人間誰しも「近くて遠い存在」があるもの。知ってはいるし、興味も無くはない。ただなぜか今日まで縁が無かった「近くて遠い存在」──。例えば私にとって『焼肉ライク』がそれに当たる。

これまで焼肉ライクと縁が無かった理由は後述するが、つい先日私は人生で初めて『焼肉ライク』に足を運んだ。店を後にする際に感じたのは「思ってたのと違った」ということである。

・焼肉エリート

まずは私が『焼肉ライク』と縁が無かった理由について説明したい。端的に言うと在日韓国人である私は “焼肉エリート” であり、幼い頃から焼肉を食べまくって育ったため、どうも焼肉にテンションが上がらないのだ。

小金持ちだった幼少期、我が家の外食は「焼肉」と「ふぐ」の二択。平均すると月に3~4回は焼肉を食べており、逆に今ではファミレスなどのチェーン店にテンションが上がるようになってしまった。

もっと言えば、我が家が出かける焼肉屋はそれなりにお高い分いい肉が出てくる。その昔、1度だけチェーン系の焼肉店に出かけた際、父が「2度と行かねえ」と宣言したことも、私の中ではややマイナスイメージとなっているのかもしれない。



・興味はあったが

なので『焼肉ライク』の存在は知りつつも「焼肉ねぇ……?」と、焼肉ライクの扉を叩けずに今に至っている。……が、街のあちこちで『焼肉ライク』を見かけるたび「きっと魅力があるんだろうな」とは思っていた。

私の中では「1人焼肉」「リーズナブル」「めっちゃ店舗が多い」というイメージがあるが、実際のところ『焼肉ライク』はどんなお店なのだろう? というわけで、人生初の『焼肉ライク』に挑戦することにした。



・焼肉ライクへ

で、まず驚いたのは日曜日の15時という中途半端な時間であるにもかかわらず、店内がほぼ満席だったこと。知識として聞いてはいたが『焼肉ライク』は想像以上に人気があるお店らしい。

1人用のロースターも私にとっては新鮮で、なんだか可愛らしい雰囲気。タッチパネル形式の注文は多くのチェーン店と同様だが、これが焼肉屋かと思うと真新しく感じるから不思議なものだ。

さて、そのタッチパネルで注文したのは人気だという「匠カルビ & ハラミ」のセット。価格はLサイズが1790円で、ついでにミニサイズの「チョレギサラダ」も注文した。

ほどなくして到着した「匠カルビ & ハラミ」のセットはなかなかボリューミー。ライス・わかめスープ・キムチもセットでこの値段は、私の知る焼肉店ではあり得ない価格設定だ。



・わかった

まずはさっそく「匠カルビ」から焼いて食べてみると……あ、わかった。なるほどなるほど、そういうことか。焼肉エリートを自負する私から言わせると、焼肉ライクは「焼肉の力を信じているお店」なのだろう。

どういうことかというと「肉の旨味・タレ・香ばしさ」が生み出す一口目のウマさは、高かろうと安かろうとさほど変わりはない。「肉が一定の水準をクリアしていれば」という条件付きだが、最高級店が100点だとすると焼肉ライクも90点は叩き出していた。

「高い肉」と「安い肉」の味が大きく変わっていくのはむしろその後で、後味や余韻についてはそりゃ高い店の方が美味しいに決まっている。が、1人でガツガツ食べ進める『焼肉ライク』ならファーストインパクトの方がよっぽど重要だ。

きっと焼肉ライクでは「この価格の中では最高の肉を出している」という自負があるのだろう。その肉と焼肉の力を信じた匠カルビは率直に「ウマい」と感じたし、筋や脂も個人的には気にならなかった。



・思ってたのと違う

価格帯だけ考えると、焼肉は本来「たまにの御馳走」なのかもしれない。が、焼肉ライクのおかげで焼肉がグッと身近になっている方も多いハズ。当初は「大丈夫なの?」という感情もないワケでは無かったが、焼肉ライクは王道の「肉で勝負しているお店」という印象を受けた。

いい肉をゆっくり味わいたいなら高級店へ行けばいいし、ひとまず焼肉欲を満たしたいときは焼肉ライクへ行けばいい。「まあこれは増えるし混むよね」と感じた、人生初の『焼肉ライク』であった。

参考リンク:焼肉ライク
執筆:P.K.サンジュン
Photo:Rocketnews24.