スーツケースに少し余裕があったので、日本から『ペヤング 獄激辛やきそば』を持っていくことにした。旅先のスペインで現地人に食べさせ、何か面白い反応を引き出せればネタになる……と考えたからである。

ペヤングの獄激辛といえば、当編集部で1番辛さに強い男・サンジュン記者をもってして「食えんし食おうとも思わない」と言わしめた地獄の食い物。死ぬほど辛いだけで全くおいしくないことは、多くの人が証言するところである。

そんな食い物を何の罪もないスペイン人に食わせることは、少し良心が咎めるのだが……まぁ、ネタのためならしゃーないよね!

・彼の名はディエゴ

今回協力してくれたのは、マドリード在住のスペイン人・ディエゴ。彼は友人の友人の友人で、現地で私を1カ月間、自宅にホームステイさせてくれた人である。

協力といっても、ディエゴはこの日本の食い物の正体を全く知らないワケなのだが……まぁネタのためだ。しゃーない。

私にとっては人生で2度目のペヤング獄激辛。不穏な匂いが部屋に漂う……。



・ノーカットでご覧ください

「日本食をご馳走する」と聞いて嬉しそうにしていたディエゴも、空気を感じ取ったのか次第に「大丈夫そ?」みたいな顔になってきた。


それではペヤング獄激辛を食べたスペイン人の反応、ノーカットでご覧ください。



無言のままペヤングと対峙するスペイン人。



ムシャッとひとくち……



ディエゴ「 !!!!!!!! 」



ディエゴ「 」



ディエゴ「フッ……(笑)」

──どう?

ディエゴ「Spicy(辛い)」

──大丈夫?

ディエゴ「Yeah……thank you(大丈夫、ありがとう)」


なんか一瞬、戦争が始まりそうな気配が漂ったのは気のせいだろうか? 「ギャアー! 辛いいいぃぃぃ!」みたいなリアクションは一切なく、若干期待を裏切られた感も否めないが、その後ディエゴがペヤングを口にすることは2度となかったことから察するに、少なくとも「おいしい」とは感じていなさそうだ。


「フフフ……」と笑いながらキッチンへ向かうディエゴ。



彼は10分くらい戻ってこなかった。



・悪いことしちゃったな

ようやくキッチンから戻ってきたディエゴ。うらめしそうにペヤングを見つめている。


ディエゴ「……Do you like this?(君はこれが好きなの?)」

──No

ディエゴ「What!?(マジかよ!?)」


ディエゴはそれ以上ペヤングについて語らなかったが、流れ的にもしかすると、私が「これおいしいよ!」ってノリでペヤングを勧めたと思っていたのかもしれなかった。たしかに、私が逆の立場ならそう思うかもしれない……。

優しいディエゴにこのような分かりにくいドッキリを仕掛けてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいである。今後、外国の人にペヤング獄激辛を食わせる際は、事前に「辛いよ! ビックリするよ! リアクションちょうだい!」って伝えよう。心からそう思った。



・おわびの日本食パーティー

申し訳ないので、非常食としてスーツケースに忍ばせていた『たらこパスタの素』をディエゴに振る舞ってあげる。

私はたらこパスタが大好き。最近は海外でも様々な日本食を買うことができるが、たらこは依然として入手困難な食材だ。きっとディエゴも喜ぶだろう。

それから現地の日本食材店で購入したルウを使ってカレーも作ってあげる。今夜は日本食パーティーだ! イエ〜〜〜〜!!!


ちなみに、こちらがたらこパスタを食べたディエゴ。浮かない感じである。


「おいしい」と言いつつ、だんだん悲しそうな顔になってきたディエゴ。ペヤングのショックが尾を引いているのか、はたまた、たらこパスタがあまり好きじゃなかったのだろうか?

なお以前の記事でお伝えしたが、ディエゴは大のラーメン好き。決して日本食が嫌いなワケではない。外国人に日本食を食わせる際はくれぐれも慎重に……ディエゴが優しかったから今回はことなきを得たが、下手すると国際問題に発展しかねないぞ!

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.