格安イヤホン探訪、今回はリクエストを頂いた製品についてレビューしたいと思う。「試してほしい」とリクエスト頂いたのは、セブンイレブンのイヤホンについてだ。その方によると、セブンイレブンに1000円台のイヤホンがあり、ご自身は気に入って長年愛用しているという。
実際に購入して確認してみると……、コレは!? あのメーカーが製造したイヤホンじゃないかか!
・あのメーカーの製品!
紹介するのは、セブンイレブンで販売しているインナーイヤーヘッドホンである。販売価格は税込1207円。これまで比較してきた100円台の製品より、少しお高い気もするが、イヤホンの相場からすると格安の部類なので紹介させて頂こう。
この製品、かなり侮れない。なぜなら……
JVCケンウッドが製造しているからだ!
JVCケンウッドとは、日本ビクター株式会社(JVC)と株式会社ケンウッドが合併したオーディオ機器メーカー。老舗ブランドとして長らく日本の音楽業界に貢献してきたといっても過言ではない。実際、以前紹介した同社の「HA-FX6-T カナル型イヤホン」は、とてつもないハイパフォーマンスイヤホンだった。
この製品は過去に、「オーディオビジュアルアワード」(VGP)のインナーイヤー型ヘッドホン(2500円未満)部門での受賞歴を持っている。それだけに、セブンのこのイヤホンも侮れない。価格を超える音を聞かせてくれるに違いないだろう。
ちなみにこちらの製品の型番は「HA-FX711F-B(黒)」である。型番に「711(セブンイレブン)」と入れているところが心憎い。
中身は本体とイヤーチップ大・小がそれぞれ入っている。コードを折り曲げずに、キレイに巻いてくれているところに好感が持てる。
イヤホン本体は耳に向かって少し斜のついたデザイン。HA-FX6-Tはストレートタイプでつまみにくかったので、つまみやすく改良したのではないだろうか。
ステレオミニプラグはL型。個人的にL型は少し古臭い気もするけど、まあ取り立てて大きな問題ではない。
・聞き比べ
さて、さっそく聞き比べてみるとしよう。今回の検証材料は「ルパン三世のテーマ ’78」シングルバージョンである。作曲は大野雄二、演奏は大野雄二、ユー & ザ・エクスプロージョン・バンドである。
今回も最初に聞くのは、ダイソー「7031」(税込550円)だ。
このシリーズで何度も繰り返してお伝えしているが、このイヤホンは高音特化のハイレゾ対応イヤホンだ。高音の音抜けがよく、この曲のようにホーンセクションが派手に暴れるナンバーを聞くのに、とても向いている。
聞きごたえはあるものの、低音が少々頼りないために浮ついた印象は否めない。
続いて、現在のランク王者。JVCケンウッドの「HA-FX6-T」だ。
抜けるような高音がないが、音の粒立ちがハッキリしていて、低音の安定感がある。この曲はテンポが早く、主旋律とは別にバッキングでギターやパーカッションなどの鳴り物が多い。
曲を構成する要素はとても複雑だ。にも関わらず、音を上手く分解できている点を評価したい。安心して聞くことのできる格安イヤホンの鑑(かがみ)と言えよう。
最後にHA-FX711F-Bを聞いてみよう。
さすがJVCケンウッドの製品だけあって、音の立ち上がりがよく、1音1音の輪郭がハッキリしている。先のモデル同様に、安定感のある音を聞かせてくれる。とくにこのモデルは中音域の音の出が良くて、ベースラインがとても聞きやすい。それから、バッキングのギターの音もまろやかに聞こえている。
先のモデルよりも全体的にマイルドな聞きざわり。刺々しさがない点が好ましいのだが、その分、音のエッジが削がれている気がしないでもない。
そんなわけで、今回の結果を踏まえて、現在のトップ3は以下の通りである。
1.JVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン」 税込821円
2.セブンイレブン(JVCケンウッド)「HA-FX711F-B」 税込1207円
3.ダイソー ハイレゾ対応イヤホン「7301」 税込550円
このモデルを1番にしようか迷ったのだが、音がまろやか過ぎる点と、それからコストパフォーマンスで「HA-FX6-T」の方が上だと判断した。やっぱり1000円以下で良い音を聞かせてくれてこそ格安イヤホンだ。
このランクは随時更新していきたいと思う。皆さんの音楽ライフの参考になれば幸いである。