神奈川から静岡へ抜けるJR御殿場線。1時間に1~2本のスケジュールで走る単線の景色は野山が広がっていて、東京から来た私(中澤)に旅を感じさせてくれた。時の流れがゆっくりになったかのようである

細長い無人駅の足柄駅で降りて、ただっ広い駅前を越え御殿場方面に歩いて行くと、すぐに山道に入る。手前も山、その奥も山。道路脇の景色が山のミルフィーユみたいになった頃、町営の公衆浴場があった。遠出で出会う温泉は一期一会。フラッと入ってみたところ露天風呂が最高すぎたのでお伝えしよう。

・山中の温泉

どうやら、町営の公衆浴場であるらしいその温泉。オレンジの看板には『町民いこいの家 あしがら温泉』と書かれている。とは言っても、貧乏くさかったり汚かったりするわけではなく綺麗で、鉄筋コンクリートのわりかし現代的な建物だ。

入ってみたところ、券売機制で入浴チケットは600円(おとな)。私は手ぶらなので、フェイスタオル(200円)とバスタオル(300円)も購入した。どうやら、静岡県市町村共済組合に入ってる人や近隣の住民、目の前にある小山高校の生徒などは入浴料が安くなったりもするようである。

また、この入場チケットは3時間券のようだ。リミットつきとは言え、3時間はサウナに入るにも十分な時間だし、手ぶらで行って1100円は安い。ちなみに、広い宴会場もあるのでくつろぎスペースも十分である。



・普通の温泉かと思いきや

で、そんな宴会場を通り過ぎると浴場の入り口があった。浴場は広い湯舟が1つの町営温泉という感じなのだが、サウナ室は12人くらい入れて普通くらいのサイズはある。

サウナ室の温度は90度で水風呂は水温系がなかったが体感16度くらい。サウナーとしても十分……と思いきや、サウナー的には十分どころか十二分であった。あしがら温泉は壁一面がガラス張りになっていて、その向こうに露天風呂があるのだが、外気浴に出たところ……


富士山見えすぎだろ……!

裾野まで見えてるくらいの勢いだ。富士山の全景をハッキリ見たのはいつ以来だろうか? いや、ひょっとしたらこんなに綺麗に端から端までの形を見たのは初めてかもしれない。新東名高速を走ってる時に見た富士山は印象に残っているけど、ここまで全部は視界に入らないしな。



・このロケーションは反則

ちょうど良い距離で、なおかつ山の上で遮るものがないというのが大きいのだろう。さらには、近くにあるのは下を走る高速道路くらいで目隠しも低いから、椅子に座ったらブワーッと富士山まで視界が開けている。この露天風呂のロケーションはズルイ。ズルすぎる。

それだけ開放的なだけに風も気持ちいい。こんなのととのわずにいられますか! 当然、このととのいスペースは人気スポットなのだが、なんなら、露天風呂の床の人口芝に仰向けに寝転がってる人までいる。もはや景色関係ねえ……!!

地元民は心の目で富士山を感じているのかもしれない。しかし、この雄大さを目の当たりにすると、その自由なスタイルにもこう思わずにはいられなかった。「こんな露天風呂で毎日ととのってりゃ開眼もするか……」と

隣の人もそれほどにととのいまくっていた『あしがら温泉』の外気浴。温泉施設自体は普通なだけに入ってみてビックリであった。確かに、外の時点で富士山に向いてることは分かったけどここまでとは。その外観から想像のつかない雄大さにはもはや発見を感じた。これぞ、一期一会の良さ。



ちなみに、明日6月26日は露天風呂の日。制定は1987年と意外と古い記念日で、「ろ(6)てん(・)ぶ(2)ろ(6)」の語呂合わせに由来しているのだとか。というわけで、露天風呂好きに本記事を贈りたい。


\ととのったー!/

・今回紹介した温泉の情報

店名 町民いこいの家 あしがら温泉
住所 静岡県駿東郡小山町竹之下456-1
営業時間 10:00~21:00(最終受付20:00)
定休日 火曜日 ※祝日の場合営業(翌日休館)

参考リンク:町民いこいの家 あしがら温泉
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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