サイゼリヤのミラノ風ドリアは、イタリアにはない。サイゼリヤの独自発展型メニューであることは有名な話だ。ロケットニュース24でも実際イタリアまで行って注文する検証が行われたが、全くの別物が出てきたことを確認している。

というわけで、ミラノ風ドリアは日本人が抱くミラノのイメージから誕生した創作料理なのだけれど、そんな料理がイタリアにも存在するらしい。そこで食べに行ってみた。

・海外VTuber

この料理の存在を私(中澤)が知ったのは、海外VTuberのRaora Panthera(ラオーラ・パンテーラ)さんのライブ配信である。英語圏向けのVTuberグループ・ホロライブENの一員として2024年6月23日にデビューした彼女。デビュー配信で好きな食べ物にあるピザを挙げていたのだが……

こんなピザ見たことねえ! っていうか、それアリなんだ……。日本人の私だけではなく、そのピザは英語圏の海外ニキも「は?」と思うものだったらしく、軽くコメント欄をザワつかせた

・視聴者のイタリア人は同意

しかし、ラオーラさんいわく、これは地元に実在するめっちゃ人気のピザらしい。彼女の説明によると、『アメリカーナ』と呼ばれており、イタリア人が考えるアメリカのピザ的な代物のようだ。

配信ではアメリカ人が困惑する一方、イタリア人視聴者からの同意が集まっているため、まさしくミラノ風ドリアのような成り立ちの食べ物と言えるだろう。ちなみに、例のピザについてラオーラさんが説明しているのは6月29日の配信「【Pizza Tower】I COOKA DA PIZZA」の26分頃だ



・探してみました

だが探してみてもドミノピザやピザハットにはない。もちろんサイゼリヤにも。クッ、食べてみたい……。そう思っていた矢先、たまたま『マルデナポリ』という本格イタリア料理店で販売されているのを発見した


さっそく、注文してみたところ、出てきたブツもラオーラさんが言っていた特徴とぴったり合致していた。そのイタリア人以外全員がビビる特徴とは……

フライドポテトが派手に乗ってること。そう、具がチーズ、ソーセージ、フライドポテトなのだ。本場どころか、カラオケ店員が歌いながら作ったみたいなノリすら漂っている。最高か

・パーティー

付属でついてくる小袋のケチャップもそのノリを加速させている。そこでケチャップを歌いながらかけたところ、どこまでもパーティー野郎なピザが爆誕してしまった。

食べてみたところ、チーズとソーセージとフライドポテトなんだから合わないわけはない。さらにケチャップの甘酸っぱさがカラーフィルターがついた電球みたいにチャラい色を放つ。味のミラーボールや

・凄いと思ったこと

そんな中でも、ピザ生地はふわっふわでガチのウマさが感じられる。香ばしいだけでなく、生地自体に豊潤なコクがあるのだ。これだけ派手な味があふれる中で生地の旨みが分かるのって凄い


それもそのはず、マルデナポリの総料理長は2012年のピッツァワールドカップの「サポリ・デル・スッド(本物のナポリピッツァ)」部門で優勝した人物らしい。さすがである。



・イタリアから見たアメリカ

なお、マルデナポリのメニューでは「パタティーニ(税込2068円)」という名前だが、確かに、ラオーラさんは「レストランによって名前が変わることはある」と言っていた。イタリアでの一般的な名称がアメリカーナらしい。彼女いわく「イタリア人はアメリカ人がピザにポテトを乗せて食べると思っている」のだとか。

パッと見ネタ枠にすら見えるアメリカーナ。しかし、その発想には本場ならではの縛られなさも感じる。言い換えれば自由。確かにアメリカっぽさあるかも。料理のガラパゴス進化は日本人のお家芸とばかり思っていたのだが、どうやらそうではなかったらしい。

参考リンク:マルデナポリ
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼こちらのライブ配信の26分からアメリカーナの話をしています