窓を開けたら、柔らかな日差しと涼しい風が顔をなでた。「あれ? もしかして秋が来た??」
地獄のような猛暑に終わりが見えて嬉しい反面、100メートル歩くだけで日差しに焼かれて汗だくになったあの日々が このままスッと終わりを迎えるのは、なんだかあっけないような寂しいような気もする。
夏、なにかやり残したことはないかな? そう思った筆者の頭に、おぼろげながら「551」という数字が浮かんできた。「……あっ、そうだ! 551のアイスキャンデー食べてない!!!!」
・551のアイスキャンデー
大阪名物、551の蓬莱(ほうらい)といえば豚まんをイメージする人が多いだろう。「551がある時~」「ない時~」というCMは一度見たら頭を離れないし、実際551の豚まんはめちゃめちゃ旨い。
しかし、夏の名物として忘れてはいけないのがアイスキャンデー。1954年に発売され、以降大阪を中心とした関西圏でオヤツやお土産として愛され続けている。
ってなワケで、全種類を購入してみた。定番6種類+期間限定1種類で、全品税込160円。
購入した商品はこちら。左上から順番に抹茶・フルーツ・アズキ・ミルク・チョコ・パイン・いちご(期間限定)。
抹茶からチョコまでがラクトアイスで、パインといちごのみが氷菓という区分にわかれている。
さっそくひとつずつ、食べてみた感想をお伝えしよう!
・抹茶
551のアイスキャンデーには和風スイーツもラインナップされている。
そのうちのひとつがこの抹茶。フルーツやジュース系の味が多い傾向にあるアイスキャンデー業界においては、ちょびっとだけ珍しい。
乳脂肪が少ない分、ひと口目はそれなりに硬い印象。「シャリッ」というよりも「モロッ」とした感じの質感だ。
ミルキー感は少ないながら、思っていた以上に抹茶感が強い。どれぐらいかっていうと……お湯で溶かすタイプのインスタント抹茶ラテ程度 と言うと伝わるだろうか? 苦みは控えめで、子供から大人までパクパク食べられる美味しさだ。
抹茶アイスと言えば濃厚クリーミーなイメージを持つ人が多いかもしれないが、その正反対、かなりアッサリに仕上がっている。
コッテリ抹茶アイスに胸焼けしてしまう人は、551のアイスキャンデーを試してみてもいいかもしれない。
・フルーツ
パッと見た感じ、ミルクアイスの中に冷凍フルーツが入っているらしい。
鹿児島名物「白くまアイス」とは何が違うんだろう? ってことで、偶然自宅にあった白くまと食べ比べながらレポートをお送りしよう。
まず圧倒的に違うのが、ミルク部分の濃厚さだ。白くまは粘度が高く脂肪分も強く感じるのだが、551はあくまでアッサリ。噛むと「シャクッ」と音がするシャーベットライクな質感だ。
続いて違うのは、551には小豆が入っていないこと。これだけでかなり印象が違った。加えていちご・みかん・パイナップルという果汁たっぷり系の果物だけが使われているので、よりフレッシュな夏っぽさが楽しめた。
個人的には 食べ応えを求めるなら白くま、暑い中で身体を冷やしたいなら551を食べたいかな。
・アズキ
抹茶と同じく、ちょびっとだけ珍しい和風アイスキャンデー。
井村屋のあずきバーが手元になかったので比較はできないのだが、おそらく551の方が断然柔らかいだろう。
なぜなら たいして頑張ることもなく、優しく噛むだけでひと口目を食べられたから。これは知覚過敏の筆者にとっては嬉しい誤算であった。
とにかく小豆がたくさん入っているのが特徴で、パクッとかじっただけでゴロゴロと口に転がり込んでくる。今回購入したもののなかでは一番具材(?)が多く、噛むうちに満腹中枢が刺激されるような気もした。
それだけではない。アイス部分にも濾(こ)した小豆が入っているようで、舌触り滑らかにサラサラした感覚があって気持ちがいい。
若干のミルク感がありながらも おしるこのようにカーッとするような甘みはない、水ようかん的な食べやすさのあるアイスキャンデーでした。
ミルク
個人的に食べるのを楽しみにしていたのが、このミルク味。
アイスやソフトクリームでは真っ先にバニラを頼む筆者にとっては、このアイスキャンデーが一番スタンダード。味の良し悪しを判別するキーとなるのだ。
ミルクアイスの美味しさを左右する基準は、ズバリ濃厚さだと思う。ところが……
551はそれとは正反対にシャリッとしていて、ラクトアイスっていうよりもむしろ氷菓ぐらいのテンション。しかし、だからと言って嫌いな味ではない。むしろ美味しい。
例えるならば、練乳をまんべんなくかけたかき氷をギュッと固めたイメージ。優しいミルク感ながら夏にふさわしい爽やかさだ。
「濃厚ミルクアイスは好きだけど、夏にはしんどいんだよね」なんて人は、是非試してみてほしい。これならスポーツをした後にだってペロッと食べられちゃいそうだ。
・チョコ
ここまでかなりサッパリした夏らしいテイストが続く551のアイスキャンデー。でも、チョコ味のアイスってコッテリ濃厚な味しか想像できないんだよなぁ。
そんなことを思いながらひと口食べたところ「あぁ、なるほどね!」と納得した。
シャリっとしない程度のこっくり感がありながらも、濃厚さの「の」の字も感じられないほどサッパリ。でも、チョコの味や香りはしっかりとする。
この味を一言で表すならば「噛じれるアイスココア」。食べたあと口の中がまったくモヤモヤしないので、食べ歩きにもいいのかも。この感覚クセになっちゃいそうだ。
・パイン
ここからは氷菓の区分。パイナップル味のシャリシャリアイス、絶対美味しいに決まってるよね!
期待通りひと口齧ればガリッと氷成分が多く、パインの甘味と酸味がはじける。
食べる前は香料で作った人工的なパイン味なのかと思っていたが、実際にはしっかりパイン果汁が入っていてジューシー。パインアメよりちょっと薄めの味を想像すると近いかな。
アイスには細かなパイナップルの果肉が混ぜ込まれていて、氷との食感の差に満足度が高い。夏!って感じのトロピカル感だ。
・いちご
最後は期間限定商品のいちご。世間ではスタンダード側にいるはずのいちご味が限定ってのは、なんだか珍しいような気もする。
ひと目見てわかった。着色料が使われていないのに真っ赤ないちごカラーで、表面には種が浮いている。コレは絶対旨いやつや!
その想像通り、口に入れた瞬間にいちごのフレッシュさと甘みがジュワジュワと溢れた。「いちご」よりも「いちご」らしい、というか。いちごの青臭さを取り除いてその分甘みを追加したような、というか。(あまりの美味しさに、ひと口食べた後の写真を撮り忘れたぐらいだ)
えっ、コレが期間限定なのは勿体なくない? 蓬莱さん、是非レギュラーに加えてください!!
まさに理想のいちご味をそのまま固めたような、百点満点のアイスキャンデーであった。
・夏の余韻を味わいたい人に
以上が551蓬莱のアイスキャンデー、全7種類の感想だ。
全体的に甘ったるさがなく、後に引かないをサッパリとした美味しさが特徴。清涼感が得られるだけでなく、喉の渇きまで潤せてしまいそうだ。
秋が来たとは言え、日によってはまだまだ残暑を感じることもあるだろう。
そんな時はこのアイスキャンデーを食べて、夏の余韻を楽しむのがオススメ。昔ながらの素朴な味わいと 551ならではのクオリティの高さが、あなたをノスタルジックな気分にいざなうことだろう!
なお、多くの店舗においてアイスキャンデーの取り扱いは夏季限定。しかし本店やなんば駅店など 一部店舗では年間を通して取り扱っているので、いつでもゲット可能だぞ!
参考リンク:551 アイスキャンデー
執筆:高木はるか
Photo:RocketNews24.