徒歩でSA・PAに出かけるシリーズについて、先日編集長の羽鳥から助言を得た。彼によると、このシリーズをもっと役立つ形にできるというのだ。長年当サイトで編集長を務めているだけあって、広い視野でモノを見ているようである。
さっそくそのアドバイスを活かすために、圏央道「菖蒲パーキングエリア」を訪ねたところ……。残念なことに、その助言を活かせず、自らの未熟さを思い知らされた。知らないことって、まだまだたくさんあるんだな~……。
・編集長の助言
羽鳥の助言はこうだ。
羽鳥「佐藤さん、徒歩で来たで上りも下りも1本の記事でまとめて紹介してるけど、あれ、分けた方がいいんじゃない?」
佐藤「2本にすると、くどいかな? と思って、一緒に紹介してるんだけど」
羽鳥「それもわかるけど、上りと下りをいっぺんに行く人、佐藤さんしかいないよ。普通は車で行けないから」
佐藤「ハッ! たしかに!!」
さすが編集長。私は記事を書く当事者であるがゆえに、つい近視眼的な目線で書いてしまいがちだ。そこを客観的に分析して、より役に立つ提案をしてくれた。
わかったぜ、次からそうする! ってことで、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の菖蒲PAへと向かった。
・巨大なターンテーブル
都内から埼玉県久喜市菖蒲町のPAに行くには、JR高崎線の桶川駅から向かうのが、もっともスムーズである。
ここから歩くと約1時間20分。猛暑なのでしばらくは、歩行時間を30分にとどめておきたい。ってことで、「桶川駅」から「菖蒲車庫」行きの朝日バスに乗って、「工業団地入口」まで行くことにした。
そこで降りて歩けば、だいたい徒歩30分圏内。自己基準で「徒歩で来た!」といっても良い距離だ。
停留所の前に行くと、すでにバスが! これが菖蒲車庫行きか?
いや、これじゃなかった。危うく違う路線のバスに乗るとこだった。不慣れな地で乗り間違えると取り返しのつかないことになるので、用心しないとな。
少しして逆方向からもう1台きた。多分コレだな。その車両は停留所を通過して、行き止まりまで真っすぐに入った。ここでバックするのかと思いきや……、転車台に乗ったのである。ここで転換するのか?
おお! 大回転が始まった~!! 巨大なターンテーブルで回ってる~!
予想外にいいもん見ちゃったな~! 今日はツイてる! ツイてる!!
バスのスタンバイはOK! あとは目的地に向けて出発するだけ。
では、運転手さんお願いします! レッツゴー!
・徒歩で菖蒲PAへ
本来歩く距離(5.7キロ)の3分の2に当たるところで下車。ここから約25分かけて歩きますぞ。
あれ? 徒歩30分圏内なら「徒歩で来た!」でヨシとしてたけど、25分は時間的に短いな……。ま、いいか! セーフッ!!
今日も快晴だけど、暑さがいくぶん和らいでる気がする。風もあって気持ちいいな。これなら気分よく歩けそうだ。少なくとも熱中症の危険度は低い。
じゃあ、いくぞ、菖蒲PAを目指して。そこにSA・PAがある限り……。
徒歩で行く!
歩き始めて少しすると、久喜市に入った。その向こうの高架は北陸新幹線のものだ。
この辺はあまり人が歩かないんじゃないかな。雑草が生えまくっていて、歩道の幅が狭くなってる。
しばらく直線が続いて、そろそろ脇道に入るみたいなんだけど。え~と、この交差点を斜めに入っていくようなんだけど、道らしきものが見えないんだが~……。
お、もしやここか? この先は未舗装だ。山間のPAならこういう場所は珍しくないけど、平地でもこういうワイルドな道があるんだなあ。時々、地図アプリがおかしな道を案内することがあるので、未舗装の道に遭遇すると不安になっちゃうよ。
ビニールハウスの向こうに見えているのは圏央道か!? もうすぐPAが見えてくるんじゃないか?
あそこだな、目的の場所は。今日は暑過ぎないから、意外と早く歩けたかも。もう着くぞ!
このフェンスの向こうが施設だな。ゲートらしきものが見えている、ゴールは近い。
来たー! ここやな、入るぞ。
「菖蒲パーキングエリア集約」、集約? 集約ってどういう意味?
この「集約」という言葉の意味を知った時、私は愕然としたのだった……。それについては記事の終盤で詳しくお伝えしよう。
本当にここから入って良いのかわからなかったので、近くにいた施設の方に尋ねると、「そのスロープから一般の方は入れるよ」と教えてくれた。「お客さま通路」はこっちだな。
おお~! いるいる。たくさん車が停まってるなあ。皆さん、車でいらっしゃったんでしょ? 私? 私は徒歩ですよ。その気になれば、お酒も飲めちゃう。飲まないけどね。
では皆さん、行きますよ。大きな声でお願いします! せ~の!!
「徒歩で来た。」
・冷たいうどん、温かいカレー
2015年にオープンした、この施設のフードコート・ショッピングコーナーは「SHOBU花見CHAYA」と名付けられている。
入って左側がフートコート、右側が土産物屋になっている。天井照明は地域の花「花菖蒲」をイメージしているそうだ。「花見CHAYA」と名付けられたのは、この照明も理由のひとつかも。
お土産には埼玉のものだけでなく、千葉や茨城、北陸や東北のものまであった。施設のデザインに地域性を打ち出しているので、できれば土産の品揃えは、埼玉の特産品で固めた方がもっと魅力的な気もするけどなあ。
飲食店は割とこじんまりとしていて、「ガンジャラーメン」と「菖蒲のごはん屋さん」の2軒しかなかった。まあ、それで十分にまかなえるってことなのだろう。
ここにもわらじカツがある。SA・PAを訪ね歩いていると、結構どこにでも わらじカツはあるんだよね。茨城でも見た気がする。秩父(埼玉)の名物じゃなかったかしら?
で、注文したのは「田中製麺の冷やしうどん カレーつけ麺仕立て」(税込1180円)だ。
うどんは氷入りで冷たい。
そしてつけ汁のカレーは温かい。
冷たいんだか温かいんだかよくわからないメニューだな。ヒエヒエのうどんを……。
アツアツのカレー汁にドボン。
食べると、熱くも冷たくもない……。温度をどっちかに合わせた方が良い気もするなあ。つけ汁を冷たくするか、うどんの氷を抜くか時季的に冷たいものを食べたい気持ちはわかるけど、どっちつかずになってる気がする。
とはいえ、ミニカツ丼までついているので、食い甲斐はバツグン。コスパの高い定食でした。
食後の甘いモノに、土産物屋で「十万石まんじゅうアイス」(税込350円)を購入。カフェでカップの「狭山茶」(税込180円)。それからささやかなお土産にコーヒー味のタブレット「たべる珈琲」(税込594円)を買いました。
十万石まんじゅうといえば、棟方志功をして「うまい、うますぎる」と言わしめた行田市の銘菓である。それがアイスになっていたとは。最中の表面には「十万石」と刻まれている。
この皮が意外と硬く、バニラアイスもこしあんソースも濃い。市販のアイス最中よりもはるかに上品な美味しさだった。過去にこのアイスを食べた江川資具によると、発売当初は人気で知らない間に売り切れていたそうだ。菖蒲PAにはたくさんあったので、食べたい方は訪ねてみると良いだろう。
アイスと合わせて飲む狭山茶の柔らかい渋みに癒される。コーヒーもいいけど、お茶の方がずっと和むね~。ひょっとして歳のせいかも……。
・助言を活かせんかったんよ……
そういえば、ここは圏央道の上りだっけ? 下りだっけ? 圏央道は上り・下りではなく、内回り・外回りだったな。
施設を正面に見て、右を見ると内回り。
左を見ると外回り。
つまりここは内回りと外回りが一体となった「集約型」のパーキングエリアだったのである!
うちの編集長は言っていた。「上りも下りも1本の記事でまとめて紹介してるけど、あれ、分けた方がいいんじゃない?」と。
羽鳥さん、頂いたアドバイス、ここでは活かせんかったよ。上りも下りも一緒だったんよ! 集約されとったんよ! 2本に記事を分けれん! そんなことある? そんなんできひんやん普通!! ……こんな形の施設もあるって、俺は知らなかった。たぶん羽鳥さんも知らなかったよな。
俺たちまだまだ未熟だ、世界は広かった。己の無知を悔やまずに、一緒に世界を見に行こうぜ。明日はなろう、きっとヒノキになろう!
~~ 完 ~~
・今回訪問した店舗の情報
名称 菖蒲パーキングエリア
住所 埼玉県久喜市菖蒲町下栢間
時間 24時間(店舗7:00~21:00(一部店舗は異なる))
参考リンク:菖蒲パーキングエリア、ドラぷら
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
Screenshot:GoogleMaps
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