マニア系YouTuberって本当にマニアなんだろうか。私(中澤)は「○○マニアです!」と言われる度にちょっとひっかかるものを感じる。荒波のYouTube業界。キャラ作りになるから「好き」って言ってるだけなんじゃないの?
本当のところはどうなんだろうか。その辺のリアルを見極めるために、マニア系YouTuberの1日に密着してみることにした。
・道の駅マニアYouTuber
密着するのは登録者数約5000人の道の駅マニアYouTuber「拝啓、道の駅から」。道の駅マニアのスーザンさんと素人のだんぺいさんの2人が登場するこのチャンネルは、名前の通り道の駅の紹介をメインとする情報系チャンネルだ。
出発は朝の7時20分。集合場所に行くと、2人がレンタカーで迎えに来てくれた。私は6時起きだったけど、レンタカーを借りてる分2人も同じくらいかそれ以上に朝早かっただろう。この時点で私が普段仕事で起きている時間より余裕で早い。日曜日なのに。
・全部2人でやってる
レンタカーに乗っていたのは2人だけで、撮影から編集まで全て2人だけでやっているという。今回は、千葉県君津市にあるジビエ食べ放題の店「猟師工房ドライブイン」の取材に行くのだそうな。
朝日が眩しい東京湾アクアライン。道の駅は田舎や山の中にあることが多い。そのため、基本はレンタカーを借りて取材に行くそうで、運転は2人で交代しながらやっているとのこと。泊まり込みでの遠出の時は1日で道の駅を6個以上回ったりすることも多いらしい。
・断られることも
本日は日帰りだが、猟師工房ドライブインだけではもったいないから、道の駅も1つ2つ回る予定だそうだ。ちなみに、猟師工房ドライブインのはす向かいにある道の駅「ふれあいパーク・きみつ」は取材申請したけど断られたという。
道の駅はただ単に人が来れば良いというものではなく、それぞれに目的が違うので取材許可が出ないところは出ないんだとか。へえー。
記者としては親近感がわく話である。取材も人と人なので、裏側のやり取りの方が気を使った記事もあるしな。また、テレビはOKみたいなところもあるしネームバリューも関係するんだろう。事実、「拝啓、道の駅から」を始めた頃は門前払いも多かったそうだ。痛いほど分かるぞその気持ち。
・まずは挨拶
そんなこんなで猟師工房ドライブインに着いたのは10時頃だった。まずは、連絡を取ったお店の人に挨拶に行く2人。お店の人はかなり和やかにウェルカムしてくれてやりやすそうなムードだ。
その後、お店の中や店の周りを色々見て回る2人。撮影のアタリをつけているっぽい。で、外に出て、その場で打ち合わせをした後、撮影が開始された。
・撮影
タレントもカメラも2人でフレキシブルに入れ替わりながら撮影が進んでいく。意外だったのは、だんぺいさんがオープニングで「こうしてください」みたいな指示を出していたこと。ちゃんとADがいる!
少人数でやる時はノリだけで撮ってしまいがちなド素人の私からすると、撮影の段階である程度流れに沿っていることにプロっぽさみたいなものを感じた。だから「えー」とか「あー」とか少ないのかな?
ひと通り店内を撮影し、いよいよジビエ食べ放題へ。私も取材しながら一緒に食べてたんだけど、ここら辺はさすがにノリでやっていて、ロケットニュース24の取材とあんまり変わらない。
と思いきや、出来上がった動画を確認したら、2人は結構ちゃんと聞ける会話をしていて、ちょっと自分が恥ずかしくなった。そんな私も出演している動画は最後に貼り付けるとして……
12時41分にエンディング撮影完了。撮影は約2時間くらいで、店員さんに挨拶をして猟師工房ドライブインを後にした。
・次のスポットは山の向こう
隙間時間で撮影の許可取りをしたのは道の駅「保田小学校」。ここから山を抜けて海沿いにある道の駅である。長い山道のため休憩も挟みつつの移動となった。
日差しの下に出るだけで体力が削られるほど暑い日。ただ、緑はさんさんと輝くようで、休憩で停まった何気ない道端の景色さえ目を奪われるくらい雄大である。迫って来るようなセミの声。君津の夏は猛烈に日本の夏だった。
そんな夏を走り抜けて保田小学校にたどり着いたのは14時頃。保田小学校でもまずは運営者さんに挨拶に行く。余談だが、保田小学校の運営者さんは名刺が「校長」だった。こんなコンセプチュアルな道の駅もあるんだなあ。
保田小学校の詳細は以前の記事をご確認いただくとして、取材が終わったら15時52分だった。もう1つどこか行く予定ではあったが、思ったより時間が押したのでレンタカーの返却時間的に微妙な時間。この時間は上りも混むということで、1つのネタは諦めて帰ることに。
そして案の定、帰りは渋滞に巻き込まれ……
・ヤバイことに
レンタカー屋に着いたのは返却時間ギリギリの18時40分。ガチで1日かかってしまった。いや、それだけだったらまだ「疲れたけど楽しかった」で終わりだったのだが、実はこの時ヤバイことが起こっていた。もうすぐレンタカー屋に着きそうという時……
鬼みたいな雷雨が降りだしたのである。ガソリンスタンドの屋根から落ちる水がほぼ滝だ。レンタカー屋の自動ドアが開いただけで吹き込む雨でびしょびしょになるレベル。1分ごとに落ちるような激しい雷の光と音がUSJのアトラクションみたいになっている。
タクシーを呼ぼうとタクシー会社に電話しても全部出払っていてつかまらない。タクシーアプリも同じく。このレンタカー屋はアルカトラズか何かなのか。もう帰らせてください……。
そこで疲れが極限に達し、金も時間もない我々は……
歩いて駅まで帰った。
もはやボロボロ。2人の疲れ切った笑顔に「好きこそものの上手なれ」という言葉が頭をよぎった。キャラ作りのために好きって言ってるだけとか言ってすみませんでしたァァァアアア!
というわけで、マニア系YouTuber『拝啓、道の駅から』に密着した結果、「売れたらいいのになあ」と願わずにはいられない裏側であった。
そんな今回の旅で撮った猟師工房ドライブインの動画の編集は10時間かかったそうだ。なお、完成した動画の長さは12分39秒。こんなことは好きじゃないとやってられない。そう痛感した動画はエクストラコンテンツに掲載しておくのでよろしければ見てみてくれ。
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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