突然だが、幕張パーキングエリアって2つあるのをご存知だろうか? 上りと下りじゃないぞ。幕張PAと湾岸幕張PAがあるのだ。私(中澤)は知らなかった。
陸側の京葉道路にある幕張PAは以前の記事でお伝えした通りだが、海側の東関東自動車道にも湾岸幕張PAがあるらしい。というわけで、湾岸幕張PAに徒歩で行ってみたところ、地元タクシー運転手すら衝撃を受けるある事実が判明したためお伝えしたい。
・日本一のアメリカンドック
結果から言うと湾岸幕張PAは歩いて行けない。ただ、もちろんこれが衝撃の事実などと言うつもりはさらさらないぞ。近年歩いて行けるSA・PAが増えているとは言え、こういうこともあるだろう。重要なのは、そもそも私(中澤)がなぜ湾岸幕張PAに行こうと思ったかだ。順を追って話そう。
幕張PAにはSA・PAのアメリカンドックで日本一ウマイものがある──。そんな話をまことしやかに語ったのは、SAやPAに行く度にアメリカンドックを食べるというサラリーマン・Mr.アメリカン(仮名)。
いわく「揚げ方がプロ」というそのアメリカンドックを探して幕張PAに行ったらアメリカンドックがコンビニでしか販売されていなかったことは以前の記事でお伝えした通りである。
・読者の声
潰れたのかと思ったのだが、そんな私に「パサール幕張ではなくて湾岸幕張PAの方ではないか」という声が届いた。「券売機で買うようなスナック類がおいてある」という。さらには「よく買ってもらっていた」という声も。なんと。
そこでMr.アメリカンに確認したところ、確かに湾岸幕張PAであるそうな。ただし、最近食べてないのも事実らしい。『ワンピース』のゴールド・ロジャーくらいぶん投げるやん。
・探せ
本当に日本一ウマイアメリカンドックはあるのか? あったら食べてみたい。これはロマンだ。大アメリカンドック時代到来のテンションになったので歩いて行ったところ、海浜幕張の駅から東関道までは25分くらいと近め。
おまけに、東関道下りの脇は木漏れ日が射し込む散歩道になっている。幕張PAよりも途中の道が断然良い感じだ。さあ、捜しものを見つけに行こうぜ。ありったけのーゆーめをーかき集めェェェエエエ!!
と思いきや……
普通に立ち入り禁止だった。
念のため上りも見たけど一般道からの入口はない。
このまま帰ったらロマンというよりぴえんである。ローグタウンでバギーに殺されるくらいぴえんだ。そこで海浜幕張の駅に戻り、タクシーで行ってみた。これが湾岸幕張PAの下り……
・湾岸幕張PA(下り)
とても味がある外観だ。Pasarみたいな商業施設ではなく、ひと昔前のパーキングという感じの飾り気の無さがなんか染みる。MAXコーヒーだけの自販機あるし。
そんな湾岸幕張PAの建物の中にはお土産屋と『湾岸飯店』という食堂があった。『湾岸飯店』はそば・うどんから定食、ラーメンまである券売機式のくだけた雰囲気のお食事処。そう、券売機がある。
・これか?
アメリカンドックを買った人の声によると「スナック類が券売機で販売されている」とのことだったが、ひょっとしてこれか? 券売機のボタンを精査したところ……
アメリカンドックないんかーい!
っていうか、千葉丼(990円)って何やねん!?
ヤバイ。想定外のことが起こりすぎている。首領(ドン)・クリークと戦っていたら鷹の目のミホークが出てきたみたいな気分だ。どうしたらええんやこれ……。何が起こっているか把握できなかったので……
とりあえず千葉丼を食べてみた。
・千葉丼の正体
思ったよりウマイ。卵なしのかつ丼でとろろらしき物体がかかっていて、ソースとか醤油をかけるか迷う見た目をしているのだけど、何もかけなくて正解だった。とろろらしき物体はしっかりコクと甘辛さの味がついているのである。
肉も柔らかいし変則かつ丼としてなかなかのクオリティーと言えた。厨房のおばちゃんに聞いたところ、「肉は千葉県産のいも豚で、とろろと味噌も千葉県産」とのことだったので、前述の甘辛さは味噌の味っぽい。本当に変則である。
・気づき
千葉丼を消費したことで冷静さを取り戻せた。そこで改めて思い返してみたところ、目的はアメリカンドックだったことを思い出した。千葉丼は最高だったが問題は何も解決していない。
今時点ですでに2時間はこの近辺をぐるぐる回っているわけだが、ここまで来たら上りにアメリカンドックがあるかどうかが気になる。
どのみち、さっきの運転手さんは帰ってしまったからタクシーは呼ばなきゃいけないので、配車アプリの「タクシーGO」でとりあえずタクシーを呼んだ。
・地元のタクシー運転手に聞いた話
来たタクシー運転手さんはこれまた地元の人だそうで相談もしやすかった。上りのパーキングエリアに行きたい旨を告げたところ、どうやら近くに湾岸千葉という入口があるらしい。この入口から入れたら湾岸幕張PA上りの手前に出られるのだとか。おお、ちょうど良いところに入口が。
──この時はまだ知らなかった。我々の向かう先に待ち構えている衝撃を。
「入れたら」と書いたのには理由があって、実は運転手さんは湾岸幕張PAのことをあまり知らないらしい。Pasar幕張の方が新しくて大きいから、そっちはたまに行くけど湾岸幕張PAの方は地元民でも何があったか覚えてないくらい行かないのだとか。
しかも、東京に行く場合、大体は習志野料金所から乗るので、湾岸幕張PAは通らない。地元のタクシー運転手にとっても存在感が薄い場所だけに「あんな場所に何しに行くのか?」と不思議がられた。
・運転手さんも衝撃
そんな雑談をしている間に、下りの湾岸千葉入口を通り過ぎる。看板に緑の文字で示された普通の高速の入口だ。ほっ、どうやら入れそう……と思いきや! Uターンして上り側に出たところ……
入口が封鎖されていた。ダメか! そう、湾岸千葉の入口は下りしか入れなくなっているのである。まあ、たまにあることではあるが、ここで当たってしまったか。習志野も湾岸千葉も無理……
じゃあ、湾岸幕張PAの上りはどうやったら行けるのか? その状況を受け、運転手さんが調べてくれたところによると、穴川からまず京葉道路に乗って、東関道に入り、湾岸幕張PAに行くルートが一番近いらしい。
文字で見ただけでも面倒くさいことが伝わると思うが、さらに穴川までは10kmくらい離れていて、最初に乗るのが京葉道路のためグルッと回って東関道まで戻ってくることになる。
・向い側に行くのに20km
目の前に見えるから軽い気持ちで行こうとしたら、向こう岸に渡るのに往復20km以上。本日は諦めざるを得ない距離……っていうか、一旦帰って作戦を練り直す必要がある。アクセスが鬼難易度すぎて陸の孤島のように感じた。高速道路のPAなのに!
周囲から隔絶された湾岸幕張PAの上り。ビルも建ち並ぶ整備された都市の中にデッドスポットを見つけた気分である。はたして、そこには何があるのか? 受け継がれる意志、時代のうねり、人の夢……これらは止めることのできないものだ。探せ、ひとつなぎアメリカンドック。ウィーアー!
・今回紹介したPAの情報
店名 湾岸幕張PA(下り)
住所 千葉県千葉市美浜区浜田2丁目102
営業時間 24時間(フードコートは5:00~23:00)
定休日 無休
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
【追記】2024年7月16日11:30
公開当初、意図せず関係者入口をお伝えしている部分がありました。しかし、記事内でも関係者用と分かれば引き返している通り、利用するつもりはなかったため、該当の部分を削除させていただきます。申し訳ございませんでした。