 ナガオカ「ハイレゾ音源対応イヤホン P908IB」1298円
とにかく再生周波数帯域が広いのが特徴。5~8万ヘルツと一般的な製品の4倍くらいの帯域をカバーしている。今回の楽曲のような金管楽器を聞くのにふさわしいイヤホンだ。


4位 セブンイレブン「HA-FX711F-B」1207円
この製品はJVCケンウッドが製造しており、音のバランスがすこぶる良い。音に過不足がなく、安心して聞いていられる。


3位 DENON「AH-C260」927円
音粒がハッキリしていて、聞きざわりが良い。4位のセブンの製品と同じく、安心して聞くことができる。1000以下という点もポイントが高い。


2位 JVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン」821円
長い間、このシリーズで1位の座を守ってきた製品だけあって、聞き心地が良い。音色としては少し抑制的ではあるけど、それでもバランスはバツグンである。



1位 ハイユニット「HSE-A1000」712円
現在1位を走り続けている製品。バランスだけでいえば、2位のJVCケンウッドと大きく違うところはない。だが、この製品は音場が広くダイナミックに聞こえる。スター・ウォーズのメインテーマを聞けば、脳内にスクリーンが広がるような感覚さえ覚える。


以上、33本のイヤホンのランキングである。今後も継続してイヤホンの聞き比べを続けて行きたいと思う。いつか、1位のハイユニットを退ける製品に出会うのだろうか? その日までイヤホンを漁り続けるぞ~!

執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24