2024年8月18日、東京都墨田区にある「錦糸町マルイ」で夏の熱気に負けない熱いイベントが開催された。

その名も『こどもと大人の大祭り パワフェス』だ。その内容は主に「武術の達人」と呼ばれる人たちが、直接子供たちに楽しく体験してもらうというもの。

私(耕平)は武術を多少嗜んでいるということもあり、どんなイベントなのかを確かめるべく錦糸町に向かう。そこで見たものは、後半につれ子供たちが明らかにパワーアップしていく様子だった……。

・錦糸町で武術の祭典?

『パワフェス』に潜入しようと私が向かったのは、JR錦糸町駅の南口から徒歩1分の場所にある「錦糸町マルイ」だ。


会場は入口にある「屋外イベントスペース」


イベントは11:00〜18:00の7時間。参加は無料だが、体験会は事前にオンラインで予約の必要がある。


プログラムは武術の達人たちによる体験会や、ボクシングの世界チャンピオンのトークショーなど、豊富なラインナップだ。


他にも「スーパーボールすくい」や……


サンドバッグやミット打ちなどがあり、炎天下の中、子供たちが夢中になっていた。



・武術体験がすごかった

そして11:30になり、プログラムが開始された。まずはブラジルの伝統武術「カポエイラ」の体験コーナーから始まる。


指導するのは、日本のカポエイラ界の中心で活躍する、笹森智之先生だ。笹森先生は、カポエイラの達人でもありながらゲームクリエイターの一面もあり、大人気の格闘ゲーム「鉄拳シリーズ」のモーションキャプチャーにも協力しているとのこと。


カポエイラの演舞も披露されて、先頭バッターにして会場は大いに盛り上がっていた。


次は、アクション俳優で映画監督もこなす「HATATE(ハヤテ)」さんによる、アクション体験講座。


剛柔流という流派の空手の免許皆伝保持者であり、道路や階段などのストリートをアクロバティックに疾走する「パルクール」を映画などの演出に取り入れたパイオニア的存在でもある。なんと、あのイチロー選手にも指導した実績があるという。

そんなHATATEさんの指導で、子供たちがアクション演技の基本をどんどん身につけていく。


そして体験講座が終わることには、すっかりアクションが板についていた。



そして3人目は、女子ボクシングで日本人最速タイ記録で世界チャンピオンになった、晝田瑞希(ひるた みずき)選手によるトークショーが行なわれた。


昨年の初防衛戦では、日本人が挑んだ世界戦で “モンスター” 井上尚弥選手が持っていた最短KO記録を塗り替えたほどのハードパンチャー。その威力は、3割くらいの威力でも、男性がミット越しに吹っ飛んでしまうほどだった。


4人目は「イス軸法」という、椅子を使用して自分の身体のベストな中心軸を、たった5秒で整えてしまうという調整法を提唱している、西山創(はじめ)先生による体験セミナーだ。


何だか怪しい響きではあるが、実は私自身も実践している。あくまで個人の感想になるが、その効果は何度も体感していて「これ、義務教育に取り入れた方が良くね?」と思えるほどだ。

セミナーには多くの親子が参加していて、西山先生の丁寧な指導のもと、大人から子供まで秒で体が変わる感じに驚愕していた。


身体の中心軸が究極に整うと、椅子に座って足を浮かした状態でも、動かすことが難しいらしい。



・中盤からラスト

そして5人目の登場を待つ間、子供たちが楽しむはずの「スーパーボールすくい」に何やら怪しい忍者が……。


そう、この人が5人目の忍術体験セミナーを指導する、忍道家の習志野青龍窟(ならしのせいりゅうくつ)先生だ。


忍者の発声法から始まり、手を剣に見立てて相手を切る動作を、子供たちは夢中になって覚えていった。


その後も音を立てない歩行術や跳躍などを練習して、体験した子供たちは大満足した様子だった。


6人目はボクシングの第35代日本スーパーバンタム級チャンピオン、芹江 匡晋(せりえ まさあき)選手が登場。


両腕と腹部の3か所に紙風船をつけて、それを子供たちが1分以内にパンチで全て割ったら勝ちというゲームが行なわれた。



そして体験コーナーのトリを務めるのは、元UFCファイターの武術格闘家、菊野克紀先生が主宰する「こどもヒーロー空手教室」


最後の体験コーナーということもあり、多くの子供たちが参加。まずは武道の基本である礼から始まる。


突きの鍛錬が行なわれて……


蹴りも練習して……


しばらく稽古したら、応用も覚えて……


体験した子供たちが全員パワーアップしたところで、終了の一礼。


イベントのラストを飾ったのは、インクルーシブダンスチーム「RAYVEL(レイベル)」によるダンスパフォーマンス。


インクルーシブとは「包括的」という意味で、「RAYVEL」は年齢・性別・身体の大小・障がいの有無などの垣根を越えて、個性豊かなメンバーがダンスというジャンルで一つになって表現するために集まったチームだ。


パフォーマンスは2曲で構成されていて、ラストの曲は「手話ダンス」というジャンルが披露され、曲の終わりには大きな拍手に包まれていた。


──こうして炎天下の中、7時間にわたるイベントは幕を閉じた。

いかがだっただろうか? 半日この会場にいて感じたのは、格闘技や武道、武術は思ったより子供たちの需要が高いのではないだろうかということ。

こういったイベントを通じて、その魅力が子供たちを中心に幅広い年齢層に届いてほしいと思った次第だ。

ということで、現場からは以上です!

執筆:耕平 
Photo:RocketNews24.