
近年、大阪になにやら凄いっぽいスーパー銭湯がオープンしたという噂は東京にも聞こえてきていた。温泉テーマパークと銘打たれたスパ銭の名前は『空庭温泉』。実は、ロケットニュース24でも2019年にオープン時の様子をお伝えしている。
とは言え、オープンしてから5年が経っているし、コロナ禍もあったので色々変わっているに違いない。そこで改めて空庭温泉の今を見てみようと行ってみたところ、とんでもないことになっていた。ホゲエエエエエエエ! もはや温泉じゃない!!
・旅行者にも便利
JR大阪環状線の弁天町駅目の前にある空庭温泉。大阪って雑多な下町とビルが建ち並ぶ都市感の二面性があるけど、弁天町の駅前はどちらかと言うと後者。タワービルもあって雰囲気としては天王寺より梅田寄りだから、旅行者もとっつきやすいんじゃないだろうか。USJも近いし。
で、空庭温泉があるのはそのタワービル。複合商業施設「大阪ベイタワー」である。メインタワーのアートホテルの横に、商業施設のベイタワーイースト&ウエスト、ベイタワーノースが続いていて、ベイタワーノースの2階から5階が空庭温泉だ。ちなみに、1階にはロピアもあるぞ。
・大盛況
極めて旅行者に親切な立地。そのためか、入館(大人3080円)してみると外国人旅行者と思われる家族連れも多い。ただ、外国人であふれているという状況とも違って、女子会みたいなグループやカップル、家族連れなど大阪の人の遊び場になっている雰囲気も感じられる。すなわち、大盛況であった。
それもそのはず、館内はとてつもなく広い。天井の高さも思わず建物の中であることを忘れるレベル。聞くところによると、総延べ床面積は約5000坪超あるらしい。
それだけ広いから、もちろん、あるのは温泉だけではない。リラクゼーション・ボディケア、フィットネスジム、満喫みたいなリラックススペース、お食事処、日本庭園、ビアガーデンとなんでもある。温泉界のイオンモールだ。
・非日常感
しかも、その間をつなぐ通路も凝っている。更衣室で浴衣に着替えて館内を散策すると、大浴場エリアに繋がる通路が鏡張りの廊下になっていて異世界へのゲートみたいだ。
それを越えると、お食事処の前に太鼓橋がある。どことなく『千と千尋の神隠し』の油屋を彷彿とさせる内装。デザインだけじゃなく、徐々に非日常空間へと引き込まれていく映画序盤の演出がオーバーラップした。
その最奥にあるエレベーターを上るといよいよ大浴場。
・入ってみて特徴的に感じた点
大浴場は、露天温泉から、流行りの炭酸風呂まで7つの湯舟がある。湯舟がそれだけあるくらいだから、当然、浴場は広大であった。まさしく大浴場。
「空庭温泉」というくらいだし、4階の庭園が見える庭見風呂がやはり売りなのだろう。入る前はそう思っていたのだが、入ってみると、どちらかと言うと、露天にある源泉かけ流しの湯の方が特徴的に感じた。
これは地下1000mから湧き出す源泉を加水加温なしで楽しめるもの。温泉ソムリエでもないため、泉質が特徴的かどうかは判断できないのだが、素人の私でも分かるほどの特徴がこの湯舟にはある。それは温度が45度なこと。
そう、熱いのである。足をつけた若者が「あっっっっつ!」と言って帰っていくくらいには熱い。熱めの風呂が好きな私でも熱く感じたので、「肌に染みなきゃ風呂じゃねえ!」という茹でダコ勢にはオススメだ。
・サウナ
一方、フィンランドサウナは85度と控えめの温度設定。ただ、オートロウリュが結構長い時間噴出するので、3段目に座った時の体感はしっかり熱かった。水風呂も15.2度とちょうど良い。
外気浴に行ってみると、露天風呂の端に椅子4~5脚とベンチ2台が置かれていた。強いて言うなら、外気浴スペースが狭い気もするけど、詰まったりはしてないのでこれで良いのかもしれない。椅子に座ってみたところ、風はとても良い感じ。5階だし壁が高くないからかもしれない。
銭湯だけ見ても戦える実力がある。観光客だけではない賑わいも納得の銭湯力だ。ととのった~!
・ディズニーランドの孤独
ところで、風呂から見えた日本庭園は散歩することもできる様子。ととのいついでに行ってみたところ、夜は綺麗にライトアップされていた。
ただ、それゆえにカップルだらけである。多くのカップルの中、たまにすれ違う青春を感じるグループ、幸福そうな家族連れ。庭園にかかる橋を渡りながらこう考えた。連れて来るような彼女はいない。呼べるような友達もいない。意地を通せば1人ぼっち。とかくに人の世は住みにくい。
ゲーテは言った。「誰一人知る人もない人ごみの中をかき分けていくときほど、強く孤独を感じるときはない」と。幸せにも同じことが言えるかもしれない。ディズニーランドを1人で歩いているような気分になった。
・カオス
だが、軽くヘコみつつ、館内に戻ったところ、さらなる衝撃が私を襲った。ご飯を食べようと、前述の太鼓橋の前を通りかかったところ……ホゲエエエエエエ!
DJがドゥンドゥンしてるゥゥゥウウウ!!
照明もいつの間にか暗くなっていて、紫や青の光が入り乱れる様はもはやクラブ。チルというよりテンアゲな雰囲気に、家族連れの子供たちもトランス状態。カオスすぎる……!
機能や設備面で全てがあることをお伝えしてきた『空庭温泉』だが、感情においても全てがあった。まさしく、ただの銭湯ではなく温泉テーマパークと言うにふさわしい。そのカオスさにすら踏み込むアミューズメント性に猛烈に大阪を感じたのであった。
・今回紹介した店舗の情報
店名 空庭温泉 OSAKA BAY TOWER
住所 大阪府大阪市港区弁天1丁目2-3
営業時間 11:00~23:00
定休日 不定休
中澤星児














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